[1]設定6の在り処≪前編≫ [2016/7/1(金)] |
200X年X月X日月曜日、朝の京浜東北線。
この時、まだ大学生だった私は、朝の満員電車に満ちる月曜日独特の負のオーラに気が付いてはいなかった。
それもそのはず。
私にとってこの日は、1週間の長く辛い戦いの始まりではなく、7日間の酒池肉林の宴の始まりであったからである。
「本日から日曜日までの7日間で、全ての台に1回以上設定6を投入します!」
これが、今から向かうホールのイベント内容。
このイベントは設定発表こそないものの、内容がガチである事は昨年の同じイベントの際に既に確認済である。
初日こそ「1/7の確率で設定6」というやや割の低い戦いになるが、前日までの設定6の所在を確実に把握できさえすれば、翌日以降は1/6、1/5と日に日に確率が高まる計算になる。
そして、最終日には……。
前日までの6日間で一度も設定6の入らなかった台は100%、設定6になる計算であり、私達はお祭り騒ぎになる事を期待せずにはいられなかった。
しかし、それもこれも毎日設定6の所在を確実に把握できればの話。
設定発表を行なってしまうと、日に日に設定6の所在が限られてしまう為、ホール側もイベント期間中設定発表は一切行わない。
あくまで、自分達の目で設定6を見極める必要があるという訳だ。
無論、園長の神眼をもってすれば、稼働のあった台についてはそれなりの確率で設定6か否か判断する事は可能である。
通常であれば、その神眼のおかげで当たり前のように高設定を掴む事ができるのだが、これからの1週間は少し事情が違う。
園長は家庭の事情で実家に帰省しており、このイベントには一切参戦する事はできないからである。
とはいえ、私達も園長と共に多くの時間をパチスロに費やしていた訳で……。
駆け出しの私も多少の知識を身に付けて、これだけ条件の揃ったホールであれば、園長の力を借りずとも自分達の力で勝ちきってやると意気込んでいた。
生兵法という言葉の意味も、神眼の極意も、この時は何も知らないままで……
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