えー、いっぱいのお運びで誠にありがとうございます。 春川亭三七でございます。 各メーカーが急いだ結果として、ホールにてなかなかの種類の新基準機の設置が進んでおりますね。 稼働状況がどうかはともかくとして、取り急ぎ、これまでのような出玉感は得られないという事を周知したいのがホールの本音でしょうか・・・。 これまで私は「設定に素直じゃなくてどうする?何のための設定だ!?」なんて思っておりましたが、こうまで新基準が設定というものに素直になってくると、「素直ならいいってもんじゃないな」と感じる次第です。 あくまで体感レベルですが、客滞率が一様に低い気がしています。 旧基準のATであれば、粗悪なホールからすれば「設定1でも放っておけばいい、いつか勝手に出る」みたいなこともあったかと思いますし、それで「何とかなるかも?」って思うエンドユーザーもいたかと思います。 とりあえずGOD引けば何とかなるだろう的な。 で、そこには設定差がないわけですから、そこに期待するのもまた一興になるかと思うわけですよ、娯楽としてはね。 だから、低設定でもとりあえず打っていられる環境があったと思うのです。 ただ、現状の新基準機の低設定の低設定らしさたるや。 これまで以上に間違いが起こりにくくなっているのではないかと危惧する限りです。 「旧基準のゲーム性を無理やり新基準に落とし込んでいる」というところに無理が生じてきているのでしょうか・・・。 ゲーム性としてまだまだ進歩しないといけないという意味では、成長産業であってほしいと思う今日この頃です。 さて、本日のテーマです。 カジノ法案の審議が先送りになったことにより、より一層業界的には考えなくてはいけない「射幸性とのめり込み」の関係について紐解いてみましょう。 【メーカーが考える射幸性の捉え方】 メーカー側が考えるところの射幸性というものの答えは、いろんな人にお話を伺う限り「明確な答えはない」というのが本音のような気がします。 というのも、メーカー側が考えるぱちんこ・パチスロにおいて、博打と遊技を分けるポイントの一つとして「技術介入」や「攻略要素」が存在します。 ぱちんこにせよパチスロにせよ、昔ほどではなくとも技術介入要素は存在します。 ぱちんこで言えば、狙ったところに玉を飛ばせたり、パチスロだったら同じ位置でリールを止めたりといったことですね。 そういうポイントは、実は射幸性には全くつながらないものだと考えられています。 「射幸心を煽る」というのはあくまで、投資とリターンのバランスが取れているかどうかに重きを置いているわけです。 ぱちんこ・パチスロではないですが、わかりやすく言えば、携帯ゲームの課金ガチャにあった「コンプガチャ」。 あれが規制の対象になったのは、「ある一定期間でコンプリートすることにより発生する対価(=プレミア限定カード)」が射幸心の煽りにつながると判断されたからです。 確かに、あの時期のコンプガチャにて、未成年者が保護者の了解を得ず勝手に課金して大なり小なりの社会問題になったことがあったかと思います。 入手を困難にして、それを得るまでの過程が射幸性の物差しになっていると言っても過言ではないわけですね。 なので、業界においての技術介入性は、ぱちんこ・パチスロを「博打」と認めさせない為の一つのスケープゴートになっているわけです。 これを過剰に簡単にしてしまうと、遊技性より博打色が強くなってしまいます。 さて。 それでは攻略要素においてはどうでしょうか? これは、ぱちんこで言えば「釘読み」という要素、パチスロで言えば「設定看破」という要素になります。 家庭用ゲームでも携帯ゲームでもなんでも、攻略するために知恵を出したり、情報を入手しようとするところと一緒です。 パチスロで例えば、「ベル確率に設定差がある」という「情報」があった場合、それをもって「高設定」に辿り着こうとする行為自体が「攻略要素」につながりますよね。 RPGのゲームで強い敵を倒すためにレベルを上げるのと一緒です。 ただリールを回せば出るとか、ただ玉をはじけば出玉を獲得できるという偶然性に依存しないようにするのが、ぱちんこ・パチスロの本質だったりします。 じゃあ、しっかりそこに重きを置いてきちんと法令順守して機械を作ればいいじゃないかと思われるでしょうが、事はそう簡単に進みません。 というのも、遊技機として設置される以上、ユーザーというのは短時間〜長時間遊べるユーザーと、それは多種多様な人が出てくるわけで。 「技術介入性」を高めすぎれば、それはライトユーザーの門戸をせばめすぎてしまうし、「攻略要素」を高めすぎてもしかりで、とかくライトユーザーには厳しい状況になってしまいます。 そして、現在の遊技人口の1000万人強という人口すべてがへヴィーユーザーのわけがないですから、「技術介入性」と「攻略要素」を高めすぎることによって、さらに遊技人口を減らすことになれば、それは自身で自身の業界の首を絞めることになってしまいます。 