[2]「遊技性」と「射幸性」と「のめり込み」の問題 [2015/10/26(月)] |
【メーカーが考える射幸性の捉え方】
メーカー側が考えるところの射幸性というものの答えは、いろんな人にお話を伺う限り
「明確な答えはない」というのが本音のような気がします。
というのも、メーカー側が考えるぱちんこ・パチスロにおいて、博打と遊技を分けるポイントの一つとして「技術介入」や「攻略要素」が存在します。
ぱちんこにせよパチスロにせよ、昔ほどではなくとも技術介入要素は存在します。
ぱちんこで言えば、狙ったところに玉を飛ばせたり、パチスロだったら同じ位置でリールを止めたりといったことですね。
そういうポイントは、実は射幸性には全くつながらないものだと考えられています。
「射幸心を煽る」というのはあくまで、投資とリターンのバランスが取れているかどうかに重きを置いているわけです。
ぱちんこ・パチスロではないですが、わかりやすく言えば、携帯ゲームの課金ガチャにあった「コンプガチャ」。
あれが規制の対象になったのは、「ある一定期間でコンプリートすることにより発生する対価(=プレミア限定カード)」が射幸心の煽りにつながると判断されたからです。
確かに、あの時期のコンプガチャにて、未成年者が保護者の了解を得ず勝手に課金して大なり小なりの社会問題になったことがあったかと思います。
入手を困難にして、それを得るまでの過程が射幸性の物差しになっていると言っても過言ではないわけですね。
なので、業界においての技術介入性は、ぱちんこ・パチスロを「博打」と認めさせない為の一つのスケープゴートになっているわけです。
これを過剰に簡単にしてしまうと、遊技性より博打色が強くなってしまいます。
さて。
それでは攻略要素においてはどうでしょうか?
これは、ぱちんこで言えば「釘読み」という要素、パチスロで言えば「設定看破」という要素になります。
家庭用ゲームでも携帯ゲームでもなんでも、攻略するために知恵を出したり、情報を入手しようとするところと一緒です。
パチスロで例えば、「ベル確率に設定差がある」という「情報」があった場合、それをもって「高設定」に辿り着こうとする行為自体が「攻略要素」につながりますよね。
RPGのゲームで強い敵を倒すためにレベルを上げるのと一緒です。
ただリールを回せば出るとか、ただ玉をはじけば出玉を獲得できるという偶然性に依存しないようにするのが、ぱちんこ・パチスロの本質だったりします。
じゃあ、しっかりそこに重きを置いてきちんと法令順守して機械を作ればいいじゃないかと思われるでしょうが、事はそう簡単に進みません。
というのも、遊技機として設置される以上、ユーザーというのは短時間〜長時間遊べるユーザーと、それは多種多様な人が出てくるわけで。
「技術介入性」を高めすぎれば、それはライトユーザーの門戸をせばめすぎてしまうし、「攻略要素」を高めすぎてもしかりで、とかくライトユーザーには厳しい状況になってしまいます。
そして、現在の遊技人口の1000万人強という人口すべてがへヴィーユーザーのわけがないですから、「技術介入性」と「攻略要素」を高めすぎることによって、さらに遊技人口を減らすことになれば、それは自身で自身の業界の首を絞めることになってしまいます。
なので、ライトユーザーでも「どうにかなる」感を伝えるためには、ある一定期間でそれ相応の出玉を獲得できるための道がないといけません。
その結果が、パチスロで言えば「設定差のないポイントの出玉獲得トリガー」であり、ぱちんこで言えば「初当たり確率1/400」になったわけですね。
「作る側」の人間としては、遊技機の「遊技性」には「遊技者の技術」・「台に対する攻略知識」・「台の持つ偶然性」・「遊技者の運」が必要になり、その割合は概ね「4:4:1:1」位にしないといけないのですが、この割合も現状を見る限り正解でもなさそうです。
実際遊技人口は減っていますし、この割合を変えることが低射幸性につながるか否かの答えは出てきていないのです、現状の開発状況を鑑みると。
なので現時点では、メーカーサイドからすると射幸性に対して「明確な答えが出ない」となってきてしまうわけです。
台を作るという意味だけでなく、遊技機の方向性をわかりかねているという意味でもそれは同様であり、警察から出ている指導の「射幸性の抑制」というのもまた、メーカーの頭を抱えさせる一因になっています。
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