とまれ、タイトルは決した。次は記事の内容である。
「せっかく専属ライターとして選んでもらったんだし、何か変わった物を書きたいよなぁ。あ、そういえば色々なカテゴリーがあるんだっけ。サラリーマンスロッターとか。確かに俺はサラリーマンだけど、そのカテゴリーだと仕事帰りにパチスロを打つ、って感じになるのかな。でも俺はもう仕事帰りには行かないつもりだったしなぁ。あとは、パチスロで食ってる人のカテゴリーとか、業界人、学生、か。どれにも当てはまらないし…。負けキャラ、かぁ。確かに、負ける事に関しては誰にも負けない自信はある」
この一点に於いてのみ、ダイキチはたいそうな自信がある。
「でもなぁ、自分で自分の負けを認めるのもちょっと悔しいかな」
現実から目を背ける。逃避する。そこがダイキチの悲しい性であった。
「だとすると、あとは女性スロッターとか主婦、かぁ。それはちょっと荷が重いな」
荷が重いであろう事は誰にでも用意に察しがつくであろう。
「でもあれかな、記事を書いているのがサラリーマンだっていう事で、記事の内容はあまりこだわらなくて良いのかな?でも、どうせなら勝ちまくる日記とか書きたいよなぁ」
阿呆なくせに、ダイキチはよく閃く。何が閃くと言えば、そうそうたいした事は閃かないのではあるが、とにかくよく閃くのだった。
テーブルの上に頬杖をつき、口を半開きにしたままボーッと窓の外を眺める。カーテンがふわりと揺れ、空の雲が流れてゆく。ダイキチの瞼が少し開いた。
「そうだ ゲーセン 行こう」
阿呆のダイキチにとっては、それが精一杯に気を利かせて発した台詞であった。
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