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回胴小噺



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マルホン工業の民事再生と奥村遊機の自己破産 [2015/4/20(月)]

えー、いっぱいのお運びで・・・。

ありがとうございます。
春川亭三七です。

いつもいつも、暖かいコメント手厳しいコメント頂戴いたしまして、ありがとうございます。

励みになったり、勉強になったり…。
電車の中で「むふふ」とほくそ笑んでみたり…。

電車の中でひとりにやにやしているやつがいたら、それはわたしです。
気軽に「よっ!さんしっつぁん」とお声がけくださいな。
ぎこちない会釈をプレゼントします。
ただの人見知りですから。

わたくしがここで書かせていただくきっかけって、昨年行われたこのサイトの忘年会に参加したことからなんですが、最初席ついたときは、「あっ。なんか理由つけて10分で帰りたい…。」って思っていましたから。

そこから読者日記を投稿するようになり、そして今やクランキーさんに「次どうしましょうか?」って連絡するようになるのですから。
わからんもんです。

そんな人見知りのわたしが何が言いたいかって、

「アルコールは人見知りも癒してくれるんだなぁ」

・・・ってことじゃなくて。

書くのが好きとか、こんな自分の立ち回りをみてくれ!なんならわたしの恥部まで見て!もしくは抱いて!なんて人は、どんどん参加してみたらいいんじゃないかと思います。

だって、わたしが無知なだけかもしれませんが、こういう参加型のサイトってあんまり知らないですもの。
同じ趣味でネットという媒体でつながる…。
SNSが当たり前に普及している中、文章や画像だけでつながっていく。
こういう、硬派なところが私は好きだったりするんですけどね。

まぁ、ただクランキーさんが私より輪をかけて人見知りなだけだと思いますけども。
たぶん、本当に「抱いて!」って言われても、120%大丈夫だったとしても抱かないですよ、あの人。

え? 花火さん?
たぶん抱きます。


・・・えー。
ゴホン・・・。

怒られる前に本題に行きます。

今回はデリケートなところについて私の意見を綴れればと思います。
どうぞ、最後までお付き合いください。

 


いきなり私事で恐縮ですが、映画「パルプフィクション」が好きなのですよ。
ストーリーもさることながら、ああいうつくりが。
10分前に観た話がこっちに繋がるのだなとか。

この場面は、一方の立場とは違う立場から観たら、また別の心情なのだなとか。
違う景色が見えるのだなとか。

そういう一つの大きい柱から枝葉に分かれていく話が好きなのです。

そういった意味では、本日のお話は【第2回】を読んでいただいた方にはスッと理解していただけるかと思います。

本日のテーマは、「マルホン工業の民事再生と奥村遊機の自己破産」についてです。

どちらも、自己資本での運営ができなくなったという意味では同じです。
ただし、業界的な意味では「民事再生」「自己破産」では全く意味合いが違ってきます。

その辺を、私見を交えてお伝えしようと思います。


まずは、両社の共通点について。

●業界においては力の「あった」老舗だった

●近年は「キラーコンテンツ」を出せていない

●名古屋の拠点から抜け出せていない


…という事です。
順を追って説明させていただきます。

 


【老舗であったこと】
わたくしごときがこんなこというのも生意気ですが、両社とも「老舗」に胡坐(あぐら)をかいていた感は否めません。
「こういうブランドがあるから、いずれ分かってもらえる」という甘えがあったような気がします。

「ようやく」ぱちんこでトップを取れたサミーだって、市場での需要に関してはとっても敏感で、だからこその「北斗の拳」大プッシュだったわけです。

なりふりかまっていられない。
求められている。
必要とされている。

そのうちに、市場に投入できるように開発を急いできたわけです。
「やるなら今しかねぇ!」精神ですよ。

結果、2014年についてはぱちんこ販売台数トップという勲章を得たわけですが、最新の北斗において「あれ?」と思わせたりもしました。

というのも、これまでサミーがぱちんこで「北斗」を出すときは必ず「新筐体」にしてきたからです。

しかし、2014年に関しては同筐体で2タイトル出してきました。
特に北斗は作りが「バトル」タイプに依存する傾向にあるのに、それでも2タイトル出してきたわけです。

そこには、サミーの「ぱちんこでトップを取るのだ!」という強い気持ちが見えてきます。

スロットの方で新規制の話が業界的にまだ表立っていなかったとはいえ、「規制がかかるかも・・・」という状況が見え隠れしていた状況だったので、急いで出したのだろうという気持ちはわからなくもありません。
しかし当時、そういう状況が見えないエンドユーザーの立場からしたら、「なんで?また北斗?」という気持ちもあったはずです。

しかし、スロットに閉塞感が漂っているのならぱちんこでなんとかしようという、おおよそ、トップメーカーとは思えぬ泥臭さがありました。

ところが、マルホンと奥村にはそういう「なんとかしたい気持ち」が見えてきませんでした。

もちろん、販売の強さ・弱さはあるかと思いますが、なんだかんだいってもこの2社は老舗ブランドです。
その気になればもう少しどうにかできたかもしれないのに、なんとしてでも売ってやろうというような台は、ここ数年見れなかったような気がします。

 


【キラーコンテンツを出せていなかったこと】
キラーコンテンツで言えば、両社とも、評価された時代の機種と比べて、今の市場需要に合ったものを作れなかったというのは大きいでしょう。

