[2]バイオハザード5を巡る、起きてはならない事件の話 [2015/5/25(月)] |
2013年の年の瀬迫る12月頭。
こんな情報が業界を巡った。
「エンターライズ社」の「バイオハザード5」のサブ制御が「ゴト被害」にあっているらしい。
こういうニュース自体は特段珍しいことでもなかった。
特に同時期に、サミーの北斗、大都の番長2、山佐の鉄拳デビルなどもそういう被害に遭い、サブ基板が「総とっかえ」になるのではないかという情報もあった位なので、最初の一報を聞いたときは、「ああ、エンターライズもやられちゃったんだ」位のものであった。
しかし、情報精度が上がれば上がるほど、「おいおい。ふざんけんじゃないよ」ということになっていった。
この不正基板は、
エンターライズの社員と筐体を納入する運送業者の社員が結託してやっていたことだった。
ここで、パチスロ機ができるまでを説明しておこう。
普通、物づくりにおける「メーカー」の立ち位置というものは「開発・設計」が主になり、量産になれば、メーカー所有ではなくてもメーカー認定工場であれば問題がないのがものづくりの常識である。
例えば、「パナソニック」の「おどり炊き炊飯器」。
あれは、メーカーの工場の中で「完成品」を量産しているわけではない。
協力外注が完成品まで作り、そこから出荷している。
しかし、遊技機、いわゆるパチスロ機・ぱちんこ機はそうではない。
必ず、メーカーで完成品にしなくてはならないのだ。
パチスロの筐体ができるまでは、実にいろいろな業者がその仕事を担っている。
フロントドアと呼ばれるものから、リール、ホッパー、メイン基板や今回のテーマであるサブ制御基板などの基板類、それらをつなぐハーネスなどの電線関係。
そういう様々なものが「キャビネット」と呼ばれる箱の中に入っている。
各部位を様々な業者に振り分け、企画台数に合わせて生産するのだ。
ここまでは、家電のような一般品と変わらない過程だ。
しかし、ここから先の「総組立」の部分に関しては「必ず」メーカー登録・所有の工場で行わなければならないと風営法で決められている。
そうなってしまったのにはもちろん理由がある。
「0号機」や「1号機」の時代に存在した、いわゆる「裏モノ」と言われるもののせいだ。
納品後に元々ついていた基板を、出玉を獲得しやすいように設定された基板と交換していた時代があったのである。
それをホールが「認識」したうえで投入していたものももちろんあったわけだが、ホールの意思とは関係なく、不正に交換させられたりしたものも沢山あった。
さらに言えば、ホール設置後にメーカーが交換しても問題にならない時代であったため、メーカーを騙(かた)ってホールに行き、「不具合が発生したから基板の交換をしたい」なんていう輩もいた。
大変な詐欺事件である。
こうなれば、出玉を管理する基板に規制がかかるのも当たり前というもの。
そこで警察は、出玉性能を管理するメイン基板に容量制限をかけ、メイン基板にできることに制限をかけ、
「最終工程における組み立ては必ず自社工場で完結し、かつ出荷後に改造や修理をすることは原則禁止とする」という法整備がされたのである。
この最終工程を自社工場で完結させることによって、そこ以外で改造されることを防止し、
もし何かが発生したらその責任は「メーカー」にあると、責任の所在を明確にしたのである。
そして、メーカーは製造責任として「不具合」や「不正」の起こることに「ようやく」敏感になり、基板に搭載している部品一つ一つにまで神経をとがらすのである。
それは、製造過程での不正の介在を避けるためであり、開発責任・製造責任をメーカーがもつことを認めるためでもあった。
だから、
「不正改造」というものにおいてはメーカーも「被害者」なのである。
まともなパチスロユーザーがホールに行ってパチスロに興じるのであれば、自分が打つ台の設定がいいのかどうかから始まり、高設定の判別要素はどうかとか、周りの台の挙動はどうかとかを探るのが当たり前というか、ごく自然なパチスロの楽しみ方だと思う。
しかし、「不正改造」や「ハーネスゴト」のようなものは、台の本来持っている特性を無視して壊して出玉を強引に獲得するのである。
という話の展開にすると、「そういった不正をされるものが置いてあるのがいけない。だから、ぱちんこをなくせ!」という論調が生まれがちだが、そうではない。
大人気漫画・ワンピースでもあったではないか!
オーロジャクソン号を造ったトムさんが、「造りだすことに善も悪もねぇ!」と。
ぱちんこが存在するのが悪なのではない。
それを不正に改造し、開発者の思いや導入したホールの利益を損ない、そしてほかのエンドユーザーの「楽しむ場所」を減らそうとする行為が悪なのだ。
・・・アツくなってしまった。
話を戻そう・・・。
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