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<前回のあらすじ> 明日から3日間、グランドオープン◯周年イベントを開催するパチスロ店「トレジャー」に下見に行った帰りの事。 私達一行は、園長の昔馴染みで「トレジャー」の店長である「南」に、マナ悪軍団を懲らしめるべく、彼等がイベント期間中に着席しそうな台を予想してほしいという依頼を受ける。 深夜に及ぶ作戦会議の末に、私達は翌日彼等が着席しそうな台番をノートに記していった。 ~デスロノート~ そのノートに書かれた台番は翌日「設定1」になるという死神のノート。 死神のノートに記載された台番をめぐり、トレジャーとマナ悪軍団との3日間の頭脳戦の火蓋が今日切られる。 <イベント初日の朝> 「例のマナ悪軍団は全部で10人。 予想通り、早朝に店頭に現れて先頭に並んでいるらしい。」 私が目覚めると、園長からメールが届いていた。 そのメールを見ながら、私はゆっくりと朝食を摂る。 設定を知っている私は、今日トレジャーで打つ事はできない。 彼等がどの台に着席するかを見届けるだけなら、開店ギリギリに現地に入れば十分だからだ。 ~90分後~ 開店時刻の15分前に、私はトレジャーの店頭に辿り着いた。 見渡す限り、並びの列の最後尾は確認できない。 この様子だと設置台数以上の人が並んでおり、朝一着席したら最後、台移動は不可能になる事は容易に想像できた。 続いて、私はその列の先頭に並ぶ10人へと視線を移す。 入店後、彼等が着席した台を確認する為には、ターゲットの顔と服装くらいは覚えておかないとならないからだ。 あくまでも通りがかりにさりげなくを装って彼等を眺めたはずだった。 だが、彼等の中心にいたある男も、またこちらを凝視していたのだ。 一瞬、お互いの視線が交錯する。 「マズイ!?」 視線を足元に向け、そのまま通り過ぎようとする私。 しかし次の瞬間、男は、私の肩を叩いて私を呼び止めた。 「誠くん……だったよね?」 振り向いた私の目に入ってきたのは、クロムハーツの十字架のネックレスに髑髏の指輪。 そのいかつい装飾品には見覚えがあった。 私は以前に、一度だけその男と顔を合わせていたのだ。 男の名は「影山」。 私がこの男を知っていたのは、この男が以前は園長と行動を共にしていたからであった。 といっても、深い間柄ではない。 ただ一度、園長と彼が偶然ホールで出くわして、その場に私もいた。 だから、名前を名乗り合ったというだけの関係である。 影山と出会ったのは2ヶ月ほど前の事だったろうか? その時に園長に聞いた話を思い出す…… ~~~~~~~~~~~~ 「今の影山って方は、どういうお知り合いなんですか?」 2ヶ月前、影山と別れた後に私は園長に尋ねた。 園長曰く、スロットの腕、特に台読みに関しては天下一品。 自らホールで働いていた経験もあるだけに、ホール側の意図を読み解き、高設定を嗅ぎつける事においては園長でも敵わないとの事だった。 だが一方で、勝つ為には手段を選ばない面もあり、朝一の台確保やハイエナにおいてはかなり強引なやり方をする人物でもあったそうだ。 それ故、その部分の考え方が園長とは合わなかった。 結果、お互いわずかな時間を共にするだけで、別々の道を歩む事になったというのが、園長と影山の関係だった。 ~~~~~~~~~~~~ 「誠くんは今日打つの? お互い頑張ろうな。」 開店時刻が近付き、入り口のブラインドが開けられたのに気付くと、影山は一方的に話を打ち切り、並びの列へと戻っていった。 少し話をする分には、いかつい見た目とは裏腹に気さくな兄貴といった感覚だったが、こんなところで親近感を持ってはいけない。 それが、園長も認める凄腕スロッターであったとしても、我々は負ける訳にはいかないのだ。 <そして、開店> 私達が前日の作戦会議で用意した主な仕掛けは次の通り。 ●キンパルのストックが多く残っていそうな台は低設定のまま据え置き ●吉宗のハマり台は設定2に変更 ●ジャグラー1シマと猪木のシマが全台設定6、この2シマには朝一から高設定である事を示す「金札」をデータ機器の上部に挿しておく ジャグラーと猪木に告知札を挿すのは、この2シマが彼等が普段狙う事のない店内の一番奥にある為である。 今日の客の入りを考えれば、いかに彼等といえども、朝一店内の様子をくまなく確認してから台を選択するなどという時間的余裕はない。 