[2]メーカー開発者の市場分析方法〜SISデータは見逃せない〜 [2017/10/19(木)] |
>サ○ラ大戦3は出過ぎるからって何だよ。メーカー悪くないだろ!
ふーむ、2011年の出来事になるので今から6年前。
撤去騒動になったのは記憶に新しい。
これに関しては、何が原因かと言えば、ホールからしたらメーカーから説明された性能と違うということに問題があるのだろう。
設定1の出玉率が97%と発表されているのに、実際は100%以上で動いているのだから、ホールとしては困りものというわけだ。
実際問題、我々に置き換えても、例えば買ってきたパソコンのスペックが説明されたものより悪かったらやっぱり怒るだろうから、ホールも悪くはないだろうな。
しかし、逆に「設定1が抜けすぎる」「設定6が出なさすぎる」などの問題が起きてもホールは何も文句を言ってこないのに…という不公平さはユーザー視点では感じてしまうものだけどね。
ただ、この手の「甘すぎる」などの問題でメーカーが保証するケースは中々ないので、もしかしたら、開発側で結構な設計ミスが本当にあったのかもしれない。
少なくとも保証しているということは、メーカーが“悪かった”と認めているということだ。
>バグが出た場合の保証はないの?
残念だが、メーカーでの保証は行なっていないはず。
ホールの対応によるだろう。
読者様から「AT中にナビなしバグ体験したわ。AT中に追加投資とか笑えない。」なんてコメントもいただいたが、さすがにこんなレベルのバグが出たのであれば、ホールも対応してくれるところがほとんどだろう。
ただ、もちろんバグでないケースも存在する。
例えば、ARTの準備中に押し順ナビを無視してしまう。
その時に普通に打っていると起きないが、ペナルティしたがゆえにフリーズする状態に上がってしまう。
結果、本来起きるべきでないときにフリーズが発生してしまうというわけだ。
ペナルティが起きた時にどうなるかなどユーザーはわからないので、フリーズしたのに何も起きなかった等のクレームにつながる場合もある。
大体、「ユーザーからホールへ問い合わせ⇒ホールからメーカーの営業に問い合わせ」と来て、ようやく発覚する。
そして、大体がこういったケースである場合が多い。
デバッグはきちんと期間を取って行なっているので、前回コラムにあったようなヤバいレベルのバグは一番気を付けているところであり、真っ先に排除されるところなので、中々お目にかかれるものではないだろう。
>AタイプはARTに比べ開発は楽ですか?出目演出が難しそうですが。
うーん、一概にAタイプなら楽だってことはないな。
そもそもAタイプは、ジャグラーが圧倒的に強いフィールドであり、どうやってそこからシェアを取ってくるかなどの問題がある。
さらに、ART機ならゲーム性で違いを持たせやすいが、Aタイプでは差をつけることは難しい。
なので、まずどうすればホールに買ってもらえるか、そしてユーザーには打ってもらえるか、といった点で頭を悩ませることになる。
さらに、質問で頂いたように、リールの重要性が高く、作り手のセンスが問われる部分である。
液晶がついたタイプだと、どうリールと液晶を絡めるかなども重要だ。
リールで結果が出ているのに、ダラダラ連続演出をやられると興ざめしてしまうものだ。
まぁ、設計期間という意味では、液晶がなければ短期間で作れるだろうが…面白いAタイプを作るために考えるべきことはいろいろあるということだ。
>生活持ってる人は月に2〜5万程度しか使えない現状を開発は理解してるか?1万超えたら既に怖ぇんだよ
貴重なご意見ありがとう。
まぁ私などは金銭感覚が崩壊している人間なので、1万は当たり前のように投資してしまうわけだが、一般的に考えると1万円は短時間でなくなっていい金額ではない。
実際そういう方も多いだろう。
もちろん理解していないわけではない。
我々が機械の企画を考える際は、まず市場とターゲットについて考える。
今、ユーザーに求められているスペックはどういったものか?
市場に競合がなく、潜在的なユーザーがたくさんいるのであれば、最高の狙いどころとなる。
で、今回のケースに当てはめると、1万円以内にあたるART機を作るとなると、その分、当たっても全然出ない台が出来上がることになる。
当たるけど出ないART機にどれだけユーザーの要望があるのかというと、あまりいないのではないか?と想定されているのが、今のホールのラインナップからみても明らかだろう。
さらに、低投資のノーマルタイプとハイリスクハイリターンのART機という形で住み分けられているので、余計にART機でそういったローリスクローリターンの機械は開発されにくい傾向にあるだろう。
しかし、今後5.9号機・6号機になり、ハイリターンが難しい時代になるので、ローリスクローリターンの機械が増えてくることが予想される。
「出玉がなくても面白い」という要素がなければ生き残っていけない時代になるので、今後はご期待にそえる機械が出てくるかもしれない。
楽しみにしていただきたい。
次のページへ
【 メーカー開発者の独り言〜今宵もオフレコで〜 】 メニューへ