[3]誰が為の規制なのか〜回胴新規制の方向性〜 [2016/4/18(月)] |
【今回の自主規制案との既存の自主規制の違い】
警察庁のアクションというものは、何も前述のように、「警察庁がお怒りになった結果としての指導」だけがすべてではありません。
例えば、型式検査技官の変更などがあったとしても、組合は動きを起こすわけです。
いわゆる、「お土産」のようなものですね。
新規制をお土産に「今後ともご贔屓に」と新しい技官のご機嫌を伺うといった感じですかね。
この部分は
「トリテンはずれ」【第82回】でわかりやすく書いてくれています。
是非参考に。
ですが今回の規制に関しては、日電協が珍しく自身からアクションを起こしたことがきっかけになりました。
まぁ、ぱちんこのくぎ問題があったから、あんまり調子に乗っていてもまずいと襟を正した結果でしょう。
つまり、前述のような警察庁からのアクションがきっかけではなく、あくまで自分たちから先にアクションを起こし、その規制案について、警察庁にお伺いをたてたということになります。
この差は意外と大きい。
今回の警察庁からの動きのきっかけは、現行機種に対する指導ではなく、「型式検査技官」の斉藤氏の異動。
そして、この斉藤氏というのは警察庁の中では珍しく、実際にご自身でも「打つ」方なんですな。
なので、昔コラムでお伝えしたような、
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●天井到達時の期待枚数が多すぎるのでは?
●ART中の押し順ミスからの復帰困難な仕様はユーザーに損があるので対策を。
●設定変更後の状態においてリプレイ高確率になる仕様は、ホールにモーニング的な利用を促しているのでは?
●小役との同時当選時のボーナス図柄の引き込みが、押し順によって違ってくるのはなぜ?
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こんな具体的な指導が起こるわけです。
ここまで具体的な指導は過去に例を見ないわけで、びっくりした次第なんですな。
そして、この斉藤課長補佐の異動の前に規制の骨組みのお伺いをたてて、方向性を決めていったわけです。
いなくなる人のために日電協がその重い腰を上げて、規制の骨組みを作り上げたというのはこれまた過去に例を見ない。
あったとすれば、過去の3,000枚規制案ですが、それは結局形骸化でしたし、そもそもその3,000枚を規制するための技術的提示はなかったわけですから。
今回のARTの規制強化の本気度がうかがえるというものです。
【本気の提案の行きつく先】
さて。
こういった経緯があり、今回の自主規制案は「お土産」意識は低く、日電協が「娯楽」としての「パチスロ」を考えた時に改めてここまでやってみようと思った本気の提案と言えるでしょう。
そもそも、自身もプライベートで打つ技官。
そして、打つ人だからこそわかる、規制の網と取り締まるポイント。
それに対する、回胴メーカー、組合としての本気の回答。
これら一連の動きがこれまでのそれとは違うのであれば、それは、機械を作りたいメーカーの為の規制ではないと思っております。
何をもって、誰のためであっての規制か?
それは、結局「娯楽」の為でしょう。
そして、それが本当に娯楽のためだというのならば、最終的にはこの規制は「エンドユーザー」の為とならなければなりません。
ジーグの動きにしても、今回の自主規制案にしても、それは、業界の閉塞感からの脱却が主にあるべきです。
なので、頭に「少なくとも」という枕詞はつきますが、
「『少なくとも』今回の規制はエンドユーザーの為」
と言わせていただければと思います。
お時間です。
お目通し、ありがとうございました。
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