真っ先に狙い台をキープするしかないとなれば、その狙い台がキンパル・吉宗、あるいは北斗の拳であったとしても、彼等が店内の一番奥にあるシマを目視確認する事はないというのが私達の狙いであった。 朝一、「金札」の挿されていた台は設定6。 イベントの初日、2日目と刷り込む事で、最終日には金札を使って、彼等を低設定台に誘導するというのが我々の描いたシナリオだった。 園長と私は、数百人の並びの列の最後尾から入場する。 いつも朝早くから並び、先頭付近で店内に入る私にとって、なかなか進まない列の最後尾にいる事はもどかしかった。 開店から既に10分が経過しただろうか。 ようやく私達が入店する頃にはもう、店内に空き台は見当たらないような状況。 既にボーナスを引いている台もチラホラ確認でき、激熱イベントにふさわしい盛り上がりを見せていた。 そんな中で、気になる彼等の姿はというと……。 園長と私は、低設定据え置きのキンパル1139番台に影山の姿を発見した。 「狙い通り」、そう心の中でガッツポーズする私とは裏腹に、園長は浮かない顔で私に耳打ちする。 「アイツが相手となると、明日はこう上手くはいかないぞ。 アイツは必ず今日の状況を見て対応してくるから。」 その言葉は、やり方の良し悪しはあるものの、影山のスロッターとしての実力は認めざるを得ない水準にあるという事を意味していた。 彼等の姿を確認すると、私達は店内通路の脇に設置されているベンチに腰かけた。 「今日のところはほぼ狙い通りでしたね。」 予断を許さない相手である事は理解したつもりであったが、こわばる園長の表情を見かねて私はそう声を掛けた。 結局この日、彼等が着席したのは、 ●低設定据え置きのキンパル 4台 ●設定2に打ちかえた吉宗 3台 ●我々が予想できなかった北斗の拳 3台 北斗の拳は、台番をピンポイントで予想はできなかったものの、彼等が狙ってくる可能性のある事は織り込み済みで、全台設定変更をした上で中間設定多数の配分。 最高設定をほとんど使っていないという意味では、彼等がどの台に座っても問題はなかった。 そう考えれば、この日は我々の完全勝利といっても良い結果だった。 「お客様にお知らせします。 約5分のお時間で朝一チャンス札を回収させて頂きます。 チャンス台の確認がお済みでないお客様におかれましては、是非今一度店内データ機器の上部にご注目下さいませ。 繰り返します……」 店内では、事前の打ち合わせ通りのアナウンスが流れる。 彼等に「金札」の存在に気付いてもらう為の演出だ。 アナウンスを受けて、混雑した店内に「金札」を探す人の流れが発生する。 その人の流れの中に影山の姿を見つけると、私は彼をそっと目で追った。 そして、その姿がジャグラー・猪木のシマに向かうのを見届け、私達は店内を後にするのであった。 <近場の喫茶店にて> トレジャーを後にしたのが午前11時。 それから園長と私は、時間潰しがてら近くにあった喫茶店に入った。 「当店こだわりの」と表記されたコーヒーをスルーしてアイスティーを頼む私に、喫茶店のマスターはやや不満そうであったが、私はコーヒーがあまり好きではないのだから仕方がない。 そんな事よりも、これから先の事の方が気になるのだ。 「明日以降はどうなるんですかね?」 まだ朝一の段階でそれを気にするのは少し性急な気もしたが、その他の話をする気にはなれない。 「大事な事は、今日の設定を影山がどう判断するかだな。」 キンパルは数回ビッグボーナスを引けば、そこに大きな設定差がある以上、低設定であることは見破られるだろうが、敢えて偶数設定にした吉宗や中間設定の北斗は正確に判別する事は不可能だろう。 展開次第では高設定だと勘違いしてくれるかもしれないし、低設定だと判断されるかもしれない。 だが、その判断結果を以て、影山が翌日の狙い台を考える以上、影山がどのような判断のもとそれを考えるかを知っておく事が、私達の直近の課題という訳だ。 「彼等がどのタイミングで朝一台から離席するのか、あるいは閉店間際まで打ち切るのかがポイントだな。 それを見て明日の作戦は考えよう。」 あるロジックで選んだ狙い台が高設定であれば、翌日以降も同じロジックで狙い台を選ぶし、それが間違っていると分かれば、翌日はロジックを組み直す。 言われてみれば、それは、自分達もいつもやっている事であった。 