なので、ライトユーザーでも「どうにかなる」感を伝えるためには、ある一定期間でそれ相応の出玉を獲得できるための道がないといけません。 その結果が、パチスロで言えば「設定差のないポイントの出玉獲得トリガー」であり、ぱちんこで言えば「初当たり確率1/400」になったわけですね。 「作る側」の人間としては、遊技機の「遊技性」には「遊技者の技術」・「台に対する攻略知識」・「台の持つ偶然性」・「遊技者の運」が必要になり、その割合は概ね「4:4:1:1」位にしないといけないのですが、この割合も現状を見る限り正解でもなさそうです。 実際遊技人口は減っていますし、この割合を変えることが低射幸性につながるか否かの答えは出てきていないのです、現状の開発状況を鑑みると。 なので現時点では、メーカーサイドからすると射幸性に対して「明確な答えが出ない」となってきてしまうわけです。 台を作るという意味だけでなく、遊技機の方向性をわかりかねているという意味でもそれは同様であり、警察から出ている指導の「射幸性の抑制」というのもまた、メーカーの頭を抱えさせる一因になっています。 【射幸性の高低=のめり込み?】 メーカーサイドからしたら、低射幸性というものがどこをどうするべきかはわかりかねておりますが、指導する立場の警察からすると、少なくとも「出玉の獲得できるレベル」を何とかしなさいということになっています。 というのも、警察からしたら「大量出玉を獲得しうる台=射幸性」となっており、射幸性にメスを入れることが遊技機として「適正」である、と考えているわけです。 「適正」であると判断しうる要素として「のめり込みの抑制」があるに他ならないわけですが、この判断が大きな間違いであり、メーカーの頭を悩ませています。 要は「遊技機として低射幸性を追求しなさい、そうすればのめり込み問題も解決します」という指導を受けているわけですが、射幸性の高低は、実際にはめり込み問題にはつながりません。 酒でもたばこでもそうですが、アルコール濃度やニコチン濃度が低ければ依存症にならないということではないですし、低いからと言って過度に健康にいいわけでもありません。 それと同様にぱちんこ・パチスロも、ジャグラーや甘デジしか打たない人が依存症ではないとは言い切れないのです。 ところが指導としては、「射幸性の抑制」は「好ましい方策」とされていることから、とにかくそっちの方向に向かわせたいのです。 しかし、これは大きな危険もはらんでいるわけで・・・。 というのも、低射幸性機になったからと言って依存症の解決にはなりませんから、将来的に遊技人口が減っても、のめり込み対象者の絶対数が減るとは限りません。 さらに言えば、母数が減った結果、割合としては増える可能性すらはらんでいます。 それでも警察の指導としては「射幸性の抑制が好ましい方策」なので、その好ましい方策が好転しないのは作っているメーカーのせいだ!となりかねません。 このへんも踏まえて、メーカーは頭を抱えているわけです。 なので、できるだけ早い段階で警察に射幸性とのめり込み問題の正しい関係性をわかってもらいたいと切に願うばかりです。 【のめり込み問題についてのカギはホールにある!】 射幸性については、「高射幸性機の台の下取り」ということにおいてメーカーが一定の責任を負うことに決まったわけですが、対エンドユーザーに関して言えば、ホール側が遊技者に対して「遊ばせた責任」を負うべきではないかと思います。 昔のホールって、おじいとかおばあとかがおにぎりとか大福とか食べていませんでした? 「当たるも八卦当たらぬも八卦」みたいな環境と言いますか、なんかそんなぼんやりした空間って必要なんじゃないかなぁと思います。 全然当たってない時に、「いい加減、あんたやめときなさい」って怒ってくれる人、今のホールにはいませんよね。 別にそれがいいか悪いかは個人個人の考え方で良いと思うんですけど。 虫歯の予防のために歯を磨く必要があるのと同じように、ホールで遊べる環境がありながら、抑止するための環境もホールにはあるみたいな、そういう対策みたいなのできないのかなぁと思うのですよ。 もちろん、風適法下で対策を講じるのは色々大変かとは思いますがが、ホールとしてももう少しできることはあると思いたいものです。 少なくとも「メーカー」も「ホール」も、「遊技業界」という意味では一蓮托生なのですから。 メーカーとしては機械の性能を、ホールとしては遊技者に沿う営業を考えることが出来れば、遊技者に勝ち負けだけじゃなくて還元できることが生まれるんじゃないかなぁと。 しみじみしてきたところでお時間です。 お目通しありがとうございました。 【 回胴小噺 】 メニューへ
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