[2]ブラックラグーン2と野菜〜決着編〜 [ 2016/3/8 ] |
俺にはまったく必要のない奇跡を起こしたようだった。
友人の推理によると、宵宵々越しの天井だとかなんとか。
『はー! 俺が只の養分打ちをしていると思ってたかい!? おれはお前にスロットを教えた師匠でもあるんだ! このくらいの事造作もねえってわけだ! はっはー!!』
友人もマクロスも一瞬のうちにうるさくなった。
まあここは素直におめでとうと言っておいてやろう。
二人して勝つことができるならばそれに越したことはないと私は思う。
虹色の翼をバッサバッサと羽ばたかせて上乗せを繰り返す友人。
まじで耳が壊れるってば。
店のガラスが全て弾け飛ぶような轟音が止んだ頃、私の台のガイコツがチカチカと光りだしたのだった。
こいつは以前にも何度か経験がある。
まさしくヘルズラッシュの前兆なのだ。
演出もざわざわしておいて、結局は何も起きないのがお約束。
しかしながら期待せざるを得ない。
なんせここでヘルズラッシュに突入しようものなら本当に万枚が現実味を帯びてくる。
変な胸の高鳴りを押さえつつレバーを叩いていた。
その時。
世界が終わったかと思うような爆音が再び耳に突き刺さった。
隣のマクロスの画面に、
『+10』
と表示されている。
10て!!
もういいよ!
鼓膜への攻撃はもういいよ!
耳から血を流しながら自分の台に視線をやると、
んん。
これはそういうことなのだろうか。
初めてだから良くわからないがヘルズラッシュ確定ということなのだろうか。
結果としてはそうだった。
そして初めてのヘルズラッシュ。
いやまあ凄いですよ。
何が凄いってリール遊びが凄い。
ぐわんぐわんとリールがあっちこっち回ってもう何がなんやら。
『ちょっと野菜ー。 マジでうるさいわー。 歌姫達の声が聞こえないじゃんかー』
黙っとれ。
今真剣だから。
ここでまた四桁とか乗ったらいよいよ…
台 『きゅいきゅいぽいー +150G』
え、終わったんだけど。
意味わかんないんだけど。
『お師匠、こんなもんですか?』
『…さあ』
くそったれめ。
このあとは…
160Gはまりボーナス。
ちまちま上乗せ。
200Gはまりボーナス。
ちまちま上乗せ。
こんな具合をひたすら繰り返す。
ただただこれを繰り返していた。
気付けば夜の7時。
獲得枚数は8000枚を越えていた。
この時点で自身の最高獲得枚数を更新していた。
しかしこんな長時間スロットを打つことが無い私の体力は限界を迎えかけていた。
腰も痛いし肩も痛い。
そして何より辛いのは、友人のマクロスがずーっと爆裂し続けていることだった。
『…なあ。 今何枚出てるの。』
『4000枚くらいかな! マクロスでこんなに出たの初めてやわー! うひょー!』
うひょーじゃねぇよ。
上乗せする度に鼓膜を丸太でノックされるこっちの身になってくれ。
ていうかコイツは、耳栓もしてないのになぜ平気なのだろうか。
ああそうかわかったぞ。
きっとコイツの鼓膜は既に進化を遂げていてとても分厚くなっているのだろう。
とにかく…!
もうこれ以上の上乗せは本当に勘弁してくれ…!
その台の上乗せ音、いや、全体的な音全てが!
少なくとも私の体力と気力を剥ぎ取るんだ!
剥ぎ取っては私を苦しめるんだ!
これは冗談じゃない、本気で…
マクロス 『ななをねらえー!』
うっ…!!
やめろ!!
やめてくれ!!
友人 『なんだこれ、はじめてみた』
やーめーろー!!!
ビュルチチチチチチチポィポィポィピピピピー
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