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回胴小噺



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版権の取り扱いについて [2015/3/30(月)]

どうも。
春川亭三七(しゅんせんていさんしち)でございます。

連載1回目から、皆様からのあたたかいお言葉を頂戴いたしまして、ありがとうございました。

前回の記事にて「ご贔屓」と書かせていただいたところを「ご『し』いき」と読んでくださった方がいたとしたら・・・
一杯飲みに行きませんか?

えー、冗談はさておき。

斬ったつもりはありませんが、確かに「踏み込んだ書き方をさせていただいたかな」と思います。

基本的には、わたしはメーカー寄りの人間です。
メーカーが機械を作る手助けをさせていただいている今の仕事を誇りに思っております。

それがどういう業界であれ、エンドユーザーとしてはもちろん面白い/面白くないの評価をするのは当然です。
ただ、現在の業界状況はすべての台を平等に評価するベースにない気がしています。

メーカーのあり方やホールとしての立場。
それは、一概に「こうしよう!」なんてことは簡単に言えませんが、エンドユーザーが楽しむための場を、この連載や「連打!」を通して皆様と共有できたらと思っております。


さて。
連載第2回目でございます。

1回目がご好評いただいたので、ハードルが高いですね…。

えられますでしょうか?

越えられそうになかったら、皆様のお力添えをいただければと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 


イメージしていただけるだろうか?

子供の頃、大好きだった食べ物。
大好きだった頃に販売が終了してしまった。

その食べ物が、20年の時を経て復活!
当時のメーカーからではないが、販売されることとなった。

郷愁の思いとともにそれを買いに行き、久しぶりの再会に心躍らせ、手に取り、「そうそう、こんなだったな。」という独り言とともにスッと口に運び、味の再現性の高さに感嘆を覚えながらも、心の隅で消えないこんな思い・・・。

「あれ? こんなもんだったっけ?」

例えば私の場合、「ビックリマンチョコ」がまさにそうだった。

シールを手に入れるためにお菓子が捨てられるなどの社会問題が起きたほどのビックリマンチョコ。
子供の時分に、「シールというかお菓子が美味しいのに…。」と思っていた。

大人になり、たまたまコンビニで見かけたビックリマンチョコ。
「へぇ〜。復活かぁ…。」と手に取り、食べてビックリ!

「あれ? こんなもんだったっけ?」

である。

人間という生き物は、小さい頃に記憶したこと、特にポジティブなイメージの記憶というのは忘れにくいものらしい。
なので、小さい頃「楽しい!」と思ったことや「美味しい!」と思ったことは忘れにくい。

そして、一度ポジティブ側で記憶されたものは、他人からどう評価されても自身で気持ちの切り替わりがない限り、なかなかそのイメージを覆すことはできない。

主観で良いイメージを抱いていたものが、自身の成長・感覚の変化で「良かった記憶」のみが残り、その中身がなくなってしまう事という経験がないだろうか?

時間の経過の手助けなしに、外的要因によりぱちんこ・パチスロではそんなことが起こりやすい。

「バジリスク」のぱちんこが出たときに、上のような気持ちにならなかっただろうか?
「はっ?なんで奥村遊機なの?」と。
「バジの版権てユニバが持っているんじゃないの?」と。


業界内でよく言われることだが、製造業のあり方として「7号業界の常識。世間の非常識。」という言葉がある。
普通に考えればありえないことが、ぱちんこ・パチスロ業界では起こりうるのだ。

その一つが本日のテーマ。
「版権」についてである。


業界的には、ぱちんこであれパチスロであれ「一つの業界」としてカウントされるべきだ。
事実、風営法の中でも「ぱちんこ・パチスロ」というものは「風営法第2条第7号」に属する。
「ぱちんこは7号でパチスロは8号」というカウントではない。

なのに版権は、「ぱちんこ」に売る版権と「パチスロ」に売る版権は別物になる。

なぜか?

