[2]韓国トラベル -前編- [2014/5/30(金)] |
さらに俺には、もう一つの大きな理由があった。
9年前に引き抜きでこの会社に入ったのだが、とにかくサービス残業が酷いのだ。
引くものはキッチリと引くくせに、付ける手当ては馴れ合いにされ自然消滅。
間違いなくブラック企業だ。
ここ2年は特に酷く、日付も曜日もわからなくなる時さえある。
給料は悪くはないが、身体は悪くなる一方だ。
できることなら辞めたい。
でも辞めるなら、ある程度の蓄えを持ってから辞めたい。
これはずっと考えていたことだ。
そこへきて、このカジノは大チャンスだ。
2日で数十万稼げるかもしれない。
いや、かもじゃない。稼ぐんだ。
そしたらすぐに辞めれるではないか。
資格もいろいろ持ってるから、再就職にも困らないだろう。
笑顔の返事とは裏腹に、俺は燃えていた。
そしてカジノで何をするかもすぐに決まった。 ルーレットだ。
ルーレットは1/2からの勝負ができる。
神がかりなヒキなどいらないこの現実的な当選率。
すでにビジョンも描けている。
マーチンゲール法を使うのだ。
まず、赤か黒に1,000円賭け、ハズレたら倍の2,000円を賭ける。
それがハズレたら4,000円、さらにハズレなら8,000円と、どんどん倍賭けしていく。
確率は1/2だ。 すぐに当たる。
当たれば倍になって返ってくる。
昔から確立されている有名な必勝法だ。
一体いくら勝てるのだろう。
2晩もあればかなり稼げるハズだ。
必ず勝つと書いて必勝法。
まさにこのためにある言葉だ。
しかし、なぜみんなこれをやらないのだろう?
単純かつ完璧な方法なのに。。。
この時、俺はまだマーチンゲール法の怖さを知らなかった。
確かにマーチンゲールは必勝法。
しかし、なぜカジノはその必勝法を禁止していないのか。
その答えを、俺は身をもって知ることになる。
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