30回目でございます。 春川亭三七でございます。 さて。 本日は久々に「読者様への質問回答」をお送りしようかと思っていたのですが、そうは問屋が卸さない事態が発生いたしましたのでね。 予定を変更して、釘問題に付随して「いちエンドユーザー」として此度の釘問題の理解のためのコラムとさせていただこうかと思います。 質問回答は次回に持ち越しという事で…。 ご容赦くださいませ。 釘問題の詳細については、花火あにさんの「第82回コラム」をご参照ください。 かみ砕いて実に分かりやすく書いてあります。 さて。 それでは、いってみましょう。 【釘問題理解のために把握すべき概念、「適合」と「検定」と「認定」】 ぱちんこ・パチスロという遊技は、「風営法」に管轄される「申請事業」に分類されますから、その遊技機が社会的に問題のないものであることが保障されないといけません。 この辺はいわゆる「性風俗」でもそうですし、「ゲームセンター」、「キャバクラ」、「クラブ(踊るほう)」でもそうです。 法律の範疇において、その基準・規格の中で営業を行わなければなりません。 何はなくとも、営業の為に「認定」を得なければ、「ぱちんこホール」として営業は成り立ちません。 そして、その「認定」のスピード感は47都道府県の「公安委員会」に依存します。 なので、都道府県によって新台導入速度の格差があるのです。 たくさん買ってくれたからといって、トップ導入できるものでもありません。 最近で言えば、「マクロス〜ボーナスライブ〜」は東京での導入は他県に比べて遅かったはずです。 これは結局、他県に比べて東京での「認定→営業許可」が遅かったからだと言えます。 何はなくとも「認定」なくして営業はできないわけですから、風営法下においては何よりも「認定」が最上位になってくるわけです。 そして、「認定」を受けるためには「設置される遊技機が法基準的にも社会的にも問題がない仕様」である必要があります。 本来であれば、設置される機械一台一台を基準・規格に則って試験しないといけません。 しかし、導入する「ホール」にも「47公安委員会」にもその力も設備もありません。 では、どうするか? そこで、登場するのが「国家公安委員会規則」に則った基準を持つ「保通協」です。 保通協では、「遊技機」自体を試験しているわけではなく、「遊技機」を構成する「型式」を試験しているわけです。 この型式試験には、「筐体の部材」・「役物の構成」・「搭載電子部品」などの「ハード/メカ面」から、「出玉性能」や「演出の内容」に関わる「ソフト面」まですべてを試験します。 そしてこの試験を通過することが、一般的に言われる「型式の適合/不適合」になります。 この保通協試験、要はメーカーが「型」を用いて作った「遊技機」の「同一性の担保」を目的としています。 先ほども書いたように、各都道府県公安委員会には設置される一台一台を試験することは出来ませんから、この「保通協試験」での「型式の適合」をもって、メーカーが初めて各都道府県の公安委員会に「検定」を受けることができ、この「検定」をもって初めてメーカーはホールに対して販売が可能になります。 そして、買うと決めたホールは、対象台が「保通協試験に適合し、かつ公安委員会の検定を受けた」ことを持って、「認定」を受けることができ、ホールに設置することができます。 えーと・・・。 なんてめんどくさいんだ…。 保通協ありきで営業可能かと思いきや、法整備的には各都道府県公安委員会が管轄の「認定」が上位で、実務的には「検定」がないことには販売も出来なければ製造も出来ない。 しかも、その「検定」を受けるためには国の試験機関・保通協で「適合」を受けなければいけない・・・。 こんな回りくどいルートを持って初めて、メーカーが作った「型式」は「遊技機」として日の目を浴びるわけです。 釘問題の理解として、「適合」「検定」「認定」があるわけですが、こんな回りくどいものをなぜわざわざ説明したのでしょうか、わたくしは・・・。 先に進みましょう。 そうすれば、わかっていただけると祈ります・・・。 【釘問題の諸悪は『2項取り消し』?『無承認変更』?】 法律の限られた範囲の中で作られるわけですから、設置される遊技機(ぱちんこもパチスロも)はもちろん機械としての規格があるわけです。 その設置された遊技機の規格が、「どの時点で」遊技機規格に違反していたかで処分される区分が変わってきます。 「2項取り消し」というのは、メーカーが作った型式そのものがダメ!と判断を下すことです。 正確には「風営法第20条第2項違反による認定取り消し」ですね。 