年の瀬も迫ってまいりまして、寒さ身に染みる今日この頃。 皆様いかがお過ごしですか? 春川亭三七でございます。 「師匠も走る」と書いて師走の12月になり、手前もなかなかに忙しい日々を過ごしております。 此度の釘問題を受けたといっても、メーカーとしてはまるっと開発ストップではないですし、何なら逆に試作の依頼が増えているような状態。 話を聞いているイメージだと、やはり特にユニバーサルが開発に躍起。 「自分らぱちんこの方は特に困ってないんで!」 と言わんばかりに、現行筐体でのパチスロの試作を作っているようです。 「HANABI」から「サンダーVリボルト」にした際に、筐体モデルをマイナーチェンジしたことによりコストダウンに成功した新作の「HANABI」。 そこそこの安値で卸したみたいですから、再販の割にはなかなかの売れ行き。 本当はもうちょい売りたかったみたいですけどね。 業界の状況を考えたら売れた方でしょう。 オリジナルコンテンツの強みもあり、筐体のマイナーチェンジでコストを下げる。 結果、再販でも売れるっていうあたりはさすがの一言ですね。 やはり、今年はユニバの年と言っていいでしょう。 といったところで本題です。 前回の記事にて「釘問題」についての「一応」の回答をお送りしたわけですが、この警察庁の見解を受けて、やはりというか当然のように起こった責任論。 この辺の根っこの部分を今回はお届けしたいと思います。 【日工組と全日遊連の言い分】 「日工組」からすれば、ホールの扱いやすいような申請釘にして申請していたというのが実情。 いうなれば、「釘が現場で叩かれる」というのを前提にした設計にしていました。 そういう経緯から、申請釘と市場設置台での性能乖離が認められるという事を「一部」認めることになったので、日工組からしたらメーカーにだけ責任追及されたら辛い。 というのが現状です。 対して、ホール側の全日遊連は、今回の釘問題が勃発する以前から「検定通過した時と同じ状態で納品してほしい」ということをお願いし続けています。 そして、今回の警察の指導は釘調整をしているか否かではないので、今回の問題は「メーカーにこそ責任がある」とメーカーだけに責任追及するような格好です。 まぁ、パッと見の印象では「日工組は歩み寄りたいけど、全日遊連はメーカーに責任追及したい」って感じに映ります。 全日遊連の立場からしたら、「ここで引けるか」っていうのが本音でしょうか? そうなったのにも理由はあるわけですが・・・。 【高射幸性機をめぐるシェアコントロール案】 釘問題のインパクトの大きさから、忘れがちになっていた高射幸性機撤廃の動き。 これに対してメーカー側は、「中古機流通の停止」を求めました。 どのメーカーのどの型式が良くてどれがダメという事ではなく、中古機の流通を止めて、今後出てくる新台を入れていけば、必然的に型式を限定しなくても結果的に「高射幸性機はなくなる」というものでした。 「中古機流通の停止案」のメリットは、型式の限定をしなくていいということ。 「これは良くてこれはダメ」というようなことを避けるためですね。 しかし、これは結局メーカーの言い分で、ホールからしたら、入れ替えのたびに中古機以外で回さなくてはならないのは大きな負担。 なので、これに対してホール側の出した案というのが「シェアコントロール案」。 中古機流通を止められると、ホールの規模によっては新台入替自体が出来なくなるホールが出てきてしまう。 それを避けるために、中古機流通の有無は置いておいて、段階的にホールから高射幸性機を撤廃していきましょう、というのを提案しました。 シェアコントロール案は、ホールからしたら「メーカーの責任の所在をはっきりさせたい」という事でしょう。 結果的には、シェアコントロールに流れたのは日工組・日電協から「高射幸性機リスト」が出てきたことからもお分かりの事かと思いますが、このシェアコントロールを巡ってメーカーサイドとホールサイドでなかなかピリピリした緊張状態に陥りました。 そんな状況の中で起きたのが、今回の釘問題だったわけです。 これに乗じてかどうかはともかくとして、ホールサイドとしては撤去する必要があるのならメーカーの責任にした方が都合がいい。 