もし、文字数に限りがあり、もう締めなければいけなければ「大人の事情」と書いて終えるのが早いのであるが、踏み込んで言えば、「管轄組合」の違いという事になる。

当たり前だが、版権というものはその権利を購入したものに帰属する。
なので、上記の「バジリスク」の場合、最初に版権を買ったのが「ユニバーサル」であれば、「ユニバーサルでしか使えないのではないだろうか?」と考えるのが普通だ。
だが、「奥村遊機」も買えるのである。

ここに、「一業界、二組合」の面倒くささがある。
それが、日工組と日電協である。

日工組と日電協の役割を細かく紐解くと、いささかややこしい話になるので割愛させていただくが、日工組はぱちんこの製造メーカーが加入する組合で、日電協はパチスロの製造メーカーが加入する組合と思っていただいていい。

ともに共通しているのは、「遊技機製造」というものに関してのスタンダードを決めるという事。
規制の中で、「これはやっていい」「これはやってはいけない」の線引きを加入メーカー同士で持つのである。

そして、ともに共通しているのが、「特許権の共有」である。

例えば、パチスロでいうところの「ウェイト」。
これは「4.1秒以上」と特許にて保護されている。(確か高砂所有の特許だ)

それを、「パチスロ機」を作るたびに「高砂」に特許使用料を払っていては、「高砂」はそれだけで経営が成り立ってしまうし、それを使いたくないメーカーが出てきた場合、都度ウェイトの時間に関する「特許」が生まれてしまう。

そういう事を避けるために「特許権」を共有するのだ。


ぱちんことパチスロでは「特許」の質が違う。

ぱちんこからしたら、「ウェイト」は必要ないし、パチスロからしたら、「球の打ち出しスパン」なんていらない。
なので、組合が分かれている必要があるわけだが、両方やっているメーカーからしたら両方のものを使えた方がいいに決まっている。

その説明に一番向いているのが、「平和/オリンピア」だ。

「オリンピア」は「両組合」加盟メーカーであるが、「平和」は「日工組」にしか加盟していない。
なので、もし「平和」名義でパチスロを作ろうと思うと、各社に多額の特許使用料を払わないといけないのである。

よって、「平和/オリンピア」として「グループ化」することにより、会社内で「日工組」と「日電協」の「権利の使用」について風通しを良くしているのである。


版権の場合は、またこれとは違う。

版権の場合は「加入メーカー間」での共有はなく、「どっちの組合に帰属するメーカーに売ったのか?」という事になるのである。

なので、「ユニバーサル」の「バジリスク」の販売の後に日電協加盟メーカーは「バジリスク」を買えない。
しかし、日工組加盟メーカーの「奥村遊機」は買えるのである。

説明しやすくするために、当サイト管理人のクランキー氏に登場願おう。

例えば、「管理人クランキー」という大きなくくりがあるとする。
その中に「パチスロ立ち回り講座」と「FX初心者向けFX講座」という二つの「サイト」がある。

そこに、「A」という商材を売りたいという者が現れた。
便宜上、この「A」はどちらのサイトでも使えるものとする。

その「A」という商材を使う「権利」を、「立ち回り講座」で買ったとする。
買ったのはあくまで「立ち回り講座」であり、「管理人クランキー」ではないわけだ。

なので、「A」を「FX講座」でも使いたい場合は、後々「FX講座」でも「A」を買う必要があるのだ。
「大元の管理人クランキーが持っているわけではない」という発想である。
売り手が得をする環境になっているのである。

イレギュラーなところは、サミーの北斗の拳シリーズと平和/オリンピアのルパン三世シリーズ。
この2つに関しては、いわゆる「不可侵条約」のような「暗黙の了解」ができているのである。

なぜそうできたかは、メーカー側と特許販売の中でやり取りがあったわけだが、その時に尽力したのが現・日電協会長にしてサミーの代表取締役である里見治(敬称略)の力添えによるところなわけであるが、それはまた別の話…。

 


いかがでしたでしょうか?

エンドユーザーの立場からしたら、どこがどの版権を持っていようが面白い台が出ればいい!というのが本音だとは思うのですが、メーカーによって「特徴」があるわけです。
その特徴を守るために、版権の購入にも足枷があるのです。

さらに言えば、昨今の業界向け版権料は高騰しています。
売る側に強みがある故の足枷です。

そういうところ以外にも面倒な申請業務も多く、一つの機械を作るのにたくさんの時間とお金がかかっているのです。

なので、「業界が悪くなったのは、機械代ばっかりあげてくるメーカーのせいだ!」とひとくくりに言わないでいただけたら、幸いです。

といったところでお時間です。
ご拝読ありがとうございました。



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