37回目のこんにちは。 春川亭三七です。 さて、お時間かかりましたが、ようやく「楽屋裏」をスタートすることが出来ました。 それなりに評価いただいたようで、大変ありがたく思っております。 「棲み分け」と思っていただき、まぁ、別物です。 いかんせん楽屋裏ですから。 自分の思ったことをつらつら書かせていただければと思っております。 こちらの「舞台」ではこれまでと変わらず、≪業界コラム≫としてきちんと業界の中の事をお伝えしようと思います。 さて。 ご挨拶もそこそこに。 久方ぶりにきちんと回胴の方の記事を書くことといたしましょうか…。 業界的には、遊技くぎの問題でぱちんこの回収を急がなくてはならなくなった状況なので、裏に隠れていましたが、「高射幸性機」の問題が大きくなったのは、ぱちんこのMAX機よりはパチスロの「AT機」の方が責任が重かったのはご承知の通りと思います。 故に、このまま「ぱちんこ大変だなぁ〜」って鼻ほじって傍観していたら、今度は日電協(回胴の方の組合)が「こらっ!」って怒られかねなくなるので、きちんと現行の5.5号機に即した台を作るためにメーカー各社の合意の上で自主規制案を作りましょう、となったわけですね。 その規制内容はまだ発表されただけなので、その規制によって今後販売される機種がどのようなものになってくるかはわかりませんが、本日はここにその規制を受けて、起こりうる可能性を予想してみようと思います。 【パチスロ自主規制案はどういうもの?】 もうすでに「回胴式遊技機製造業者連絡会」の発表をもって、業界誌やネットにもその詳細が載っているので、詳しい説明は避けますが、言ってしまえば・・・ 1.小役優先制御の規制 2.ART突入率の全設定共通化/ゲーム数上乗せ抽選も全設定共通化 この2点になります。 何がどう影響するかひとつずつ解説しておきます。 ■1.小役優先制御の規制について 小役優先制御に関しては、実は「AT機」の問題の時から規制した方がいいのではないか?と言われていました。 いわゆる保通協試験の試験方法変更の問題の時に噴出したのですね。 簡単に言ってしまえば、「ゼロボ」を防ぐ対策案として出てきたものです。 試験方法変更前の「ゼロボ」というのは、高確率で成立しているボーナスを「小役の成立」を優先し、かつ押し順をナビゲートすることにより成立しているボーナスを蹴って、出玉が増える状態を維持していました。 そのゼロボ対策として、その当時に「小役優先制御はやめておこうか…」となっていたわけですね。 しかし、当時はとにもかくにもサブ基板で管理していたAT/ARTの出玉制御をメイン基板に移行させる必要がありましたから、そちらが優先されたという状況だったのです。 さらに「ゼロボ」を防ぐ手段として別の手法にて防げたので、とりあえず小役優先制御の方にはメスが入らなかったのですね。 ところが今回、「連絡会」の方が問題にしたのが、「小役の成立や再遊技の成立を高確率にすることによって、意図的にボーナスの入賞を避けることが出来る恐れがある」という部分。 皆様も何度も見たことがあるのではないでしょうか? 「ボーナス確定」画面でリプレイやベルが成立すると、表示されている揃えるべき「7図柄」や「ボーナス図柄」の色が薄くなってその上に成立小役が表示され、小役が優先されるという状況。 ざっくり言ってしまえば、あれやっちゃダメってことです。 そして、それは別に確定画面に限った話ではないですから、レア役と同時当選でボーナス成立したら、小役よりボーナス優先で揃えるわけです。 例えば、「スイカ+赤7同時当選」みたいなことがあったとすると、赤7付近にスイカを置いてしまうとスイカ蹴って赤7が揃っちゃうわけです、小役優先されないわけですから。 これ、配列にも大きく影響しますな。 あとは、小役成立だけではなく、リプレイの成立も問題視している文言がいや〜に引っかかります。 下手したらこれ、「A+完走型RT」にも影響するかもしれません。 オーイズミの「ひぐらし」とか、「うみねこ」とかですね。 もし、リプレイ成立でボーナス入賞を引っ張るのがNGになるとすると、ボーナスが成立していたら、それでRT終わらせないといけないわけですからね。 高純増ATが禁止されて、なんなら5号機初頭に時間が「巻き戻る」のではないかと思われましたが、そうもいかないようです。 RTというゲーム性までNGになると、なんのための5号機だったのやらという気がしなくもありません。 なんか、もったいないなぁと思う次第です。 2.ART突入率の全設定共通化/ゲーム数上乗せ抽選も全設定共通化 これについては説明を紐解く必要性もないと思います。 読んで字の如くです。 A+ARTにしたら、設定差つけていい部分はボーナス出現率と小役確率くらいです。 