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参加期待値と引き子 [2017/6/9(金)]

<参加期待値>
第110回の人生パチスロ一筋で、二見さんが「必ず狙い台に座れる前提」での参加期待値のお話をされていました。
そして、第40回のゆるい専業生活者の日常で、ガリバーさんが「狙い台に座れるか否かは朝の入場抽選に依存する場合」の参加期待値のお話をされていました。

お二人の話を合わせると、

「二見さんが説明されたシチュエーション別の参加期待値」×「狙い台に座れる確率」でその日の参加期待値が決まる

という事でした。

そして、参加期待値から交通費等の必要経費を差し引き、それを抽選を受けるまでにかかる移動や待ち時間等の所要時間(入場が並び順の店舗であれば並んでいる時間)で割ると、理論上の「抽選に参加する事で得られる時給」が求められます。

という話を前提に、私自身が以前からずっと気になっていた事を今週は扱ってみたいと思います。
二見さんとガリバーさんのお話を借りる形で誠に恐縮ではありますが、ご容赦頂ければと思います。

 


<とある来店取材の特定日に>
「うわ〜、今日500人くらい並んでんじゃん。マジかよ……」
そんな事を心の中で思いながら、抽選を引くとそこに書かれた数字は「429」。

「この店、スロット200台しかないのにふざけんなよ。」
そんな捨て台詞を吐いて、入場整理券を破る。

無念を噛み締めながら帰路につく時、こんな光景を目にした事はないでしょうか?

入場整理券と現金の交換……
しかも、何十枚も!?

初めて見た時には衝撃的でしたが、今となってはもはや見慣れてしまうくらい当たり前の存在となった「引き子」。
自らはパチスロを打たずに入場抽選だけを代行し、手に入れた入場整理券と引き換えに一定の現金を受け取る人達です。

自らが入場抽選に漏れた時にこの光景に遭遇すると、ホントにやるせない気持ちになりますよね……

しかも、それは専業のスロプロだけではありません。
カップルで並んでいる一般のスロッターだって、女性の方は彼氏の為の引き子というケースが多いでしょうし、Twitterを見れば、普通のサラリーマンが引き子を募集している時代です。
つまりは猫も杓子も引き子を連れてくるので、余計に並びの人数が増え、抽選倍率の悪化が新たな引き子を産む悪循環に陥っている訳ですよ、現代のパチスロは。

でも、安心して下さい。
今は、周りが引き子を連れてくるなら自分も連れていかなきゃという強迫観念に取り付かれているだけで、引き子を連れてスロ屋に並ぶ時代はもうすぐ終わりを迎えます。

というか、スロットの世界にとって誰得な引き子。
全盛の時代は終わらせなければなりません。

例えば、スロットを打ちたい人が200人いたとしましょう。
誰も引き子を連れてこないで200人で抽選した場合と、全員が4人ずつ引き子を連れてきて1000人で抽選した場合の抽選倍率は変わらないですよね。

にもかかわらず、今のスロット界は、後者を選択して猫も杓子も全員が引き子の給料を負担する苦行の道を敢えて選んでいる訳です。

その結果、スロットの収支はトントンでも、引き子の給料分だけ負けて、今のパチスロは勝てないなんて呟いてみたり……

もう終わりにしましょうよ、こんな時代!

という、少し大袈裟な方向に話が逸れてしまいましたが、いよいよ本題に入っていきたいと思います。

 


<引き子を連れてスロ屋に行くのは得なのか?>
結論から言うと、「今までは得だった」というところではないかと思います。
「今までは」というのは、専業のスロプロ達が、自分達だけが引き子を連れているという状況だった時の話です。

ではどうしてそのような結論になるのかというところで、ようやく話は参加期待値へと戻ります。

要するに、参加期待値と引き子に支払う給料を天秤にかける訳ですが、その為にはいくつかの情報が必要になります。


1.シミュレーション別の期待値
最近はデータ機器が充実したり、ネット上で出玉情報を公開する店舗が増えたおかげで、取材レポートからだけではなく、一般のスロッターのTwitter上の呟きなんかからも、かなり具体的な数字情報が得られるようになりました。

中でも有用なのが、次のような情報です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○○月□□日 店舗名
バジリスク絆 全20台の合計差枚数40,000枚
まどマギ……
沖ドキ……
マイジャグ……
……
以上、主要機種100台の合計差枚数100,000枚
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

二見さんが仰っていた通り、シミュレーション別の期待値を正確に知る事は困難です。
しかし、上記のような情報があれば、座れれば平均で1,000枚のプラスという計算ができますよね。

加えて、全設置台数に占める当たり台(シマ)の数も、大雑把ですが窺い知る事ができます。
(今回は引き子が大勢存在する状況下での抽選入場を想定していますので、狙い台が特定できてそこにピンポイントで座れた場合の期待値の上昇は考慮しません。)


2.狙い台に座れる確率
入場抽選の結果、とりあえず何かしらには座れる番号を引ける確率を求めます。
これも取材レポート等を見れば、朝一の並びの人数が明記されているケースが増えてますので、計算の元となるデータを手に入れるのは簡単だと思います。

