[2]猫とハイエナのバラッド [ 2016/10/24 ] |
■『パチスロ海物語』 (サミー 2005年5月)
いわゆるハイエナ台と呼ばれる機種はいくつかあったが、私の記憶ではこの台を導入していたホールの状況はすさまじかった。
海物語とは、あの海物語である、
現在も現役バリバリで球を打ちだしては「リーチ!」とはしゃぎまわり、「ごめんねー」と消えていくビキニの金髪が出るあの海物語である。
細かいゲーム性は割愛するが、ゲーム数解除振り分けが浅めに作られいる上に、それなりの爆発力も備えていたため、300G以上のゲーム数の台を打てば勝てると言われた台だった。
その題材もあり、新台当初は比較的なごやかなムードのシマであったが、「ハイエナが美味い」と知れ渡っていくとシマの状況は一変した。
まず誰も打たない、半端に打てばハイエナされると知っていたから。
近づくと死ぬという意味で、数年前に流行った呪いのビデオのような扱いだった。
もし打つ場合も、天井ツッパの覚悟で臨むのが必須、そんな稼働状況なので店も設定を入れない。
しかし修羅の国と化したシマ付近には常に数人の人間が、何を打つでもなくウロウロしていた。
それは何故か。
多くのホールは、パチンココーナーとパチスロコーナーが併設されている。
ちょっとスロットに興味のあるおじいちゃん、おばあちゃんがジャグラーを触っては、店員に目押しを頼む光景も日常的に見られた。
そんな中で、馴染みのキャラクターがパネルに描かれたパチスロ海物語がある。
パチンコメインとしていたライト層・加えて新台だからと試し打ち気分でシマに引き寄せられた人々がサンドに1000円を入れた瞬間、シマの両端にいた人間の目がギラつきはじめる。
好奇心は猫を殺す
「よくわからないけど、ちょっと遊んでみよう」
このシマの猫は、そんな興味本位で台に座った人間だった。
しばらく回してみるも当たらず、席を立つそぶりをしたら、我先にと数人が群がる、あからさまに走っていくヤツもいた。
「殺す」などという表現をしているが、実際打ち手の負け額はそこまで多いものではないだろう。
だがその興味が、好奇心が養分となり、ハイエナを潤していたのはまぎれもない事実であり、『パチスロ海物語』のシマは、さながら網にかかる獲物を待つ数人による蜘蛛の巣だった。
ことわっておくが、私はハイエナ行為そのものを否定しない。
シマの端で待ち構える、というような露骨な真似をしたことは無いが、ホールを巡回して期待値が高い状態の空き台があれば、私を含め多くの人が喜んで座るだろう。
このサイトの「スロッターズアンケート」の第32回のテーマ、「ゾーン狙いや天井狙い(いわゆるハイエナ)に徹する立ち回りついてどう思いますか?」を見ても、
・全然OK/全く気にならない : 732票 (41.9%)
・今の時代、勝つ為には仕方ない : 623票 (35.7%)
と、比較的許容されているのがうかがえる。
もちろん「許せない」という人たちもいるが、おそらくなりふりかまわない台確保といったマナー違反行為をする輩に悪印象を持っていて、それを除けばもう少し許容数は増えるのではないだろうか。
(ただしハイエナスロッターには、マナー違反を平然と行う人間の割合が多いのも事実であった)
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