ただ、ボーナスに設定差があると、ボーナス中になんかしてARTに突入、とかできなくなりますね。 ボーナス中に「逆押しで7狙え!」みたいな演出はNGになるわけですね。 設定差つけちゃダメなわけですから。 ざっと書くと、規制の内容はこんなところになります。 いやぁ、どっちの規制もゲーム性の幅は大きく狭まります。 一体全体、回胴メーカーはどうしてそんな方向性にもっていったのでしょうか? 【メーカー組合の狙いはどこに?】 この2つの規制は、「警察庁」が法律を変えて「ARTの設定差禁止だから!」と言われたわけではありません。 あくまで自主規制です。 メーカー自らが「今後の開発においてはこういう風にしていきます」と線を引いてきたわけです。 ということは、メーカーは乗り越えられると判断したわけです。 で、あれば、メーカーはそのハードル超えてくるだろうと前向きにとらえられます。 5.5号機になり、天井到達時の期待枚数の大きさを抑えた機種が出てきて、さらに言えば天井そのものがない機種が出てきましたね。 それは結局何のためにやっていることかと言えば、「射幸性の抑制」に他ならないわけです。 そして、その「射幸性の抑制」の一環としての対策が、前述の2つの規制なわけです。 射幸性を抑えながら、博打ではなく遊技性を保たせなくてはいけません。 ぱちんこではなく、パチスロである必要性をどこに持たせるか? そのために、なんとなく自身でムチを打ち警察庁からアメを頂戴しようとしているのではないだろうかと推測できます。 あくまで予想ですけど。 というのが、これによってなんとかなる気がするのですよ。 「一撃3,000枚規制」というものが。 となると、あえて、新たな技術や出玉的な規制をかけずに3000枚に線を引ける。 新たに「3,000枚出たらこうこうこういう規制をつけます」ということをしなくて良くなるのではないでしょうか? 風営法規制の中で線を引く必要が出てきてしまうと、自主規制どころではなく、開発のスピードは落ちます。 下手したら、新技術や新しい機械や基板を入れる必要が出てきてしまうかもしれません。 そうすると、昨年のように淘汰されるメーカーが出てくる可能性も出てきます。 本来、自主規制は怒られないためのものではなく、射幸性抑制やエンドユーザーのためのものでなくてはならないわけで、その結果がメーカーの発展につながるならば、それに越したことはありません。 なので、この二つの規制はメーカー組合にとっては大きな「アメ」になる可能性を秘めているかもしれないなぁと思うのは大言壮語でしょうか? いや、もう言い切ってしまいましょう。 今回の自主規制は「パチスロ機発展へのアメ」だと。 【結論 : 前向きに捉えたい】 4号機〜5号機に至るまでにたくさんの変化が起きているわけです。 わたしが知らないもっと前の時代から考えたら、5号機なんてすごいものなんじゃないでしょうか? 出玉とかそういう意味ではなく、ゲーム性やそのエンタメ性みたいなものは。 ということはですよ? きっとなんとかするのではないでしょうか? メーカーサイドは。 5.5号機になった直後も、 「今後はおそらく10万台も売れる機械を作ろうとしない方がいい気がする。 2〜3万台売れる機種をコンスタントに出せる開発力を持つ必要がある。」 と、某メーカー開発の方に言われました。 正直、説得力のある数字なのですよ、これ。 現状、ホール総数が約10,000店舗だとすると、10万台売れる機種って、全店舗が10台ずつ導入する必要があるわけですよね、平均すると。 で、この10,000店舗がすべて大型店ではなく、中小店舗だってあるわけで、10台も買う必要がないホールも存在します。 ということは、現実問題のラインとして1機種で「10万台」という目標よりは「2万〜3万、ないしは上に振れて5万くらい」というのが、数字としては生々しい気がしています。 そこにたどり着くための規制が前述の二つなのだろうと。 どのホールも「5台はいらないけど、3台なら買うわ」と言われるような台を、そして、色々なメーカーの色々な台を打てる環境を作ってもらえるように、前向きに捉えていきたいと思います。 それが結果として、業界の発展につながるような気がしています。 まだ、発展の余地がある業界ならまだまだ捨てたものではないなと思います。 のめり込み問題や「明確に」良しとはされていない3店方式の問題もありますが、とにかく一つの大きな射幸性というものの線引きを一旦ここで引けるのであれば、それは業界進化の一歩であると評したいと思います。 といったところでお時間です。 お目通しありがとうございました。 【 回胴小噺 】 メニューへ
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