[1]続・パチスロに憑りつかれた男 [2016/2/24(水)] |
場所は都内。
毎日毎日麻雀漬け。
いつ始めて、今何日が経ったのか、そんな感覚もマヒするほどに皆が集うこの家にいた。
ここにはおかしな吸引力があり、朝になるとどういうわけか人が2人、3人と集まるのだった。
僕も勿論その一人。
なんなら、帰るのが面倒だから数日居るなんてこともあった。
みんなが言うには、学校に行くはずだったのに、気が付いたら此処に着いていたとか、やることもなく家にいても暇だから此処に来たとか、タムロしているというより通っているという表現の方が適切だった。
ここは、僕が小学生から付き合いのある先輩の家。
先輩という表現はしているものの、「お前は本当に人を馬鹿にしている」と言い続けられている。
そんな生意気な僕を、文句は言いつつも面倒を見てくれる心の大きい、そして体の大きい人だ。(ちなみに、
第9回の先輩とは別人)
この先輩は、麻雀を筆頭に、いつも僕に新しい遊びを与えてくれた。
元々、わが家庭は家族全員が属性雀鬼で、なにかというとすぐに麻雀をすることが多かった。
牌を触り始めたのは、ちょうどゲームボーイのポケモンレッドを買ったのと同じくらいだったと思う。
なんでも、家にある唯一の貴重な物が「象牙の牌」だったらしい。
なので、麻雀には少し慣れていた。
その先輩とパチンコを打ちに行くことはあったが、スロットなんてピエロしか知らなかったし、禍々しいスロットコーナーの雰囲気に一人で近づくことができなかった。
目押しもできない、仕組みも知らない。
そもそも、そんなに打ってみたいと思ったことがなかった。
「ケンもスロット打ちに行くか?」
先輩からのこんなひょんな提案から、デビュー決定。
話し合った結果、機種は「ミリオンゴッド 神々の系譜」となった。
いやいや待て待て、いきなりこの機械か?
もっといろいろあるだろう?
…という声も聞こえてきそうだ。
今の僕なら「いきなりゴッドはおかしい!」と抗議するが、当時の僕はされるがまま、なすがまま、言われるがまま。
人生で初めて朝から並び、先輩を追うように角2の新台ホヤホヤのミリオンゴッドに座った。
まず、なんにもわからない。
ひたすらに、がむしゃらに「揃えりゃあいい」こんな一心だった。
50ゲームが長かった。
100ゲームなんてしんどかった。
200ゲーム、300ゲーム、もう1万年くらい経った気になっていた。
先輩はGODをそうそうに引いていたが、当時それがなんなのか、偉いものなのかすらよくわからなかった。
一度当たりは引いたものの、投資は6万円目に差し掛かった。
死ぬほどお金を使っている絶望よりも、メダルをスムーズに投入し、どうやったら疲れずに回せるか考えていた。
「ビギナーズラックなんてない。」
そんなことは分かっている。
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