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回胴小噺



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吉宗〜極〜の販売成功から見る、遊技機販売の可能性と限界 [2015/7/20(月)]

大変失礼いたしました!

冒頭謝罪からの18回目。
春川亭三七でございます。

「チッ!またか!この野郎!」と思われるかもしれませんが、「シャドウハーツ」についてです。

というのも、パチスロのサイトやYouTube等でも見られますが、もうしっかり販促用PVまでできている状況です。
あれだけ「まだ出ない」と言っていたのに・・・。

以下、わたくしがユニバーサルの状況を聞いたときの会話です。


三七 「シャドウハーツ、もう出せるんですか?」

ユニバーサル関係者(以下U関係者) 「うん。 出るよ。 だって、申請通ったもん。」

三七 「だって、あれ・・・。 ユニバカ用の宣伝筐体ですよね?」

U関係者 「(ニヤッと笑って)あれはね。 シャドウハーツ自体は『バジリスクの筐体モデル』で出してるもん、申請。 でも、三七くんが『以前』来たときはまだ通ってもないし、もうちょい後ろの予定だったよ。」

三七 「・・・!! マジっすか!? サンダーの後は盆明け位までは再販攻勢だって…。」

U関係者 「それはそうだけど、さすがにそれだけじゃ年間販売計画厳しいじゃん? 通ったらそら販売に乗っけるよ。 というか、あんまり計画聞きに来ない君が悪い!」

三七 「ぐうぅぅ・・・の音も出ません。」

U関係者 「がはははは。 これからはもうちょい顔だしなさいよ。」

三七 「・・・大変失礼いたしました。」


まぁ、つまり・・・その・・・。
他の業務にかまけて、ユニバさんの状況の把握がおろそかになっていたが故、情報精度が低くなっておりました・・・。

というわけでの冒頭謝罪「大変失礼いたしました」でした。

兄弟子(花火さん)の記事にもありましたが、業界的に現在は「盆前商戦」でなかなかに慌ただしいのです。
それゆえ、なかなか新しい情報を聞きに行けずで、ネタの仕入れが遅れたと・・・。
そういうわけでした。

まぁ、こんな言い訳は置いておいてですね。

わたくしの今いる状況や立場も若干変化がみられてきましたので、今後はより一層の注意を払って業界ニュースをお届けしたいと考えております。

 


さて、それでは本題です。
今回のテーマは「販売方法」についてです。

まず、初めに。
まだ見てない方は、当サイトの機種ページの「吉宗〜極〜」の「ホールの扱い方」の項目を読んでいただけますでしょうか?

・・・読みましたか?

今回、「吉宗〜極〜」の販売方法&運用方法をテーマにして取り上げたいポイントは2つあります。

1.ホール貢献度の高さ
2.機械代の安さ


この2点になります。

この2つを紐解くと、パチスロという遊技がエンドユーザーの「興味」を得るためには、「ゲーム性」と同様に「運用」の重要性も見えてきます。
ひとつずつ順にその意味を解析してみましょう。

 


【なぜ『吉宗〜極〜』は稼働貢献度が高くなったのか?】
「扱い方」項目にもあるように、そもそもは「前作吉宗のスペック違い」というだけの台なので、真新しさは一切なく、演出も前作と同等。

そういった機種なのに、なぜ稼働貢献が高かったのでしょうか?

読者投稿時に一度、ホールのあり方として書いたことがあるのですが、結局のところエンドユーザーは「発売初週での導入」に「期待していない」わけです。

ホールによっては、今でも頭から力を入れているところもあるかとは思いますが、昔と違い「新台入替」時に設定を期待できる状況が極めて希薄になっているのが実情かと思います。
その要因は、「客飛びの早さ」に起因します。

「稼働を期待できるから買う」というよりは、「次のキラータイトルの為に買う」という状況が多くなっているので、ホールとしても「買わされた」と判断したものは、客が飛ぶ前に機械代の回収を急ぎます。
それゆえ、導入初週から「設定1」が乱立するわけです。

しかし、そうなると余計客飛びの早さを助長してしまうわけですが、ホールとしても赤字を乱立するわけにもいかない。
でも、客が来なければ黒字にも出来ない。
かといって設定を入れてたくさん出されても困る。
であれば、「1」でも吹くときは吹くんだし、「1」でもいいのではないか?

