「大吉…うん、大吉ってコトバがいいな。なんか縁起いいじゃん。大吉…大吉…。大吉…三昧。おお、なんか好きだな、その響き。大吉三昧、か。でもちょっと短いな。その前に何か付け足したいよな」
何の根拠も無く、突然頭に浮かんだ言葉らしい。
「自分の名前を入れてみるか。ダイキチ…ダイキチ大吉三昧。うん、悪くはない」
悪くはない、と思っているらしい。
「でもやっぱ、ダイキチの前にも何かを付け足したいなぁ。例えば…負け組ダイキチ大吉三昧。…負け組って…卑屈になるのはよそう。じゃあ、勝ち組ダイキチ…嘘はよそう。じゃあ…別の系統のコトバにするか。う〜ん、例えば…例えばダイキチ大吉三昧。訳わからんな。さすがはダイキチ大吉三昧。う〜ん…。ただ語呂は良いよな。そんな感じでいこう。じゃあ…やっぱりダイキチ…。おーいダイキチ…。されどダイキチ…おっ?なんか近づいたぞ」
どこに近づいたのか、恐らくダイキチにもわかっていないと思われる。
「よし、もうちょっとだ。それゆけダイキチ…。負けるなダイキチ…。なんか遠ざかった。いやさダイキチ…。そこはダイキチ……おっ?そこはダイキチ大吉三昧。おおっ?けっこう良いじゃん」
けっこう良い、と思っているらしい。
「そこは、ってのが、どこが?みたいな感じで、そう、キャッチーじゃんか」
そもそもが阿呆の質に出来ているダイキチが、キャッチーという言葉の意味を知っているとは思えない。ただ単にキャッチーという言葉を使ってみたかっただけだと思われる。
「よし、決まりだ!そこはダイキチ大吉三昧。タイトルはコレ!」
しかし、そのタイトルが何の意味も持ち合わせていないという事に、阿呆のダイキチもさすがに気づいたようだ。慌ててそのタイトルに無理矢理に意味を持たせようとする。
「そっか、そうだな、ほら、アレだよ。大吉ってのはおみくじだろ。パチスロだってレバーを叩く度に抽選されるんだし、くじ引きみたいなモンだ。おみくじと同んなじだろ。で、レバーを叩く度に大吉を引き当てる。つまりは大勝ちする、って事にすればいいや。いや、すればいいやじゃなくて、そういう意味だよ。きっとそうだ」
自ら付けたタイトルであるにもかかわらず、きっとそうだなどと言っている辺りにダイキチの阿呆さ加減が如実に表れている。つまりはこのタイトルに意味など全く無く、単に語呂だけで決めたタイトルなのだった。
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