俺は店内に戻った。
もう、今から何も気にすることなく打てる。
そんな当たり前の事が嬉しい。
そして今からなら、初の2万枚も射程距離内だ。
そう思いながら北斗のシマへ入った。
そう。
この台で夢の2万枚を・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
俺は足がピタリと止まった。
「あれ???」
声が出た・・・・・・
俺がさっきまで打っていた台・・・・・・
さっきまでバケツに囲まれてた台・・・・・・
が・・・・・・空き台に・・・・・・
なって・・・・・・・
コインがない!!!
全部!!!!!
その瞬間、俺の胸に急激に熱いものが込み上げてきた。
息も一瞬で荒くなった。
心臓も恐ろしく波打っている。
俺は慌てて近くの店員に駆け寄り、大声で叫んだ。
「あの台のコインは!!!」
店員 「あ・・・さっき彼女さんが見えられて、お客さんが急用ができたからもうやめるって言うんで、交換しましたけど・・・」
俺 「!!!」
やられた!!!!!!!!
俺はすぐに店を飛び出し大通りに出た。
だがすでに男の姿はない。
俺は無意識に叫んだ。
「あの野郎ッ!!!」
囮だったんだ!
なにもかも!
男との駆け引きが全てだと思っていた!
展開が荒れないことだけを考えていた!
違う!
あいつはスケープゴートだったんだ!
俺を引っかけるためのッ!
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