客の誰かが俺のボロ勝ちを妬んで、ヤバい組織にゴトだとチクっただけかもしれない。
そしてこいつは金目的でやって来た・・・
店員に言ってみるか・・・
いや、帰りが危ない。
帰りは現金を持ち歩いてる状態だ。
金が目当てなら今より狙われやすい。
かといってこのままシカトし続けていても同じことになる・・・
男 「・・・出てくれるか?」
俺 「・・・・・・」
男が捲し立ててきた。
俺はしばらく考え、ゆっくりと立ち上がった。
このまま話が折衝し続けると、最後はケンカになるかもしれない。
そしてこいつはそうなることも想定した上で俺に接触してきている。
もし外に出なければ店を出た後・・・
計画は2段構えのはずだ。
しかし本当に調べる事だけが目的だったなら、何事もなく数分で終わるかもしれない・・・
それに今ならまだ明るく、何かあればすぐに目立つ。
目立つことはこいつも避けたいはずだ。
俺は男の顔を見て妥協したように言った。
「3分よな」
すると男は頷きながら、
「そう。 ほんまに持ち物調べるだけやから。 ワイもはよ帰りたいし。」
と早い口調で返事を返してきた。
俺はとりあえず男と外に出ることにした。
しかし男を信用したわけではない。
もしも車に乗るように言われたり、仲間が出てきたり、男の口調が少しでも変わり始めたら、その瞬間ホールに駆け込み店員に言うつもりだ。
逆にいきなり暴力で来るなら、こっちもやってやるまでだ。
男は出口へ向かってすたすたと歩き始めた。
前を歩けと言うつもりだったので、俺も後に着いて行った。
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