●狙い台に座れる確率
狙い台(機種)の設置台数 ÷ 朝一の並びの人数

単純にこの計算で確率が求められます。

但し、ここで狙い台と記載している通り、分子を全設置台数とはしない方が良いと思います。

例えば、絆だけが熱い店舗で絆に座れなければ帰宅すると決めているようなケースでは、絆の台数のみで計算した方が良いですし、アイムジャグラーのように設定6の機械割が低く朝一から座る価値がないと判断される機種がある場合にはそれを除外して計算します。
(この考え方は、シミュレーション別の期待値を計算する場合も同じです。)


3.引き子に支払う給料
私の知る限り、交通費込みで2,000〜3,000円くらいが相場ではないかと思います。
数百人規模の入場抽選だと、並びはじめてから抽選が終わるまでに1時間はかかりますので、移動の手間等を考えると実質的には打ち子の時給は1,000円くらいといった数字でしょうか。

そう考えれば、この相場感も妥当な数字のように思えます。

では、具体的にこの数字をシミュレーション別の期待値が上回るのかどうか検証してみます。

 


<引き子を連れている打ち手は損している!?>
今回は、都内ピースフルな場所にある店舗のデータをベースに、私が計算が分かりやすくなるように単純化した数値で検証を行いたいと思います。
現実の数字ではない点だけ、予めご了承下さい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■シミュレーションの条件
・5月中旬の来店取材日
・並びは1,000人で打ち切り
・設置台数は全部で400台

■当日の出玉情報
・バジリスク絆 全30台の合計差枚数15,000枚
・まどマギ 全10台の合計差枚数8,000枚
・凱旋 全30台の合計差枚数50,000枚
・ハーデス 全20台の合計差枚数2,000枚
・沖ドキ 全30台の合計差枚数50,000枚
・サラ番 全10台の合計差枚数20,000枚
・番長3 全20台の合計差枚数80,000枚
・少数設置機種 全30台の合計差枚数60,000枚
・バラエティー 全20台の合計差枚数15,000枚

以上、主要機種200台の合計差枚数300,000枚
全400台の合計差枚数160,000枚
1台あたりの平均差枚数400枚

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まずは上記のデータから、素直に参加期待値を計算してみます。

設置台数400台のいずれかに座れる確率は抽選参加人数が1,000人なので、

400÷1000=0.4(40%)

になります。

座れた場合、平均差枚数が400枚のプラスなので、両者を掛け算して求められる、

400枚×0.4=160枚

が、この日の参加期待値になります。
等価交換だとして、わずかに引き子の給料相場を上回るだけの数値ですね。

では、上記のデータに次のデータを加えてみた場合どうでしょうか?

・アイムジャグラー 全100台の合計差枚数-50,000枚
・その他残りの機種 全100台の合計差枚数-90,000枚

ある程度店舗の傾向から狙い台を絞れるケースとして、アイムジャグラーだけは狙い台から除外して、参加期待値を計算してみます。

上記と同じ計算をすると、アイムジャグラー以外の台に座れる確率が30%。
アイムジャグラー以外の台の平均差枚数が1台あたり700枚。
両者を掛け算した参加期待値が「210枚のプラス」になります。

先程よりはマシな値になりましたが、引き子を雇う手間暇と天秤にかけた時に、それに見合うだけの期待値が得られたでしょうか。

もちろん、もっと狙い台の精度が高ければとか等価交換ならとか考える方もいらっしゃるとは思います。
ですが、店側が160,000枚もの赤を出してる来店取材日ですらこの有り様なのですから、引き子を雇ってまで参戦するよりももっと効率の良いやり方が他にあるのではないかと私は思います。

 


<もう絶望する必要なんて……>
自分だけが馬鹿正直に引き子を連れていかないのは……
不安になる気持ちは分かります。

実際、抽選に漏れて、引き子を使った専業達が先に入場していくのを悔しい想いで見送った事が私自身も多々あります。

でも、そういう光景に出会ったとしても、もうイライラする必要なんてありません。
引き子を使う期待値なんて、殆ど存在しない事が分かった訳ですから。
これからは、上から目線で「ご苦労さん」と言ってやればいいんですよ(笑)

とはいえ、もうしばらくはその極々わずかな期待値に群がる形で、引き子全盛の時代が続くと思います。
引き子側は、朝大学に行く前のちょっとしたアルバイト感覚でメリットもありますしね。


という事で、引き子全盛時代を終焉させる最後のトリガーは、やっぱり店舗側の対策にかかっていると思います。

ブラックライトインクによる本人確認等、引き子対策に乗り出す店舗も出てきておりますので、フェアに抽選出来る時代が早く実現すると良いですね。

 


P.S
サンプルデータの取得の為に、様々な取材レポートを拝見したところ、全台高設定だったと報告されている割合が圧倒的に多かった「番長3」。
先を見据えて、新基準を盛り上げたいのはどこのホールも同じという事なのでしょうか。

逆に全くと言って良いほど設定が入らなくなっていたのが「初代まどマギ」。
「絆」は中間設定ベースでシマ全体でちょいプラで終わるか、全6か、という極端な傾向が見られました。

よろしければ、皆様の立ち回りの参考にして下さいませ。



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