[1]ペガビアン・ラプソディ [ 2016/3/18 ] |
読者諸兄ご機嫌よう、男爵です。
昨今のパチスロは、設定よりもその時の「引き」が出玉を得る上で重視されることが少なくありません。
低設定のマグレ吹き、AT機のフリーズからの一撃で大勝利。
逆に挙動は高設定のそれであっても、流れに恵まれずに不発に終わることもあります。
しかし、打ち手が変わっても連日吹き続ける低設定も稀にあります。
特にAT機は、機種によっては妙にやる気を出す台が暴れてコントロールできない、なんて店側の話も聞きますね。
今回は、珍台をやる気でどうにかしようとする、無茶な体育会系みたいな男爵の話。
スロット紳士こと男爵の体験談を聞いて欲しい。
― 某年 秋 北海道帯広市 ―
男爵は競馬場に来ていた。
普段競馬をすることはない私の目的は、ここ「ばんえい競馬」。
サラブレッドの倍ほどもある重量の大型馬が鉄ソリを引いて競う、迫力あるレースが楽しめるのが魅力だ。
観光で訪れていた私は、当然競馬のイロハはわからない。
馬券の買い方は係の人が丁寧にレクチャーしてくれるため心配いらないが、どの馬が勝つのかは、皆目見当もつかない。
パドックで出走予定の馬を眺めていると、年期の入ったキャップをかぶったおじいちゃんが「初めてか」と声をかけてきた。
私は素直に、競馬自体が初めてだと答える。
するとおじいちゃんは、どの馬に賭けるべきかを私にレクチャーしてくれるという。
「あんちゃんはどの馬が勝つと思う?」
おじいちゃんの問いに、私は素人ながら馬を眺めて考える。
「あの黒い体格のいいヤツ、かな?」と、黒王号みたいなひときわ大きな馬を指さす。
「確かにアイツはいい馬だ、だけどよく見てみな、やたら首を上下させて落ち着きがない、素質はあってもああいう時は走らねえんだ。」
なるほど、確かにスポーツでもメンタル面は大きく影響するものだ。
ポテンシャルを活かせないという意味では、設定6でも不発の終わるパチスロにも似ているだろうか。
おじいちゃんは続ける。
「俺が思うに大切なのは顔つきよ、特に目だな、やる気があるヤツは目に力がこもってるんだ。」
やる気か。
先ほどの高設定不発の例えに倣うなら、さしずめ低設定ノーマル機のBIG偏り、AT機の高継続とでも言うべきか。
もしくは短期勝負ならば、ハマり中の設定6よりもチャンスゾーン間近の設定1が強いとも言えるだろうか。
そんな根っからのパチスロ脳の私は、おじいちゃんのアドバイスを受け、キリッとした顔つきの栗毛の馬が勝つと予想した。
馬券を購入し、コース脇の特等席に戻る。
さぁ、レースの始まりだ。
レース結果は、私が予想した栗毛の馬が4着、初めに目を付けた黒い馬が1着だった。
おじいちゃんを見ると、「フッへへへ……」と恥ずかしそうに笑いながらどこかに行ってしまった。
私も大人なので、「こういうこともあるか」と場内の動物ふれあいコーナーに移動して、ウサギにエサを与えまくった。
私が帯広市で学んだことは、帯広の地方チェーン店『インデアン』のカレーは猛烈にうまい、ということだった。
関係無いが、インデアンカレーという名前の店が全国にあるのはなぜだろう。
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