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メーカー開発者の独り言〜今宵もオフレコで〜



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生まれてくる時代が悪すぎた「5.9号機」 [2017/9/7(月)]

人生はギャンブルだ。
多かれ少なかれ、皆何かを選択し、何かを決断している。
結果として成功する場合もあれば、逆もしかりである。

つまり、ゲームとしてのギャンブルは自身の人生経験を豊かにし、人生の選択・決断に勝つための鍛錬ともいえるのである…

と、嫁に力説してみたが何の共感も得られなかった。
小遣いのアップには期待できそうもない。


ギャンブル感というものは人それぞれである。
私の嫁のようなギャンブルをやらない人間は論外として、私の職場でもそれは大きく三つに大別することができる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

@人生これすなわち博打「オールマイティタイプ」
いわゆる博打であれば何でもいい、世捨て人タイプである。
パチンコ・スロットももちろんやるし、人が集まれば麻雀でもなんでも、とりあえず博打をしようとするエリート集団。
ちなみに私はここに属している。(キリッ)

A君しか見えない「スロットオンリータイプ」
スロットが本当に好きで、他のギャンブルは一切やらないというサラブレッド。
やはり、ここまで好きだとスロットについていろいろ考えているため、仕事でも凄いアイデアが出てきやすい印象である。
派生として、人間同士で争うのは良くないと主張する「敵は機械タイプ」がいる。
ターミネーターの世界かな?

B博打に興味なし「なぜここに就職…?タイプ」
パチンコ・スロットもほぼやらないタイプ。
映像関係のグループに多い印象。
ゲームやアニメ関係から転職してきたりする人も多いので、まぁギャンブルに興味ないというわけだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

大体、私の職場ではこのような三グループになっている。

比率としては、@とAのタイプが八割くらいいるイメージなので、趣味が合うことが多い職場といえるだろう。

まぁ、一般的な職場では、そもそもギャンブル観でグルーピングできるなんてことはないのだろうが…

 


皆さん、お久しぶり。
趣味を聞かれるとギャンブル関連しか出てこなくてゾッとする男、設定六郎だ。

前回、初めてコラムを書かせてもらったわけだが、質問をいくつかもらったので、まずそちらに答えていきたい。


まずは一つ目の質問。

「検定切れ間近の機種をまた中身を変えずに適合申請しないのはなぜですか?」

この質問は、おそらく今後みなし機を撤去していかなければならないことに対しての話だと思う。
これに対しては、いくつかの理由があるので順を追って説明したい。

まず、型式試験に関しては全く同じものを持ち込んではならない。
そのため、同じ機種をいくつも申請しているように見えても、実は中身を少しずつ変えて申請している。
だから、同じ機種をそのまま申請ということはできないわけだ。

ただし、これらは少しの変更量で問題ないので、実際は大して影響はないと言える。

では、なぜそれをやらないかと言えば、もう既にその機械は今の規制では適合しないというのが最大の理由である。

機械の検定切れまでの期間は三年間となるが、スロットの規則というものは少しずつ変わっているもので、三年前の機械がそのまま適合できるというシチュエーションはなかなかないだろう。

6号機に向けて再認定したい機械といえば主にAT機となるだろうが、現状の規則の中でも、すでにAT機は作れない状況なのだ。
さらに、10月からは5.9号機の規則へと変化し、今の新基準機すら作れなくなる。

