[2]IR推進法案成立によるぱちんこ・パチスロ業界への影響 [2017/1/9(月)] |
【拙速に見える推進法成立】
今回の法案成立でやたら「カジノだ。カジノだ。」という声が聞こえてくるが、正直現時点ではそこまで騒ぐことのコトが起きるわけがない。
今回の法案はあくまで「推進法」であり、「実施」にいたるまでの吟味をしていきましょうという法案が成立したに過ぎないからだ。
現政権下でも、民主党(現・民進党)政権下でも何度となく、通常・臨時問わず「国会審議入りか?」などと騒がれながら、2016年まで審議が延び延びになっていた背景には、もちろん我らが「ぱちんこ・パチスロ業界」が「目の上のたんこぶ」的に存在していたことが一因にはなっていた。
「風営法下においては遊技」とは言っても、その実態は「博打」と位置付けられていたことに他ならないわけで、そのおかげでこれまでの簡易調査において、日本におけるギャンブル依存症の総数は「536万人」という数まで飛び出してしまった。
この尋常ならざる数(現時点で遊技人口の50%強の人数)は、調査対象があくまであいまいで、正確に「ギャンブル」という位置づけでその他諸々の公営ギャンブルと肩を並べた時にここまでの人数にはならないだろうということが言われているが、それでも「ギャンブル依存症」という精神疾患の中に「ぱちんこ・パチスロ」も含まれている事実は事実として受け止める必要はある。
この536万人という数値があることが、「日本においては依存症対策が不十分でカジノを設置するに足る下準備が出来ていない」とされてきた理由の主となっていたのだ。
しかし、そこにウルトラCの政府見解が飛び込んできたのは、「
第47回コラム」で展開した通り。
そう、「3店方式」の違法性の阻却だ。
この結果として、政府見解としてはあくまで「ぱちんこ・パチスロは遊技。ギャンブルではない。」と認めていただいた格好だ。
その政府見解が出て、数日中には「IR推進法」の審議入りである。
その結果、衆参通して、たかだか4日ほどの審議で法案成立である。
かいつまんでその審議の実況中継も目を通してはみたが、その審議の中身においても十分かと問われると「?」を打たざるを得ない。
本来ならば、まずやってしかるべきは、不十分とされている依存症対策への対応策をどのように施行していくかを吟味することである。
しかしそうなると、吟味すべき内容はぱちんこ・パチスロのみにはならない。
公営競技であれ何であれ、競馬や宝くじもギャンブルの範疇だからだ。
なので、「とりあえず」推進法を成立させて、その推進法から実施法までの間に「ギャンブル依存症」について吟味していきましょうという、問題を先送りにして成立させたように見えるから、「拙速」だと評価したわけである。
そして、ギャンブル依存症の問題が先送りにされた結果、業界においては悪影響を被ることになる。
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