[2]広告宣伝規制強化は全国展開の兆し・・・。正しい依存問題理解とは? [2017/2/6(月)] |
【賀詞交歓会でテーマとなった「警察庁が考える」依存関連問題とは?】
これまでのコラムでも何度か触れているが、「賀詞交歓会」で必ず行われる警察庁保安課からの行政講話。
この毎年の恒例行事にて、その年の業界の課題を浮き彫りにし、業界の向かうべき方向性を決めていくのが、この「賀詞交歓会」である。
今年の賀詞交歓会での講話においては、やはりというべきかIR推進法案の絡みから依存症対策問題が喫緊の課題として最重要テーマとされた。
正直、業界においてぱちんこやパチスロが「遊技」なのか「博打」なのかというのはわきに置いて考えるべきだ。
たとえ、風営法の括りにおいてはぱちんこ・パチスロは遊技であるとの大義名分を最前線に押し出したとて、それが依存度の高いものであれば、「依存症問題」においては手っ取り早いテーマにされてしまうのが業界の常なのだ。
特に競馬などの公営ギャンブルと違い、「現場に行く」という意味では、そこかしこにホールがあるという環境下が、「触れやすい」という意味で「依存度」を高くしていると思われているわけである。
そしてその依存症というものは、二つの大きなテーマをクリアにすれば解決できると、少なくとも警察庁は考えている。
それが「射幸性の抑制」と「広告宣伝規制」である。
あえて「少なくとも」と書いたのは、わたしはそうは思っていないからである。
依存症というものを調べていくと、それがギャンブルであれ、薬物であれ、対象が何であれ、その対象物を排除することが根本的な解決にはならない。
・・・と個人的には思っている。
本来ならば、ここで依存症について掘り下げるのが筋だとは思うが、本稿のテーマとは少しずれるので、割愛することとさせていただく。
話を戻して、警察庁が考える「依存症対策」=「射幸性の抑制」と「広告宣伝規制」の二つは対象がはっきりしている。
「射幸性の抑制」=メーカー向けであり、「広告宣伝規制」はホール向けと大別することが出来る。
射幸性の抑制は、一定のアクションを起こし、その効果がみえたものと判断されている。
ぱちんこで言えば、MAX機の大型撤去であり、パチスロで言えば、AT廃止であり、出玉の完全メイン基板管理化になる。
その成果についてはこれからの判断ということになるわけだが、MAX機の撤去やサブ基板の形骸化についてすぐにアクションが起きたことについては警察も評価している。
そして、出玉性能の可視化の義務化をベースに、メイン基板に7セグの搭載まで目指している。
これについての成果が見えてくるのはもう少し先の話になるし、現時点において前述のぱちんこ・パチスロの性能対策にてそれなりの成果を得た(=依存症対策に対しての口実を得た)という意味では、「射幸性の抑制」において、メーカーに対してしばらくは静観の姿勢を見せることになりそうだ。
しかし、ホールに対しては違う。
昨年末に警視庁管内において「立ち入り検査」が多発した事例があるのだが、それの大きなテーマは「ハンドルの調査」。
ぱちんこの球を打ち出すための装置の部分。
あれを目いっぱい右まで回して、そこで手を離した時に左まで戻るかどうかを確認していたのが、その調査の大義名分。
そして、そのハンドルが手を離した時に戻らなければ「指示処分」をうつ、という事例が多発していたのだ。
この「ハンドル調査事変」、普通に考えれば「構造設備の維持義務違反」と思われてしかるべき。
ホールとしてはそうならないように設備をメンテナンスしているべきだということかと思っていた。
しかし、そうではない。
要は「射幸心を煽っている」、つまり「20条の1項違反」にて、指示処分をうってきたのだ。
これを読んで「???」となった読者がいれば、勘がいい。
わたしも最初にこの事例を目にしたときは、「は?」と思った。
因果関係がよくわからないからだ。
「ハンドルが戻らない=射幸心の煽り」がつながらないのであるが、警察庁の見解としては違う。
「射幸」というのは、要は「労せず偶然の利益を得ること」なので、ハンドルが固定されているということが「この『労せず』の部分にあたる」と言いたいわけだ。
ここまでくると警察庁の言い分もずいぶん乱暴だなと思うわけであるが、まぁ、こう読み解ける環境を作ってしまっているわけだから、それに対して指示処分をうつという意味では一応の大義名分があるだろう。
この射幸性の抑制が、ホールにも向いてきているのである。
この体制は、そっくりそのまま広告宣伝規制にまで及んでいる。
そして、その規制の輪は各所をベースに全国にまで拡がることを示唆している。
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