要は、「なんかいけないことして、検定受けて認定させただろ?この野郎!?」ってことです。 「無承認変更」というのは、ホールが納品されたものを変更申請無しに勝手に改造したとして下される処分です。 最悪、該当ホールだけではなくグループ全体の営業停止まであり得ます。 ざっくり、言ってしまえば、 ●2項取り消し = メーカーの責任 ●無承認変更 = ホールの責任 という風に理解してもらえればいいかと思います。 今回の釘問題の発端は、「遊技産業健全化推進機構」による「遊技機性能調査」にあります。 この調査において、他穴入賞口への入賞が著しく低いため、「おい、こら。適合型式と市場設置台の性能が違うやないかい!?」って怒ったわけです、警察としては。 では、警察は今回、「2項取り消し」を選ぶのか? はたまた「無承認変更」を選ぶのか? つまりは、メーカー側の責任とするのか? ホール側の責任とするのか? となるわけですが、そんな回りくどく処分するのではなく、一刀両断で「遊技機規制違反」を選びました。 遊技機規制違反とは、簡単に言えば、「社会不適合機だから撤去しまーす」みたいなこと。 だから、「ホールもメーカーも完全強制撤去をしてほしくないならば、業界自浄努力で何とかせい!!」としてきたわけです。 ここで「おや?」と思った方は勘がいい。 そうです。 それでは、「型式」を「適合」させた「保通協」の責任はどこへ?となってきます。 【うまく立ち回った警察と、丸め込まれた業界】 「適合」〜「検定」〜「認定」の流れの中では、「開発責任」・「設置責任」があるわけです。 となると、開発した台の責任はメーカーにあり、設置した台の責任はホールにあると大別できます。 しかし、その両方に国と地方の「公安委員会」が絡んできますよね? メーカーとしては、「保通協」の適合と「公安委員会検定」の授受。 そして、ホールとしては設置の「認定」と営業の許諾。(正確には許諾は都道府県警所轄の管轄ですが、便宜上このまま進めます) もし、「2項取り消し」に舵を取るのであれば、結局のところ「保通協」のあり方にまでメスが入ってしまいます。 そしてホールにしてもしかりで、「無承認変更」を取り締まれなかった所轄のあり方まで目をつけられてしまいます。 そうなると、業界の土台からぐらりと揺らぐことになりかねません。 なので、「(とりあえず我々の事は置いておいて)あなたたちがなんとかしなさい!」となっての「遊技機規制違反」という運びになったわけです。 「いや、でも・・・これまでも・・・」って思いもあるわけですが、痛くない腹をさぐられたわけではなく、メーカーもホールもなにがしか腹に抱えているわけですから、忸怩たる思いでこのご指導を受け入れたわけですね。 自浄作用として行なった「遊技機性能調査」を逆手に取られた格好です。 自分たちの責任区分はあいまいなままに、実にうまく立ち回られてしまいました。 【泥仕合にならないために・・・メーカーもホールも歩み寄りを!】 「高射幸性機の抑制」という意味では自浄作用の動きを評価され、かつ日工組が「下取り」を認めたわけですから、ここに関してはもうメーカーがある程度責任を負わなくてはいけないわけですが、今回の釘問題に関してはそうはいきません。 メーカーとしてはこれ以上の下取りはごめんだし、ホールとしては「強制撤去」なんてことになったら、パチスロの「4号機→5号機」の時のように「ぱちんこホールベニヤ祭」の開催になってしまいます。 泥仕合となると、そらもう目も当てられません。 メーカー 「うちはちゃんと規格通り入れたもん! ホールの無承認変更だ!」 ホール 「アホ言いなや! 規格通り設置していて、営業成り立つかい!? 2項取り消しだ!」 この繰り返しになること必至です・・・。 いやぁ、笑えない。 笑えないよ・・・。 せっかくぱちんこで「天元突破グレンラガン(ミズホ)」適合したのに笑えないよ…。 余談ですが、ぱちんこ・「グレンラガン」、ミズホ(ユニバ系)で適合しましたが、これ、「じゃあ、パチスロもユニバ系で期待できるかな?」なんて思ってもまだなんとも言えません。 だって、版権持っているのは「フィールズ」ですから。 ユニバ系でぱちんこ出したって、フィールズにはまだ版権の売り先はありますからね。 ナナショウやビスティ、他にも旧アリストのクロスアルファとか。 パチスロはどこから出るのかまだまだ予断を許しません。 ちなみにわたし、グレンラガンめちゃめちゃ好きでしてね。 ガイナックスの作ったアニメだったら、エヴァより断然グレンラガンです。 