[1]稼働を彩るもの [2017/7/14(金)] |
とある晴れた日曜日。
出張帰りの私は、東京駅に戻ってきたところでした。
時刻は12時。
自宅までは歩いて30分。
私は、人通りの少ない裏道を銀座方面に進みます。
「ぐぅぅ」
この日は朝から何も食べていませんでした。
その事を主張するお腹の鳴き声に応えるように、ふと顔を上げると、前方右手には牛丼屋が見えました。
「並つゆだくに生卵」
無意識に、私の口はいつものオーダーを店員さんに告げます。
日曜日の丸の内にしては混雑したその店内で、片言の日本語で奮闘する外国人アルバイトの店員さんを横目に眺め、私はいつものそれをかき込みます。
店にいた時間は10分もなかったでしょう。
しかし牛丼屋を出ると、そこには先ほどは目に入る事のなかった「アレ」があったのです。
「ちょっと覗くだけ」
私がパチ屋に入るのは久方ぶり。
ここ数ヶ月、昼間っからたっぷりと時間のある状態で打つ機会などほとんどありませんでした。
「ちょっと覗くだけ」
大事な事なので2回繰り返しましたが、こんな状態でパチ屋に入って、覗くだけで済む訳などないのです。
日曜昼間のビジネス街。
店内は想像した通りの稼働で、設置台数60台ほどのパチスロ台に対して、お客さんは両手で数えて指が余るほどしかおりません。
「まぁ、この立地だし、当然か……」
当日のみならず、この店が最も繁盛するであろう金曜日の履歴ですら、ほとんど回転数はついてません。
そんなこの店のデータを眺めながら、私は3スルーの絆に着席します。
事件は私の右隣、バジUのシマで起きました。
「行く道を選ぶのじゃ」
隣のお兄さんは、どうやら「安定一択派」。
5度の開眼チャレンジ全てを「安定」で消化しているのですから、そう言っても間違いなさそうです。
問題なのはその挙動。
私の見る限り、巻物10回に対して、開眼チャレンジが5回。
設定6で30%という確率を大幅に突き抜けている上に、打っているお兄さんはカチカチ君を駆使して完全に設定を意識して打っています。
「まさかこんなところに……」
この店が、こんな店が通常営業で119%の設定6を使っているなんて事があるのでしょうか?
お兄さんは、「ちょっと覗くだけ」では物足りない私に絶好の試し打ちの口実をくれました。
4回目のBCで当選したBTで400枚ほどの出玉を獲得した私は、「設定狙い」で着席できそうな台を探していきます。
ほとんどの台が朝一0回転、もしくはわずかに回されているだけの店内で、私はそこにあるともしれない手がかりを必死に探します。
それはまるで雲を掴むような話。
冷静沈着な勝ち組スロッターの皆様であれば、こんな閑古鳥の鳴くホールでこの行動はとらないでしょう。
「存在しない高設定台を探してはいけない」
何度も言われ続けてきた事であり、また私自身も言い続けてきた言葉です。
この時私がやろうとしていた事はまさにこれ。
故にこの行為は、今になって思えば「魔が差した」としか思えないものでした。
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