となり、「1」での誤爆で魅せ台が出来ればラッキー、なくても「1」なら抜けるからラッキー。
というのが、昨今のAT機の扱われ方かと思います。

しかし、今回の吉宗〜極〜に関して言えば、そうではないのです。

ホールの立場からすれば、前作の「挙動サンプル」があり、エンドユーザーの立場からすれば前作の「解析サンプル」があるわけです。
そもそもスペックが違うだけなのですから。

エンドユーザーが新台に期待できないのは、「6かも?」という可能性より、はまってからの少量のコイン・・・みたいな状況になる「恐怖感」の方が強いからではないでしょうか?
なので今回のように、ホールとしても前回の参考になるような台が売られると、「出玉の爆発する怖さ」と「出玉の吸い込みの怖さ」、この両方の怖さを把握した上で運用できるところに吉宗〜極〜の扱いやすさが表れているかと思われます。

そして、ユーザーとしても「波が荒くなってもおそらく見極めなければいけないポイントは同じではないか?」と推察でき、設定推測しながら稼働するという事をしやすくしている気がします。

つまり、ホールにとってもユーザーにとっても、「扱う/稼働する」ことに対してとっかかりやすい台になっていたのだろうと判断できます。
その結果が、稼働貢献度につながったのだろうと。


前作でよい思いをしたユーザーにしても、前作にいいイメージがないユーザーにとっても、「対吉宗」に対する情報浸透度の高さが稼働に繋がったわけですが、ホールにとっては前作の稼働サンプル以外のところにも扱いやすさがあります。

それが「機械代の安さ」です。

 


【吉宗〜極〜を安くできた大都技研の製造計画】
機械代の高さは、業界にとってはいつの時代も大きなテーマになっていますが、実のところ、ことパチスロに関しては実はそこまで値段の変動はありません。
液晶が乗っかったり役物がついたりしても、30年前と現在を比較してもパチスロ機の価格はほぼ横ばいです。
ぱちんこに関しては倍以上になっていますが・・・。

ぱちんこ台の価格高騰に関しては置いておいて。

パチスロの筐体を安くするための方策として、「Like New」という考え方があります。
直訳してしまえは、「新台みたいな」ってところでしょうか?
車業界的に言えば「新古車」とでも言えばいいのかな?

要は、「下取り」にて回収した台や同タイプの筐体で販売したものの、計画通り売れず、在庫になってしまった台の部品を「再利用」して販売する台の事を言います。

他業種でもいうのですかね?
「Like New」って。

例えば、「吉宗〜極〜」で言えば、外観的なところで変わっているのは「腰部のパネル」「サイドランプ」「下皿カバー」「リールパネル」「シャッターのレンズカラー」位かと思います。
この辺のものはおそらく新規で発注し、購入しているはずですが、中身のハーネスやホッパーなどは前回のものをそのまま「再利用」しています。

なので、製造原価が前作の吉宗と比較して格段に安くなっているのです。
それが、販売価格を半値まで抑えることのできた大きな要因になります。

しかも、前作の吉宗はなんというか「大盤振舞」の意味を忘れちゃった八代将軍だったもので・・・、出荷されずに在庫になっていた「新品の筐体」を大都さん、結構な数を在庫として抱えていたと思うのですよ。

となると、回収台をオーバーフローしたり、清掃する手間も省けるわけですから、新台を一から作るよりもかなり工賃を下げて、製造原価自体を下げることに成功しているはずです。
多少のバラす手間はかかるものの、新品部材を買うよりは大きくコストを下げることが出来るわけです。

販売計画数も、「Like New台」としては控えめにしているのも好印象の一つかと思います。
たしか、計画は5000台だったはず。
その後、少量ですが、追加生産もあったようですので、手の出しやすい価格と相まってホールが購入する触手を伸ばせたのではないでしょうか。

