[1]2017年の各メーカーについて振り返る [2017/12/28(木)] |
一年が終わる。
学生だった頃の一年はずいぶんと長く感じたものだが、仕事をするようになってからというもの、一年は実にあっという間に過ぎていくようになった。
特に、プロジェクトに入って開発をしている間は、やはり一年超かけて開発していくこともあり、より短く感じられるものだ。
ちなみに今年も一本プロジェクトを終えているわけだが、実はまだ適合が出ていない…実にやばい。
雨男と同じ感覚で、その人がいるとやたら適合が出ないとか、諸々の理由でお蔵入りになるなど、市場に出せない運命になるヒキ弱は存在する。
私は実績上、まずまずヒキはいい方だが、メンバーに一人ヒキ弱がいるので中々心配である。
その他にも、以前のコラムでも書いたように、各メーカーの5.9号機の駆け込み申請の影響で、相変わらず凄まじい数の型式申請が行われている。
そのため、試験を受けるという点においても高い倍率の抽選をクリアする必要があるので、よりハードルが高くなってしまっている。
何にしても、長い時間をかけて作っているだけにお蔵入りだけは勘弁していただきたいと切に願っている。
皆さん、こんにちは。
年始のお参りで願うことが、また一つ増えてしまった設定六郎です。
心残りがあるまま年末休みを迎えてしまったが…
まぁ、それはそれということでのんびり休むしかない!
さて、今年はいくら負けるかな…
では、さっそく質問に答えていこう。
>ノーチャンスと思わせないのは理解出来ますが、数十Gの煽り等は理解出来ません。ユーザーより店の為ですか?
えー、前回演出バランスの調整について触れたわけだが、煽りの長さについて質問頂いたというわけだ。
まず最初に断っておきたいのは、基本私たちの一番の目的はエンドユーザーである皆さんに楽しんでもらうことである。
というのも、ホールを喜ばせたいと思ったら、そのために我々ができる手段は、結局ユーザーからきちんと稼働を取れるかということしかないからである。
逆にホールのことだけを考えて、できるだけ粗利をとることだけを考えて、やめにくい機械を作ろうとしても、皆さんもそう簡単には騙されてはくれないだろう。
変にいらつかせてしまって、二度と触ってもらえなくなるなんてことになれば最悪の展開である。
だから、ユーザーに楽しんでもらえるものを作るのがベストであり目標である。
で、今回の煽りの長さについてだが、ユーザーが数十ゲームの煽りを長いと感じてしまう理由はどこにあるのだろうか?
理由の一つとして考えられるのは、ズバリ対価に労力が見合っていないからであろう。
総じて嫌われやすい傾向の前兆は、当たってもCZなのに長い前兆を使っていたり、果ては長い前兆を経由して出てきたのがCZのCZだったりなどといったタイプが多い。
散々長いこと煽られた結果がこれかよと、がっかりさせてしまう傾向が強い。
長い前兆は盛り上がる反面、はずれた時の残念感や失敗感が普通より大きくなるリスクがある。
にもかかわらず、ようやく前兆を乗り越えてもユーザーの期待値に合っていなければ、仮に当たりでも残念感を与えてしまう。
ならば、いっそサッパリと数ゲームではずれるけど、あっさり当たることもあるぐらいの前兆にしておけば、ハズレ感も軽減されつつ、当たった時はサプライズ感もあるわけだが…
まぁ、慣れてくると盛り上がりに欠けるなどといった具合に一長一短で、バランスの調整が難しいところだ。
この辺の前兆のシステムをうまく作っていたと感じたのが、サミーの「サクラ大戦3」かな。
基本短めの前兆経由でARTに当否判定がされるわけだが、前兆が長ければチャンスで、さらに最大前兆の32GまでいけばSBS確定という強力な恩恵もあり、むしろ長く続けと熱くなれた。
前兆と恩恵の使い方が実にうまいと感じたものである。
恩恵と対価のバランスが取れていれば納得感があるため、煽られていることに対してもある程度納得感が出てくるのではなかろうか。
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