[2]東京都、非等価への動きの是非 [2015/11/9(月)] |
【完全非等価制度が生まれるまで】
そもそもなぜこういった動きを東京都が仕掛けることになったか、について簡単に説明しておきます。
ホール側が警察庁から再三再四指導を受けていたものの中に、
「一物一価遵守」というものがあります。
金(きん)の交換率がぱちんことパチスロで違うというのは認めないぞ、というわけです。
最近のホール事情からすると、「いや、どこもかしこも等価営業じゃん?」って思うかもしれませんが、昔は「ぱちんことパチスロで交換率が違う」ということはままあったのです。
パチスロには設定というものがあって、その設定の高低で出玉率の管理を行っておりますが、ぱちんこには設定というものがなく、その出玉率をコントロールする役割は「釘の調整」にあったわけです。
その調整は、等価交換のままでは出玉率の管理が難しく、交換ギャップを設けることによって出玉率の調整を楽にしてきました。
しかし、そうすることによって
一物(=金地金)に対して二つの価値(=玉・メダル)となり、「一物二価」になってしまいます。
これが風営法下においての問題のみならず公正取引にも抵触するので、「一物一価」を徹底させるようになったのが、2012年頃の事です。
等価で営業する場合、ぱちんこのいわゆる回転率ボーダーというものはどんどん下がっていきます。
昔は等価で20回はまわるようなものも、今や15回まわればいい、みたいになっていくわけです。
これにより、メーカーの作る台も博打性を高める必要が出てきました。
回らなくても当たればたくさん出るかも、という方向性になっていくわけですね。
それが結局のところ「MAXタイプ」が主流になった背景だったりします。
「一物一価」を守らなければいけないから、「営業形態を等価交換」にし、その結果として「回るようには出来ない」。
でも、お客さんが満足するだけの出玉を得られる環境にするために初当たりボーダーをきつく(=約1/400)して連荘率を高く(=80%)しなければならなかったというわけです。
その博打性の高さから、確かに一時的にはお客が戻ってきました。
しかし、遊技疲弊が顕著になった結果、「もういい加減にしましょうね」となって「MAX機規制」が生まれたわけですね。
そして、MAX機の時点で等価交換をすることに限界があったわけですから、台の性能云々の前に「運用方法」を変えようとなって生まれた案が、「脱・等価交換」という考え方だったわけです。
では、その運用によってどういったメリットが生まれるのでしょうか?
【脱・等価のアドバンテージ】
交換率にギャップを持たせることによって、
ホールにおいては「10割分岐」というものを考えなくてよくなります。
※以下、11月11日加筆修正
「割数」というのは、ホールにおける利益率になります。
交換玉数・メダル数に対してどれだけの投資がされたかを見ることになります。
一方で
「出玉率」というのは、台各々の持つ個体の出玉性能を見ることになります。
お店の利益がどうこうではなく、あくまで稼働していた台が「どれだけの玉・メダルをOUTし、どれだけの玉・メダルをINしたか?」を見ることになります。
現在の「等価交換」を基準に考えますと、営業割数は「10割」出してしまった時点が「損益分岐」になります。
しかし、今回の非等価制度での都遊協発表の交換率の下限は
スロット「5.6枚」、
ぱちんこ「28玉」になるわけですから、ホールが赤字になる分岐点は
「11.2割」まで上げることができるわけです。
しかし、
「割数」と「出玉率」は似て非なるものですので、単純に「損益分岐が11.2割=機械割112%まで出しても赤字にならない」というわけではないのですが、設定のベースをあげることは可能になるわけです。
要は、損益分岐点があがったわけですから、その分を設定に還元することが可能になります。
分岐があがった分を還元する気概があればですが。
※加筆修正ここまで
そして、「射幸性」の抑制という意味でも非等価交換には意味があります。
上述のように、等価交換にした結果として高射幸性機に営業を依存する必要が出てしまったので、非等価にすることによってその依存度を低くしようというのも一つの狙いになるわけです。
きっかけがあって、言われるまで動かないのは業界の自浄性の低さのようにも感じますが、何にせよ今回の非等価の動きは業界的にはどの立場にとってもプラスのように感じます。
それはすなわち、「三店方式の第三者性の徹底」にもつながります。
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