[1]最も勝ちやすい機種とはどんな台なのか?≪後編≫ [2016/10/7(金)] |
<初日から順風満帆?>
その日集まった4人のメンバー全員がファイヤードリフトの設定6を掴めた事に、私は満足していた。
何回目のBIGボーナスだっただろうか。
私が「パチスロZ」のファイヤードリフトで、赤い7を揃えてからふと下皿に目をやると、下皿は既にメダルで溢れていた。
私は2つ目の箱に手を伸ばし、下皿のメダルをドル箱に移していく。
するとその時、別の店舗「パーラーK」で設定6を打っていたはずのメンバーAが、私の目の前に現れたのだ。
この時、まだ17時。
当たり前の事だが、高設定台を掴んだら、食事休憩はおろかトイレに行くのさえ我慢して、閉店ギリギリまでぶん回すのが軍団のルール。
Aだって、当然その事は理解している。
何故ここにAが?
ここに現れるはずのないAの登場に私は戸惑った。
「パーラーKのファイヤードリフトは?」
開口一番、私はAを問い質した。
すると、Aは首を横に振って私の問に答える。
「チェリー後の高確移行率、BIGボーナス中のハズレ、いずれも低設定域の数字に落ち着いたから、園長と相談してキリの良いところで止めてきた。」
「そんな!? 朝一あの挙動で設定6じゃなかったのか?」
朝一に獲得した出玉は全て飲まれたというAの言葉を聞き、私は驚きのあまり、大きく声を張り上げた。
ホールの中は大抵の場合、大音量のBGMやスロット台の発するけたたましい騒音で溢れている。
ホール内での会話はなかなか相手に聞こえにくいものだが、私の発したその声は、少し離れたところにいた園長にも聞こえたようだった。
声を荒げる私をなだめるように、園長は穏やかな口調で、私とAに向かって指示を出した。
「俺はパーラーKに行ってデータを確認してくるから、俺の台はAが打っていてくれ。」
Aが頷くのを見ると、今度は私の方を見て園長は続けた。
「誠、いいか……」
如何にファイヤードリフトの設定看破は比較的簡単というのが世間の評価であっても、私達がこのファイヤードリフトを打つのは今日が初めて。
初打ちな上に朝一の短い時間だけで、簡単に精度100%の判別ができる訳などないと園長は言う。
「そこまで甘くねーんだよ。スロットは。」
そう言うと園長は軽く笑って、私の胸を右手の拳で軽く突いた。
結局、この日デルタ地帯を3店舗回って設定6と思しき台に着席できたのは、7枚交換の「パチスロZ」だけであった。
Aが観察した挙動、園長の確認したデータ、そして、21時に刺された設定公開の札から推測するに、「パーラーK」のファイヤードリフトの設定6は、朝一に園長が打っていた台と他2台。
「XXX屋」の設定6も、BIGボーナス中のハズレを確認した台とは別の台で、私達が「XXX屋」に入った時には空き台だった台が設定6であった事が分かった。
あの園長が、世間では判別しやすいと言われるファイヤードリフトの設定6を判別できずに捨ててしまった。
園長を盲信する私には信じられない出来事であったが、園長は「そんな事だってある」と笑っていた。
そんなに甘くはない……
言われてみれば確かにその通りであった。
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