<初日から順風満帆?> その日集まった4人のメンバー全員がファイヤードリフトの設定6を掴めた事に、私は満足していた。 何回目のBIGボーナスだっただろうか。 私が「パチスロZ」のファイヤードリフトで、赤い7を揃えてからふと下皿に目をやると、下皿は既にメダルで溢れていた。 私は2つ目の箱に手を伸ばし、下皿のメダルをドル箱に移していく。 するとその時、別の店舗「パーラーK」で設定6を打っていたはずのメンバーAが、私の目の前に現れたのだ。 この時、まだ17時。 当たり前の事だが、高設定台を掴んだら、食事休憩はおろかトイレに行くのさえ我慢して、閉店ギリギリまでぶん回すのが軍団のルール。 Aだって、当然その事は理解している。 何故ここにAが? ここに現れるはずのないAの登場に私は戸惑った。 「パーラーKのファイヤードリフトは?」 開口一番、私はAを問い質した。 すると、Aは首を横に振って私の問に答える。 「チェリー後の高確移行率、BIGボーナス中のハズレ、いずれも低設定域の数字に落ち着いたから、園長と相談してキリの良いところで止めてきた。」 「そんな!? 朝一あの挙動で設定6じゃなかったのか?」 朝一に獲得した出玉は全て飲まれたというAの言葉を聞き、私は驚きのあまり、大きく声を張り上げた。 ホールの中は大抵の場合、大音量のBGMやスロット台の発するけたたましい騒音で溢れている。 ホール内での会話はなかなか相手に聞こえにくいものだが、私の発したその声は、少し離れたところにいた園長にも聞こえたようだった。 声を荒げる私をなだめるように、園長は穏やかな口調で、私とAに向かって指示を出した。 「俺はパーラーKに行ってデータを確認してくるから、俺の台はAが打っていてくれ。」 Aが頷くのを見ると、今度は私の方を見て園長は続けた。 「誠、いいか……」 如何にファイヤードリフトの設定看破は比較的簡単というのが世間の評価であっても、私達がこのファイヤードリフトを打つのは今日が初めて。 初打ちな上に朝一の短い時間だけで、簡単に精度100%の判別ができる訳などないと園長は言う。 「そこまで甘くねーんだよ。スロットは。」 そう言うと園長は軽く笑って、私の胸を右手の拳で軽く突いた。 結局、この日デルタ地帯を3店舗回って設定6と思しき台に着席できたのは、7枚交換の「パチスロZ」だけであった。 Aが観察した挙動、園長の確認したデータ、そして、21時に刺された設定公開の札から推測するに、「パーラーK」のファイヤードリフトの設定6は、朝一に園長が打っていた台と他2台。 「XXX屋」の設定6も、BIGボーナス中のハズレを確認した台とは別の台で、私達が「XXX屋」に入った時には空き台だった台が設定6であった事が分かった。 あの園長が、世間では判別しやすいと言われるファイヤードリフトの設定6を判別できずに捨ててしまった。 園長を盲信する私には信じられない出来事であったが、園長は「そんな事だってある」と笑っていた。 そんなに甘くはない…… 言われてみれば確かにその通りであった。 <ファイヤードリフトを打ち続け> 1週間……、2週間……。 私達はファイヤードリフトだけを打ち続けた。 朝一の押し引きの判断基準をどこに設定するか。 チェリーは何回まで様子を見るのか。 BIGボーナス中のハズレはどれだけサンプルを取って、どの位の数字であれば続行するのか。 そんな議論を、夜遅くまでファミレスのテーブルで積み重ねた。 打てば打つほど、押し引きの判断基準は変わっていく。 いや、進化していくと言った方が適切だろう。 日に日に設定6を終日打ち切る頻度は高まっていき、「パーラーK」でも、「XXX屋」でも、そして「パチスロZ」でも、といった具合に、3店舗全てで設定6を掴める日も珍しくはなくなっていった。 打てば打つほど判別の精度は上がっていく。 最終的には、私達はわずかな時間で3店舗を回り、95%近い正解率で設定6か否かの判別ができるようになっていた。 「これぞ、攻略。」 まさにそう思えた経験であったし、喰えるという確かな手応えを実感した瞬間でもあった。 そして…… <その後> その後、私達は1ヶ月に渡ってデルタ地帯でファイヤードリフトを打ち続けた。 自分達で作り上げたルーチンに従い判別を行い、設定6だと思えば終日打ち切る。 判で押したような立ち回りに退屈さを覚える事もないではなかったが、それを吹き飛ばすのに十分なだけの結果が目の前に積み重ねられていた。 おそらく、この期間は、私のパチスロ収支の中で最も時給の高い期間であったと思う。 