しかしこれは、両社の開発力の問題だけではありません。
ホールにおける「MAXタイプのバランス」に起因してしまいます。

だって、「ホールで求められるMAXタイプのぱちんこは?」と問われれば、おそらく「牙狼」「慶次」「北斗」でしょう。
なので、両社が「MAXタイプ」を出しても、ホールや打ち手には求められていないのです。

かといって「ライトミドル」や「甘デジ」で出したところで、ホールは要らないのですよ。
シマの数が限られているから。

そこはホールのあり方に起因するので、一概にメーカーが悪いとも言えないのですが。

なので、うがった言い方をさせてもらえば、キラーコンテンツが出せなかったのは気の毒と言わざるを得ません。

 


【名古屋から抜け出せなかったこと】
三つ目の「名古屋拠点を抜け出せなかった」については少々ややこしい話なのですが…

分かる人には分かる言い方をさせてもらえば、「漫画・新宿スワン」で言うところの「横浜・タキ大国」なんですよ、この業界にとっての名古屋って。

とにかく、名古屋で購入・開発を完結しようとする傾向にあります。
よそから来た新参者はなかなか受け付けてもらえないのです。

例えば、コストメリットがあってメーカーに売り込みをかけると、ほかの下請け業者からメーカーに対して「そっちと取引するならもううちはいれないよ?」っていうのが成り立ってしまうのです。
本来ならば、メーカーとしてはコストメリットありきで動くべきなのに。

それができないのが「名古屋拠点」なのです。

そこを脱却してうまく購買をしたのが、購買拠点を手広く広げた「京楽産業」と、購買をサミーの一括購入にした「タイヨーエレック」です。

業界において、名古屋に依存しないあり方というのは一つのテーマです。
下請け業者については、名古屋を攻略するのが販売ルート拡大のテーマになるわけです。

この辺が、マルホン工業と奥村遊機がうまくいかなくなった理由かと推察できます。

 


【なぜマルホンは「民事再生」で、奥村は「自己破産」となったのか】
さて、では両社の「民事再生」と「自己破産」の意味合いの違いについてご説明させていただきます。

お断りさせていただきますが、この辺の私見は、わたくしの思うところと他メーカーの方の意見を総合して導き得る「可能性」に過ぎない、と考えていただければと思います。


マルホン工業が自己破産ではなく民事再生を選べた理由は、ざっくり言ってしまえば、「マルホン工業という会社にまだ利用価値があったから」だと思います。

マルホン工業は、「日工組」加盟メーカーなわけです。
お分かりですね?
当連載の第2回でも取り上げた、「特許権の共有」があるわけです。

この7号業界に限った話ではなく、特許権というのは拘束期限が決まっています。

例えば、「太宰治」の本を検索してみてください。
おそらく色々な出版社から販売されているはずです。

それは、結局のところ、一つの出版社から販売できる権利が切れたから他社から販売できるようになったわけです。

このように、マルホン工業に関しては、おそらくまだぱちんこ開発において「日工組」として保有したい「特許」を所有しているという事です。
それがなくなると、また新たによそのメーカーがその特許を取らないと「日工組」としての秩序がなくなってしまうのです。

しかもパチスロの新内規同様、ぱちんこも新内規を作っていて、現行「MAX」は10月までに設置を終えないといけません。

だからマルホンは、現状は「倒産」ではなく、「民事再生」として会社を残すわけです。

だって、民事再生法を申請したのに、全社員解雇していますからね。
なんか裏がありそうと考えるのが普通です。


対して、奥村遊機に関しては倒産なのですよ。
発表された総負債額は約70億と、マルホンと同じくらいなのに。

なぜか?

意地悪な言い方をすれば、奥村には利用価値がないのですよ、もう。

奥村遊機が所有している特許権は、既にオープンレーンになっているはずです。
太宰の本を色々な出版社が販売できるのと一緒です。

奥村が持っているものは、奥村に使用料を払わなくても使えるのですよ。


以下はわたしの推察ですが、おそらく今後マルホンについては、どこかのメーカーか他業種の会社がマルホンの権利を買い取ると思います。
でなければ、自民党が「地方再生」をうたっている中、全社員解雇を認めて民事再生にできるとはどうしても思えない。
この辺が「民事再生」と「自己破産」の違いのからくりかと思います。

それでも、やっぱり衝撃なのですよ。

戦後のどさくさから生まれた「正村ゲージ」を元に発展してきたぱちんこも、もはやそのゲージは形骸化し、メーカー固有のキャラクターや版権を元にした台に人気を依存することとなってしまったわけです。

そこに、ぱちんこの起源を支えてきたメーカーがついていけなくなったというのは、やはり業界的には現状のあり方に一石を投じる結果となるわけですよ。

推察ばかりで申し訳ありませんが、もし海物語の「三洋物産」がマルホンや奥村と同じ道を歩むこととなったら、ぱちんこは終わりだと思います。
あそこの所有している特許はそれだけ強いものですので。
いくらお金をかけても所有権を放棄しないと思います。

 


といったところが、わたしの今回の老舗2社に対しての印象です。

今後、各社生き残りに向けて体制を整え始めるでしょうね。

下請けに関して言えば、そこについていけるだけの生産力・開発に協力出来るだけの知識・技術力が今後求められることになるでしょう。

パチスロで言えば、生き残りをかけるという意味では、ユニバーサルはこのタイミングで賢い選択をしたと思います。
日電協脱退はその布石かと思われます。

もはや、日電協に入って特許を共有しているメリットはないという判断が吉と出るか凶と出るか…。

今後、各社においてどういうメリット/デメリットがあるかは動向を見守っていくとしましょう。


といったところでお時間です。
ご拝読ありがとうございました。



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