全国の敏感スロッターの皆様こんにちは。
まごうことなき、野菜です。
まさか3回に分けて記事を書くことになるとは思いもよりませんでした。
クレアでボコられて、まどマギでフリーズ引いて巻くって、けどまどマギ2でボコられて、天下布武でもっとボコられて。
スロットどころか何もかもが嫌になりましたね、この時ばかりは。
こんなに嫌になったのは久方ぶりです。
おそらくは、学生の頃に好きな子が嫌いな先輩と手を繋いで帰っているのを見たときぶりに何もかもが嫌になりました。
今回の稼働は前回の続きでありますが、私の中での節目の戦いでもあります。
自分の中で折れてしまった矜持の様なものへの追悼の意味もあるのかもしれません。
これ以上の悲しみ(負債)はもういらない。
そう自然と口から溢した僕が選んだのはこの台だった。
『ミルキィホームズ』
我ながら自らのセンスに驚きを隠せない。
最後に選んだ台がミルキィホームズ。
暫くスロットとはお別れをするかもしれないから、最後に打つのはミルキィホームズ。
「自分は何も間違っていない」
何度も言葉で繰り返し、ミニッツメイドをじゅるりと口に含んだ。
「本当にそうかしらね」
ミルキィホームズはいくぶん非難するような口調で言った。
でもそれは、別段おかしなことではない。
この台とは何度か手合わせをしたことはあるが、彼女は僕の相手をするときはいつも同じ口調で話しかけてくるのだ。
僕はうなずく。
それからメダルを投入口へ入れると、まるで朝礼の途中に突如怒鳴り出す校長先生のように、彼女はけたたましい音を発した。
「なんだか最近、調子が悪いのよ」
さほど古い台ではないにも関わらず、何かしらのエラーで騒ぎ立てる彼女に僕は少し苛立ちを覚えた。
「あなた、今現在の投資額がいくらかわかっているの? 42000円よ」
「そのとおり」と僕は言った。
「でも実際はまだこれからだと思っている節もある。 最後に打つのは君だと言いながらも、実際のところ敗北を受け入れていないのかもしれない。」
ミルキィホームズはわざとらしくため息をつくと、わかったわ。と言った。
「こうしてダメな人間が出来上がっていくのかもしれないわね」
「あるいは」と僕は言った。
「でもね、あなた。ひとついいかしら?」とミルキィは言った。
「あなたは今までもこうして酷く負け込んだとき、何かにすがるように私の所や、リノの所へ行くの。 それを間違っているとは言わないわ。 でもそれは一つの事実であると同時に、あなたが受け止めるべき一つの『欠落』でもあるの。 スロットを打つ者としても、人間としてもね」
「欠落」
「欠落よ」とミルキィは言った。
「それはいつか、あなたを苦しめることになるわ。 きっと」
「大人しく家に帰らなかったことが、かい?」
ミルキィは頷いた。
何かを証明するように、とても慎重に重たくうなずいた。
「それをあなたはいつかきっと実感することになる。 そしてそのことによって酷く苦しめられることになる。 だから悪いことは言わない。 いい? 今日はもう早く家に帰りなさい」
僕は肩をすぼめてみせた。
彼女は目を閉じて静かに首を横に振った。
その後の僕は妙な気だるさを覚えていた。
画面には「フリーズ高確率中」といった文字が写し出されている。
またこれか。
そう言って口から息を吐き出した。
今までにも何度かこの「フリーズ高確率」という馴染みの無い言葉に動揺させられてきたのであるが、もはや慣れてしまっている。
しかし、僕がフリーズを引き当てたのはその30秒後のことであった。
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