[1]人が魔女へと変わる時 [2017/2/10(金)] |
恨みや妬み、怒りに絶望。
人は、負の感情を抱くごとに少しずつ穢れていく。
それが、少しずつ自らの中に溜まっている事に人はなかなか気付けない。
そして、ある日それは突然にやって来る。
全てに絶望した彼が、不幸な運命を背負った魔女へと変わるその瞬間が……
これは、魔法少女の世界だけの話ではないのだ。
<5人の大学生>
これは、私がまだ岡山県はカエルの王国に住んでいた頃のお話。
その頃、私は5つほど年下の大学生グループとよくつるんでいた。
彼等とは、パチスロとは別の世界で知り合い、知り合った当初彼等はパチスロの事を知らないようであった。
だが、いつの間にか彼等は毎日のようにホールに足を運ぶようになっていた。
「大学生はそれができるから羨ましい」
彼等からLINEで毎日のように送られてくるプレミア画像を夕方、職場の休憩室で確認するのが私の日課になっていた。
彼等は、中学・高校・大学とずっと同じ学校に通う幼馴染。
それだけに非常に仲も良かったし、彼等の中での会話も年上の私に対するそれとは異なり、全てにおいて「あけすけ」な印象だった。
A 「今日、××ホールで○○打ったらすごい事になった」
B 「俺は△△の□□で朝から天井まで嵌ってキレそう」
C 「ざまぁ」
私 「ドンマイ」
B 「もう死にたいわorz」
D 「じゃあ死ねば(笑)」
私 「○○どうなったの?」
A 「○○でフリーズ引いたら、1,000G上乗せしたわ」
B 「そういうの聞いてないから、Aは黙って」
A 「(上乗せの画像)」
E 「昨日、マックでチーズ月見食べた」
私以外、誰もAの話を聞く気もなければ、Bをフォローする気もない。
こんな会話がLINEに流れる度に、私はケンカになりはしないかとドキドキしたが、不思議な事に彼等の中ではこれで会話が成立してしまう。
当時の私は、それを見て、「気が置けない仲というのはこういうものなのかなぁ?」と疑問に思ったものだった。
とはいえ彼等とは、飲みに行けばくだらない話で朝まで盛り上がり、カラオケに行けば朝までアニソンを歌い明かすのだから、仲が良いのは仲が良い。
世代の違いの為か、彼等の関係を完全に理解できた訳ではなかったが、その事だけは私から見ても間違いのない事だった。
<カエルの王国のゴールデンゾーン>
カエルの王国にはゴールデンゾーンがあった。
まず、カエルの王国について説明すると、カエルの王国というのは、岡山県内に数店舗だけ存在するパチスロメーカー「山佐」の直営ホール「ENDLESS」の事で、各店舗にはトレードマークの大きなカエルの看板が掲げられている。
「山佐」の直営ホールというだけあって、鉄拳や天下布武など、「山佐」のメインタイトルの機種は「40台最速導入」が当たり前であったし、他店舗ではバラエティ扱いのケロット(スイートVer)のようなマイナー機種であっても、「山佐」の機種であれば当然のようにシマ単位で設置されていた。
しかしその一方で、「ENDLESS」には「山佐」以外の他社の機種も設置されていた。
カエルの王国とは言っても、カエルよりもピエロの方が多く生息しているし、モンキーターンよりもハーデスの方が稼働が良い。
そんな状況でもあったのだ。
そして、ゴールデンゾーンに設置されるのもなぜか決まって「ドンちゃん」シリーズであった。
ゴールデンゾーンというのは、景品カウンターから見て6列目。
景品カウンターに背を向けた時に、右手に位置する8台シマで、このシマだけはかなりの頻度で高設定が投入されるという場所の事である。
この店の常連であれば、誰もが朝一はこのシマに座る事を目指す。
それがゴールデンゾーンと呼ばれる所以であった。
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