ということで、やりたくてもできないというのが最大の理由だ。

もし規則が変わってないなら、素直に再認定でいいだろう。
もう一度型式試験をしたら、何回落ちるかわからないという機械も腐るほどあるだろう。


続いて、二つ目の質問。

「開発中、こんな台人気でる訳ねーとか思わないんですか?」

開発をしている途中経過で、面白くないと感じることは頻繁にある。
しかし、それをどう修正していくかが腕の見せ所だと思う。

まぁ、中にはこんなもんだろうと諦めてしまう人もいるが、大半はやはりいいものを作って世に出したいと思っているはずだ。

それでも、なんでこんな台が…なんて代物も確かに世に出ているのも事実。

一番の原因は、商品の狙いが定まっておらず、なんとなく開発してしまっているということだろう。
コンセプトというやつである。

これがフワフワしたまま一定期間開発を進めてしまい、ある程度試作機が出来上がった頃には、もう後戻りできないなんてことが考えられるだろう。

このようなチームは、やはり雰囲気が暗い…
私は今のところそのような状況に陥ったことはないが、長い期間を費やして作る機械なので、後悔なく全力でやりきりたいものだ。


最後の質問。

「ジャグラーのような液晶無しのAタイプも開発は大変なのでしょうか?」

開発で一番時間がかかるのは、液晶の映像を作ることである。
なので、開発のスケジュールを組む時は、映像の上がってくるスケジュールを中心に考える。

そういう意味では、開発期間の観点ではジャグラーを作るのは大変ではない。
液晶はないし、おまけにゲーム性もシンプルだ。
同じような物はすぐ作れるだろう。

しかし、ジャグラーをパクってヒットさせるのは大変である。

今やこれだけの勢力を持ち、安定してお客さんをつかんでいる。
結果、ホールも設定を入れるので完全に好循環だ。

この中で、ジャグラーと同じタイプで勝っていくのは難しい。
実際、ランプを変えただけのフェイクが何度も出ては消えている。
シンプルな機械なため、逆に差別化ができないのだ。

結局、ジャグラーと対抗するためには液晶で賑やかしていく・出玉でアピールしていくしかないのが現状だ。


以上、質問に答えさせてもらった。
今後も答えられる範囲で答えていきたいので、またコメントを送ってもらえると幸いだ。

 


それでは本題に入ろう。

前回、6号機について軽く語ったが、実際規則改正は来年2月以降になる。
直近で皆さんが相対するのは、11月以降に出てくると思われる5.9号機となる。

しかし、5.9号機というのも実に微妙な立ち位置だ。
順を追って説明しよう。


まず一つ目は、その適合期間の短さである。

5.9号機の申請はもう始まっているが、6号機規則が来年の2月に施行されるため、あと6ヶ月程度の期間しか申請されないこととなる。
こんな期間では、機械の数自体もあまり出てこないだろう。

次に、現行新基準機と比較しても明らかに魅力がない。

最も大きいところは、「有利区間1500G」の縛り。
これは、どんなに頑張っても約3000枚で打ち止めを意味している。

この「有利区間」とは、ARTの抽選を行っている区間のことなので、実際は1500Gフル消化できることは稀であろう。
純増が2枚に抑えられた新基準機でも、聖闘士星矢など一撃性の高い台で人気を博していたが、そのような機械ももう作れなくなる。

加えて、ARTの抽選にも大きな足枷が加えられている。

基本、ARTの抽選に設定差がつけられないことになる。
例えば、昨今の機械ならば強チェリーを引いた際、設定1なら20%、設定6なら40%などと設定差をつけるのが普通だが、これは5.9号機では禁止されている。
ART機なのに、ボーナスとコイン持ちで設定判別をすることになる。

この二点をまとめると、出玉性能もゲーム性も現行機よりかなり制限される。
単純に性能が落ちるということだ。

にもかかわらず、5.9号機が設置されている時期にライバルとなるのは、現行の新基準機の生き残りと、再認定を受けたAT機。
どう考えても勝ち目は薄いだろう。

おまけに6号機がもう見えているため、どのメーカーにも規則の裏をつくような新システムが用意されているとは考えにくい。
5.9号機ART機は、まさに二千円札の如く目立たず消えていく可能性が高いように思う。


では、メーカー側は何を作っておくのが賢明かといえば、ズバリノーマルタイプだ。

6号機規制の恐ろしいところは、今までの規制ではノーマルタイプだけは変わらない性能で出せる安定感があったのに対して、そこすら維持できないことにある。
一方、5.9号機はノーマルに規制が影響しないため、現行の性能の機械が出せるというわけだ。

6号機に移行してもしばらくは5.9号機が設置できるであろうことを考えると、中途半端なART機を作るよりは、ノーマルタイプを作っておいた方がホールに長く生き残れる可能性が高いと思われる。

しかし、こればっかりは蓋を開けてみないとわからないのも事実。
もしかしたら、5.9号機にとんでもない隠し玉を用意しているメーカーもあるかもしれない。

何かと存在感の薄い5.9号機だが、今後の各メーカーのラインナップから力の入れ具合なんかを推察してみるのも、ちょっと違った視点で面白いかもしれない。


それでは皆さん、また次回もよろしく。



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