[3]釘問題の回答を受けて〜淘汰されるべきはメーカーかホールか〜 [2015/12/7(月)] |
【論点がぼやける警察庁】
今回、釘問題を受けて「釘に問題のある型式をリスト化せい!」って言っておきながら、「そんなリストは今ないぜ?」っていう警察庁の柔軟性(嫌味)はなかなかどうして大したものですが、その2枚舌のおかげで、今回の問題の大きさはだいぶ希薄されたように思います。
というのが、まず、型式申請しその型で検定を受けるというメーカーが悪だという方向に持っていき、「『型式申請』=『市場流通』という声明を出しなさい」と指導したかと思えば、機構の市場調査は不正改造の可能性を感じられるとホールに対しても指導をしているのです。
結果として最終的には、「あまりに責任区分がメーカーに寄りすぎると、ホールに対しても処罰しますよ?」という、なんとも曖昧模糊な言い回しで責任追及をしてきました。
指導方針として、喧嘩両成敗だというのならともかくとして、「こっちの角度からみたらメーカーが犯人だけど、こっちからみたら犯人はホールです。 ただし、犯人捜しは置いておいて取りあえず『健全化』の声明を出して心を入れ替えなさい」って言うのは、いささか乱暴な気もするわけです。
前回の記事で「喧嘩両成敗的に遊技機規制違反」という書き方をしましたが、説明会後の言い分だと、どうやら「どこに責任区分を持っていいかわからないから遊技機規制違反にした」っていうように見えるのですよね。
こういうことになってしまうのは、結局のところ「警察庁の責任」がどこにも見えないからで。
そもそも、釘の問題にしても法の中に「おおむね垂直とは、盤面に対して○度未満の事をいう」という一文があるかないかだけで、一目瞭然に「2項取り消し」か「無承認改造」かの舵は取れるわけですから。
保通協と公安委員会の責任がまるっと抜けている現状なので、おそらくメーカーもホールも釘問題の「責任」の取り方には苦労するはずです。
【結論 : ホールもメーカーもどちらも淘汰されない】
わたし個人の考えで言えば、今後「釘問題」が直接の理由で淘汰されるメーカーもホールもないと考えています。
「いままで通りの釘で申請したら100%落ちる」というのはもはや当たり前で、そうならないためのハード設計の申し送りがあり、それに準じた開発を進めるわけですから、今後はベースが高く遊びやすい設計にはなってくるでしょう。
ホールにしても、「今後」は「遊技機」で問題が発生したら、それは「メーカー」のせいにできるわけですよ。
いじれないのですから。
そうなれば、今回みたいに責任のなすりつけあいにはなりません。
そして、なにより遊技釘の問題について「警察庁が大元の根っこを狩りにきているわけではない」というのが透けて見えます。
規則改正に持っていくような話になるのであれば、「釘」というもの自体を完全撤廃する動きに持っていけばいいし、そうすれば、メーカーはゼロから設計のやり直しだから大打撃です。
ホールにおける運用を見直したいのであれば、所轄の警察との連携を密にすればいいだけの話。
現状、ホールの摘発事例は警察からの直接的なものはほぼなく、所轄のホールに対する監視の目の鋭さに依存していますから。
どっちの指導に対しても、これといった絶対的なものがない状況ですので、結果論的に今回の「釘問題」は業界を揺るがす爆弾ではなく、今後の規制の方針を見定めるための指針でしかないような気がします。
「責任」の取り方で言えば、今後もメーカーサイドもホールサイドももめることは必然です。
とどのつまりは「お金」の問題になってきますから。
しかし、歩み寄る姿勢が見えてないわけではありません。
メーカー側がシェアコントロールに協力したり、リスト化にあたってホール側で強要はしなかったり、という感じですから。
これをきっかけにいい方向にかじ取りをしていってもらいたいと思います。
といったところでお時間です。
お目通しありがとうございました。
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