彼等が今日の設定をどう判断したのか、影山が翌日、これまでのロジックを組み直してくるのかどうかを我々が知る方法は、離席のタイミングから推測するしかない。 これをチェックするのが、この日の私の仕事となった。 <閉店後> 昨日と同じファミレスで、私はこの日の彼等の稼働状況と閉店間際の状況をまとめて園長と南店長に報告した。 ~彼等の稼働状況~ ●キンパルに座っていた4人は、初当たり(128G以降の当たり)を2回引いたところで全員撤退 ●吉宗に座っていた3人は比較的粘ってはいたものの、17時頃までには3人とも天国モード天井抜けの200Gで止め ●北斗の3人のうち2人は設定4を終日打ち切り つまり、見切ったキンパルと吉宗は高設定ではないと判断されたという事。 終日打ち切られた北斗の拳は高設定だと判断された訳である。 「影山は朝一札台の猪木とジャグラーの様子をしきりに気にしていました。」 最後に私がそう付け加えると、園長は南店長に向けて、明日の設定の方向性を語り出した。 我々の狙いは、最終日に北斗の拳の金札台に彼等を誘導し、その台だけを「設定1」にしておく事。 そう考えた時に、2日目の明日、我々が最もやりたい事は、 ●金札は最高設定という印象を彼等に与える事 ●その金札台に彼等を座らせない事 この2つであり、彼等に低設定台に座ってもらうというのはあくまでできれば……、という位置付けで考えるべきだと園長は語った。 「札台を今日と同じようにシマ単位で固めるか、明日は逆にばらけさせるか…… 店長としては何か希望は?」 園長の問い掛けを受けて、南店長の挙げた百景とスーパービンゴ、それに本日全6からの据え置きでジャグラーの3機種が明日の金札対象となる事が決まった。 「影山は、今日の金札台の動向をチェックしてます。 明日は朝一に札台を探してくる可能性もあるのでは?」 彼等はかなり朝早くから並んでおり、その意味で、他の客より先に台を選べる先行権を手にしている。 私には、彼等に金札台を取られてしまう危険性も大きいように思えた。 「そこは、入場が終わって客達の着席が済んだ直後に札を挿す事で対応すれば良い。」 そうすれば、彼等が苦手とする台にわざわざ座る事はまずないだろう。 彼等が他の客との関係で先行権を手にしているのであれば、店側には札をいつ挿すかを自由に決める事ができる権利、言わば後出しの権利がある。 影山が金札を巡り、どのような戦略を立てたところで、台を選択する時点では存在しない金札に対応する事は不可能である。 この時点で、既に勝敗は決しているかのように私には思えた。 「影山は特にキンパルについては、今日設定が入っていなかった事から、狙い台を変えてくる可能性が高いと思われます。 そうなった場合、影山の狙い台をピンポイントで予測するのは不可能。 明日もキンパルには設定は使いにくいかと思います。」 既に勝った気になっている私をよそに、園長は彼等が座るであろう台に低設定を入れる事を考えていく。 今日の結果を踏まえて、影山だったらこう考えるかもしれないという仮説が次々に挙げられていき、それに該当する台番が続々とノートに記載されていく。 結局この日は、前日のようにピンポイントで彼等の狙い台を絞る事は難しく、ノートに書かれた台番の数も前日の倍に膨れ上がっていた。 「あくまでも本番は3日目。 店のイメージの事もあるだろうし、全てに低設定を入れなくても良いんじゃないか?」 園長は死神のノートを見て、ふっと呟いた。 だが、それ以上に南店長の彼等に対する決意は固かった。 「可能性のある台は全部潰しておきたい。 その分、他を甘くするから大丈夫さ。」 あくまで、ノートに挙げられた全ての台を低設定にすると言う南店長。 その結果、彼等の好むキンパル、吉宗には大量の低設定台が。 又、北斗の拳も中間設定多数で稼働マジックに任せる配分、すなわち明日の北斗の最高設定は「4」という事が決まったのであった。 デザートに頼んだバニラアイスをつつきながら、私は今日の出来事を振り返る。 この時、私は悟ったのだ。 ホール側に目を付けられたら、ホール側にこの客は凹ましてやろうと狙われたら、客側のスロッターはまず勝つ事はできないだろうという事を…… だが、しかし…… (次回、逆転の2日目。そして、再逆転のイベント最終日。完結編へ) 【 6の付く日はお先に失礼します 】 メニューへ
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