[2]生まれてくる時代が悪すぎた「5.9号機」 [2017/9/7(月)] |
まずは一つ目の質問。
「検定切れ間近の機種をまた中身を変えずに適合申請しないのはなぜですか?」
この質問は、おそらく今後みなし機を撤去していかなければならないことに対しての話だと思う。
これに対しては、いくつかの理由があるので順を追って説明したい。
まず、型式試験に関しては全く同じものを持ち込んではならない。
そのため、同じ機種をいくつも申請しているように見えても、実は中身を少しずつ変えて申請している。
だから、同じ機種をそのまま申請ということはできないわけだ。
ただし、これらは少しの変更量で問題ないので、実際は大して影響はないと言える。
では、なぜそれをやらないかと言えば、もう既にその機械は今の規制では適合しないというのが最大の理由である。
機械の検定切れまでの期間は三年間となるが、スロットの規則というものは少しずつ変わっているもので、三年前の機械がそのまま適合できるというシチュエーションはなかなかないだろう。
6号機に向けて再認定したい機械といえば主にAT機となるだろうが、現状の規則の中でも、すでにAT機は作れない状況なのだ。
さらに、10月からは5.9号機の規則へと変化し、今の新基準機すら作れなくなる。
ということで、やりたくてもできないというのが最大の理由だ。
もし規則が変わってないなら、素直に再認定でいいだろう。
もう一度型式試験をしたら、何回落ちるかわからないという機械も腐るほどあるだろう。
続いて、二つ目の質問。
「開発中、こんな台人気でる訳ねーとか思わないんですか?」
開発をしている途中経過で、面白くないと感じることは頻繁にある。
しかし、それをどう修正していくかが腕の見せ所だと思う。
まぁ、中にはこんなもんだろうと諦めてしまう人もいるが、大半はやはりいいものを作って世に出したいと思っているはずだ。
それでも、なんでこんな台が…なんて代物も確かに世に出ているのも事実。
一番の原因は、商品の狙いが定まっておらず、なんとなく開発してしまっているということだろう。
コンセプトというやつである。
これがフワフワしたまま一定期間開発を進めてしまい、ある程度試作機が出来上がった頃には、もう後戻りできないなんてことが考えられるだろう。
このようなチームは、やはり雰囲気が暗い…
私は今のところそのような状況に陥ったことはないが、長い期間を費やして作る機械なので、後悔なく全力でやりきりたいものだ。
最後の質問。
「ジャグラーのような液晶無しのAタイプも開発は大変なのでしょうか?」
開発で一番時間がかかるのは、液晶の映像を作ることである。
なので、開発のスケジュールを組む時は、映像の上がってくるスケジュールを中心に考える。
そういう意味では、開発期間の観点ではジャグラーを作るのは大変ではない。
液晶はないし、おまけにゲーム性もシンプルだ。
同じような物はすぐ作れるだろう。
しかし、ジャグラーをパクってヒットさせるのは大変である。
今やこれだけの勢力を持ち、安定してお客さんをつかんでいる。
結果、ホールも設定を入れるので完全に好循環だ。
この中で、ジャグラーと同じタイプで勝っていくのは難しい。
実際、ランプを変えただけのフェイクが何度も出ては消えている。
シンプルな機械なため、逆に差別化ができないのだ。
結局、ジャグラーと対抗するためには液晶で賑やかしていく・出玉でアピールしていくしかないのが現状だ。
以上、質問に答えさせてもらった。
今後も答えられる範囲で答えていきたいので、またコメントを送ってもらえると幸いだ。
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