さらに言えば、ここからは推測になりますが、おそらく「抱き合わせ」的な販売をしていないはずです。
「ここで吉宗〜極〜を買っていただくと次のJackassが・・・」とか、「次のぱちんこが・・・」みたいなことが行われていないのではないかと思います。

そういうところから、ホールにも信用され、購入されやすいという現象を起こしたのではないでしょうか。
是非フィールズさんあたりに見習ってほしいものです。


製造原価を下げる努力。
販売台数を抑えることによるプレミア感。
そして、販売としての誠実さ。

この3点が、ホールに買ってもらえる要因を生み出したと判断できます。

 


【可能性と限界】
スペック違いによる再利用台での販売にて販売単価を下げ、ホールに扱いやすくさせるという手法はなかなかパチスロではお目にかかれない販売手法だったと思います。

原価も下がり、メーカーも助かる。
購入単価が下がり、ホールも助かる。
ユーザーも手を出しやすくなる。

いわゆる「ウィン―ウィン」のような関係に見えます。

こういう販売のあり方は、現在横行する「抱き合わせ」に対して一石を投じたようにさえ見えます。
なので、今回、吉宗〜極〜が売れた意義というのは大きいです。

しかし、いいことばかりでもないのではないかと。

そもそも、前作が「売れなかった」から可能であったわけで、もし前作が売れていたら今回も「新台」になっていたはずです。
そうすると、結局機械代は高いままで、ホールも「ただ、扱いにくい機種が増えただけ」となりかねないのです。

それを避けるために、ある程度部材をメーカーが「在庫」として持っていないといけないわけですが、それも簡単な話ではないわけです。

経営的な部分の話になるので割愛しますが、在庫を抱えるということは、極端な話「お金にならない資産を持ち続ける」という事をしないといけないわけです。

大都さんはまだ未上場メーカーなので、ある程度融通は利きますが、サミーやユニバーサルといった上場メーカーからしたら、必要以上に支出が増えるので、在庫に関してはものすごい神経質になってきます。

なので、いつでも今回の吉宗〜極〜のケースのような販売方法はとれないわけです。
「在庫」を持つということが前提になってしまうので。

「在庫」を持つという「限界」が、その販売手法の幅をせばめてしまっているのは実につらいことですが、今回の大都技研さんの販売にはもろ手をあげて称賛されてしかるべきだと思っております。

 


いかがでしたでしょうか?

今回の大都技研さんのケースは、「製造技術」として「Like New」としての定義を厳しく設定していたからこその面替え販売を可能にしたのと、その「販売営業」の「誠実さ」があってのことです。

メーカーがアクションを起こせば、ホールもユーザーも楽しめる環境はまだまだ作れるということを大都技研が可能性として示してくれたように思います。

これからお盆前商戦でいくつか有力新台が出てきますが、ホールもユーザーも短期間ではなく是非ながーーーい目で見てやってほしいなぁと思います。

といったところでお時間です。
ご拝読ありがとうございました。

 


〜お知らせ〜
さて。
何回か前の記事にて告知させていただきましたが、ぼちぼち実施の方向に動こうかと思います。
兄弟子・花火氏の想いや気持ちも引き継ぐために「業界枠」持たせていただいたわけですから…。

「皆様の疑問・質問にお答えします!」

をしてみようかと思います。

わたくしがこの「業界コラム」にて、業界のネガティブなところ以外の部分、製造業やアミューズメントととして成立しているところを皆様に知ってもらいたく、過去の揉め事や歴史も含めて記事に展開させていただいています。

要は、業界の中を知らない人に業界を知ってもらうとっかかりを作りたいのです。

なので、「知識欲」や「後学」のためでもなんでもいいので、興味を持って業界の事を知りたいという人がいれば、それを知るための一助になる場を作りたいと思っております。

三七に聞いてみたい!とか、
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業界について、答えられること、皆様の代わりにわたくしがメーカーに聞いてあげられること、質問・疑問なんでも結構です。
ご応募いただけますと大変ありがたく、助かります。

人生相談に乗ってあげられるほど立派な人間ではないし、立ち回りについて答えられるほどシビアに立ち回っていないので、その辺はご容赦いただければと思います。

では、今後ともどうぞ三七をよろしくお願いいたします!



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