もし未視聴の方がいたら、一度観ていただきたい。 どうでもいいって? いや、観てみなさいって。 面白いから。 読者を信じる俺を信じろ。俺を誰だと思っていやがる?(←グレンラガン好きな人ならわかります) さて、閑話休題。 業界内の話ばかりだったので、箸休めでぱちんこ・パチスロの話を入れてみましたが、本題に戻ります。 【お先真っ暗か?はたまた巻き返すか?】 どこに妥協点を持ってくるか、そして、自浄作用において、業界が今回の警察の指導の本気さをうかがい知れるかが大きなポイントになるかと思います。 「現在の市場設置台においては『CR○○』が断然ダメです! 取り急ぎそれを強制撤去します!」なんてことになったら、「ミイラ取りがミイラ」になるだけです。 だって、生贄をさらしても、他の台だって生贄と同じような仕様になっているのですから。 だったら、いっそのこと「全部そういう仕様です」ってことを認めてしまえばいい。 「これまでの警察庁様の寛大な処置によりホールもメーカーも甘えてきましたが、これからは心を入れ替えて、低射幸性及び釘の問題にきちんと対応できるような仕様に切り替えてまいります」ってくらいにへりくだれば、無下には「No!」と言えない立場に警察だってあるわけですよ。 言いなりになるならば、規制を緩和していただけるだけの材料はないわけでもないのです。 メーカーだって、ホールだって。 巻き返す材料は残っていると思っています。 メイン基板移行だって、最初は「2年かかる」って言っていたのに、もう「山佐」だって「大都」だってうまく移行させたわけじゃないですか? となれば、ぱちんこだって、釘以外のところに活路を見出すことだって可能になると思うわけです。 それは、「ハード面」での開発なのか、はたまた「ソフト面」かはわかりませんが、メーカーの方から入ってくる話だと、 「いまさらな感じで、厳しい指導だとは思うけど、ぱちんこの開発が絶対に無理とも言い切れない」 ってことでしたからね。 まだ、死なないし、死ねないでしょう、業界は。 だって、もしぱちんこが全面的になくなったとしたら、愛知県自体がどうにかなるレベルなのではないかというくらい、愛知県にはメーカーのみならず関連企業が山ほどありますからね。 製造業においても、愛知県は「車⇔ぱちんこ」でくるくる回っていますから。 製造側からしたら、「営業稼働」を止めないために、相互に影響しあっている製造業者が沢山あります。 その片翼が無くなったらと思うと、ちょっとゾッとするレベルです。 なので、希望も込みで巻き返してほしいのが本音です。 【田沼意次か?はたまた大岡越前守か?】 今回の警察庁からの行政講話(警察からは絶対に指導とは言わない)は、これまでの「ぱちんこ」というもののあり方を根本的にひっくり返すような話でした。 極端な話、ぱちんこから釘が無くなるような話になるかもしれませんし、ぱちんこにも「設定」というものが生まれることになるかもしれません。 現状ではなんとも言えませんが、とにかくメーカーもホールも今回の「お裁き」を受けて態度を改めるならば、それは業界だけではなくエンドユーザーも巻き込んだ、全体が良くならなければ意味がありません。 警察も含めて、もしどこか一つのグループだけが甘い蜜を吸うことになり、遊技人口回復や業界のイメージアップにつながらないのであれば、今回のお裁きは米問屋が儲かり、さらに一部の政治家が私腹を肥やし(=賄賂)、なのに民衆の生活はひっ迫して「民衆一揆」につながったような、「田沼意次の圧政」なってしまうでしょう。 しかし、今回のお裁きで「あれ?全然いけんじゃん?ぱちんこ・パチスロ面白いじゃん?」ってなったとしたら、大岡越前守よろしく、「弱者」のためのエンドユーザーを救うための名お裁きになるのではないでしょうか? であれば、将来こんな会話が聞こえるようになることを夢見て締めることといたしましょう・・・。 エンドユーザー : 「最近、ぱちんこは健全で楽しいものであると再認識させていただきました。 それもこれも、あの時の警察庁のご指導があってのたまもの。 まさに大岡越前に劣らぬ名お裁きでございましたぁ〜。」 警察庁 : 「いやいや。 そなたたちが言うほどの事をしたわけでもないのだ。 当たり前のことをしたまでなのだ。 相手がぱちんこ屋であろう?」 「少々、強めに『釘を刺しておいた』」 お時間です。 お目通しありがとうございました。 【 回胴小噺 】 メニューへ
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