高射幸性機同様「リスト化」し、それに準じた撤去をすれば、メーカー下取りという責任に転嫁できると考えたわけでしょう。 しかし、そうは問屋が、いや、警察庁が卸しませんでした。 【論点がぼやける警察庁】 今回、釘問題を受けて「釘に問題のある型式をリスト化せい!」って言っておきながら、「そんなリストは今ないぜ?」っていう警察庁の柔軟性(嫌味)はなかなかどうして大したものですが、その2枚舌のおかげで、今回の問題の大きさはだいぶ希薄されたように思います。 というのが、まず、型式申請しその型で検定を受けるというメーカーが悪だという方向に持っていき、「『型式申請』=『市場流通』という声明を出しなさい」と指導したかと思えば、機構の市場調査は不正改造の可能性を感じられるとホールに対しても指導をしているのです。 結果として最終的には、「あまりに責任区分がメーカーに寄りすぎると、ホールに対しても処罰しますよ?」という、なんとも曖昧模糊な言い回しで責任追及をしてきました。 指導方針として、喧嘩両成敗だというのならともかくとして、「こっちの角度からみたらメーカーが犯人だけど、こっちからみたら犯人はホールです。 ただし、犯人捜しは置いておいて取りあえず『健全化』の声明を出して心を入れ替えなさい」って言うのは、いささか乱暴な気もするわけです。 前回の記事で「喧嘩両成敗的に遊技機規制違反」という書き方をしましたが、説明会後の言い分だと、どうやら「どこに責任区分を持っていいかわからないから遊技機規制違反にした」っていうように見えるのですよね。 こういうことになってしまうのは、結局のところ「警察庁の責任」がどこにも見えないからで。 そもそも、釘の問題にしても法の中に「おおむね垂直とは、盤面に対して○度未満の事をいう」という一文があるかないかだけで、一目瞭然に「2項取り消し」か「無承認改造」かの舵は取れるわけですから。 保通協と公安委員会の責任がまるっと抜けている現状なので、おそらくメーカーもホールも釘問題の「責任」の取り方には苦労するはずです。 【結論 : ホールもメーカーもどちらも淘汰されない】 わたし個人の考えで言えば、今後「釘問題」が直接の理由で淘汰されるメーカーもホールもないと考えています。 「いままで通りの釘で申請したら100%落ちる」というのはもはや当たり前で、そうならないためのハード設計の申し送りがあり、それに準じた開発を進めるわけですから、今後はベースが高く遊びやすい設計にはなってくるでしょう。 ホールにしても、「今後」は「遊技機」で問題が発生したら、それは「メーカー」のせいにできるわけですよ。 いじれないのですから。 そうなれば、今回みたいに責任のなすりつけあいにはなりません。 そして、なにより遊技釘の問題について「警察庁が大元の根っこを狩りにきているわけではない」というのが透けて見えます。 規則改正に持っていくような話になるのであれば、「釘」というもの自体を完全撤廃する動きに持っていけばいいし、そうすれば、メーカーはゼロから設計のやり直しだから大打撃です。 ホールにおける運用を見直したいのであれば、所轄の警察との連携を密にすればいいだけの話。 現状、ホールの摘発事例は警察からの直接的なものはほぼなく、所轄のホールに対する監視の目の鋭さに依存していますから。 どっちの指導に対しても、これといった絶対的なものがない状況ですので、結果論的に今回の「釘問題」は業界を揺るがす爆弾ではなく、今後の規制の方針を見定めるための指針でしかないような気がします。 「責任」の取り方で言えば、今後もメーカーサイドもホールサイドももめることは必然です。 とどのつまりは「お金」の問題になってきますから。 しかし、歩み寄る姿勢が見えてないわけではありません。 メーカー側がシェアコントロールに協力したり、リスト化にあたってホール側で強要はしなかったり、という感じですから。 これをきっかけにいい方向にかじ取りをしていってもらいたいと思います。 といったところでお時間です。 お目通しありがとうございました。 【 回胴小噺 】 メニューへ
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