俺 「ふーん・・・全然呼んでくれてええよ。」
俺は失笑じみた顔で答えた。
仮にこの男の言うことが本当だったとしても、俺はゴトなどしていない。
誰が来るのか知らないが、ビビることなんてない。
この時俺は、この台が設定6だということを説明しようとも思ったが、それはそれでまた新たな問題を引き起こすかもしれないと思い言わなかった。
なにより、次第に腹も立ってきていたのだ。
こいつはカツアゲ目的のただのチンピラだ。
外に出て証拠が出なかったら、なんだかんだと因縁つけて暴力をちらつかせ、コインを換金させるに違いない。
イントネーションも変だ。
地元の人間じゃない。
きっと県外から来た犯行グループだ。
俺は外に出る気など毛頭ない態度をして、また淡々と打ち始めた。
そしてこの男がいなくなったら、さっさと換金して帰ろうと思った。
長居してると何が起きるかわからない。
すると一呼吸置いて、また男が話し出す。
男 「あのな、絶対呼ばん方がええ。 ただでさえ最近ゴト多くてみなピリピリしとるのに、こんな出方してるの見たら結局は外に出されるで。 そしたらもっとめんどくさくなるで。 ワイだったら3分で済む。 何もなかったらそれでええ。 ワイも一人やし、外もまだ明るいで。」
俺 「・・・・・・」
確かにその時、外はまだ明るく人通りも多そうだった。
駐車場で揉め事など起きたら、すぐに人が来るだろう。
男 「ワイもこんなことしたくないんやけどな。 手ぶらでは帰れんのよ。 もしアンタがゴトしとって、あとでそれがばれでもしたら大ごとになる。 だからホントに調べるだけなんよ」
俺 「・・・・・・」
こいつ・・・・・
威圧的ながらも恫喝じみた口調でもなく、仕事としてやってるような感じがしなくもない・・・
しかし、だったら何の仕事なんだ?
店長より上の立場の人間が、ゴトを捕まえる組織でも作っているというのか。
そもそも今の時代、パチンコ店がダークサイドの人間と癒着することなどあるのか。
確かにないとも言い切れない。
俺に言わせれば、パチンコ店そのものがすでにブラックボックスだ。
しかし・・・
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