全ては、設定を使い続けてくれた店側のおかげという見方もあるが、それでも私にとっては自分達の力で攻略したという実感の方が大きかった。 「この時間が永遠に続けば……」 夜中ベッドに横たわりながら、預金通帳を広げて妄想する。 今思えば、この時間が長くは続かなかった事で結果的に社会人になれたのだが、あの時は本気でこう考えるくらいに勝っていた。 「パチスロで一生食べていけるんじゃ……」 だが…… <そして、終わりを迎え> 永遠にも思えた常勝の立ち回りはある日、突然設定状況が変わり、終わりを迎えた。 デルタ地帯では設定が入らなくなったものの、しばらくの間は他の地域やイベントでファイヤードリフトを狙う事もできた。 とはいえ、それも束の間。 いつからかファイヤードリフトの設定6を見かける事はなくなり、そして台そのものが撤去されていった。 1ヶ月間打ちこんだという経験値があったからだろう。 私達のファイヤードリフトの勝率は歴代の機種を並べて見ても群を抜いて高かった。 打ち続けている間は、やれ飽きただの、やれ退屈だ、と贅沢を言うものの、無くなってしまえばやっぱり名残惜しいし、収支の面でもダメージを受ける。 いつの間にか収支も勝率も平常運転に戻り、私達は常勝の手立てを失っていた。 「そんな事だってある。」 ショックを受ける私に、園長はあの日と同じ笑顔で言った。 その事が、私達は皆いつかは変化を迎えるのだという事、我々はその変化を受け入れ新たな旅に出なければならない、それがスロットでお金を稼ぐ者の宿命であり、それを楽しみだと思える者だけが、この世界で生きていけるのだという事を物語っているように私には思えた。 自分にもそう思える日が来るのだろうか? その問いに答えの出せなかった私は、いつの間にか大学の卒業を迎え、就職していた。 <数年後> 「誠、最も勝ちやすい機種ってどんな機種だと思う?」 ある時、園長はふと呟いた。 カイジや南国育ち、5号機で言えばキン肉マン等、設定6が丸分かりと言われていた機種たちが私の頭に浮かんだが、園長の答えはそんなものではなかった。 「俺は、あの時のファイヤードリフトだったと思うんだ。」 園長のタバコを吸う仕草は、あの日「パーラーK」に並んでいた時から少しも変わっていなかった。 どんなに設定判別が容易な機種でも、設定6を打った事がなければ、ファイヤードリフトの初日のように精度の高い判別はできないだろう。 逆に、設定判別の難しい機種であっても、設定6を打ったことがあれば、その雰囲気は分かるんじゃないかと園長は言う。 チェリーが高確につながるのか、小役の確率がどのように推移するのか、ボーナスの合算がどのくらいの数字になるのか…… 設定6を打てば打つほど、それらが経験値として蓄積されて、より短時間でより精度の高い設定判別ができるようになる。 「勝ちやすい機種っていうのは、そういう機種の事を言うんじゃないかと俺は思うんだ。」 灰皿に置かれたタバコが灰へと変わっていく。 その灰になった部分の長さが、園長がゆっくりと時間をかけて語った事を表していた。 打てば打つほど経験値が増えて、設定判別が容易になる。 設定判別が容易になればなるほど勝率が上がって、それが収支につながってくる。 勝ちやすい機種なのか否かは、台の特性によって先天的に決まる訳ではない。 勝ちやすい機種を見つけるというのは得意機種を作るという事であり、それは言うまでもなく、如何にその台を打ち込んだかの賜物でしかないのである。 「誠もそうは思わないか?」 あの時答えられなかった問に、今なら答える事ができる。 未だに多くの人が「絆」を打ち続けるのはどうしてだろうか? 原作が好き? システムが面白い? それだけではないのではないか。 人気もあって、設置台数も多い「絆」は、高設定の使用頻度も高かった。 かなりのゲーム数を打ちこんだという方も多いだろうし、高設定を何度も打った事があるという方も数多くいらっしゃるであろう。 その経験値こそが、「絆の設定6は分かりやすい」というイメージを産み出し、今日に至っているのだと私は思う。 園長の言葉の正しさは、今日のスロッター達の行動が証明してくれている。 10年パチスロを打ち続け、数々の高設定台と、そして得意機種と出会ってきた今だからこそ、答える事ができる。 「最も勝ちやすい機種、それは自分が最も高設定台を打ち込んだ得意機種の事なんだ」と。 〜FIN〜 【 6の付く日はお先に失礼します 】 メニューへ
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