let's go everybody♪ ボーナス図柄を揃えると、いつもの陽気でイケイケな感じの歌が流れ始めます。 本来であれば、スロッターにとって最も上がる瞬間であろうこの瞬間も、私にとってはいささか食傷気味。 テンションMAXのこの曲を、疎ましくすら感じます。 突然ブラックな口調で始まった今週の「6付く」に、読者の皆様も戸惑われている事かと思いますが、それもそのはず。 これは、その昔、誠がおよそ1ヶ月に渡り、延々と同じ機種を打ち続けていた時の話でございます。 もちろん最初は楽しかったし、嬉しかった。 高設定台に座って出玉を積み上げるという事と楽しいという事がイコールでした。 しかし、1ヶ月もそれを続けると…… これは、私が「最も勝ちやすい機種」とはどんな機種なのかというのを実感した時のエピソードになります。 常勝とは作業に徹する事なのか、そこにはもう悦びも何もない世界が広がっているのでしょうか? <始まりの一日> 「僕に騙されたと思って、ついてきて下さいよ!」 メンバーの一人が、そう言って我々を連れてきたのは都内の某駅。 朝8:30、駅の改札に集合した4人のメンバーの先頭に立って、彼は意気揚々と歩き出した。 まだ9時前。 駅前商店街のアーケードをくぐると、そこにあるほとんどの店舗のシャッターは閉じられたままである。 まだ目覚めていないその通りを、一筋の風が通り抜ける。 心地良い朝の空気の中で、駅に向かう人達とすれ違いながら歩く事5分。 閉じられたシャッターの中の1つ、見上げると「パーラーK」と書かれたシャッターの前で彼は立ち止った。 今はなかなかお目にかかる事のなくなった古めかしい3色のネオンに、私は若干の不安を覚えた。 経験上、このような店舗に高設定台がある事は少なく、たいていの場合、このような店舗では閑古鳥が鳴いていたからだ。 開店を待つ間に、この日の狙い台を確認する。 彼が口にしたのは、新装からまだ間もないファイヤードリフトという機種だった。 ファイヤードリフトは通常時、チェリーからのミッション高確率状態移行率とBIG中の小役確率に大きな設定差があり、設定判別は比較的容易な部類の機種。 彼が言うには、そのファイヤードリフトに毎日設定6が3台ほど使われているという事らしい。 「パーラーK」は等価交換で、ファイヤードリフトは全部で10台。 1/3の確率ならば悪くないように思えるが、この時はまだ1ヶ月もこの機種を打ち続ける事になるほど美味しい情報だとは思っていなかった。 10時になり、シャッターが開く。 初見のその店舗から流れてきたBGMは、サブちゃんの「まつり」。 今であれば「お見事サブちゃん」推しだったのかと思うかもしれないが、「ファイヤードリフト」が導入されたのは「お見事サブちゃん」が導入される1年くらい前で、この時はまだサブちゃんはパチスロ界には進出していなかったように記憶している。 私達は4台並びでファイヤードリフトに着席した。 設定判別のポイントであるチェリーからのミッション高確率状態移行率を確認しようとすると、ほどなくして私の台でチェリーが揃う。 3G……5G……10G……。 しばらく回してみるも、高確らしき挙動は無し。 念の為、もう1度チェリーが揃うまで回してみるが、やはり高確らしき挙動は無し。 「私の台は違う……」 同様に、園長の台も違うし、この店を紹介してくれた彼の台も違うという事が分かる。 朝一で設定6の挙動を示したのは、もう一人のメンバーAの台と、別の客が座った2台の計3台。 事前の情報通りではあったが、結局、この日私達がGETできた設定6は1台だけ。 4人のうち1人というと、日当が出るか出ないかギリギリのラインで、期待値的には1人頭、1万そこそこのプラスとなる計算であった。 「う〜ん……」 意気消沈とまではいかないまでも、やや不満の残る金額。 わざわざ、遠征するほどの価値があるのかどうかと疑問を持ちはじめたところに彼がやってきて、園長と私を店外に連れ出す。 「この店の設定6は1台しか取れなかったので、次の店にいきましょう。」 ここからが、私達がこの地域に1ヶ月もの間通い続ける事になる「ファイヤードリフト デルタ地帯」の本領発揮だった。 <謎のファイヤードリフト デルタ地帯> メンバーAを「パーラーK」に残し、我々は3人で300mほど離れたところにあるホーム「XXX屋 本店」に移動。 日が昇り、歩くとやや汗ばむ陽気の中で、私は「パーラーK」のBGMに釣られてサブちゃんの「与作」を口ずさむ。 XXX屋の自動ドアが開くと、パチンコ店特有の効き過ぎたエアコンによる冷たい風が我々を出迎えてくれる。 中に入ると、XXX屋の店内には、昼前のこの時間帯になっても朝一状態の台が数多く残されていた。 6枚交換のせいなのか、「パーラーK」ほどの稼働はなく、店内を見渡しても客はまばら。 典型的なボッタ店の雰囲気だった。 だが、彼が言うにはこの店の4台しかないファイヤードリフトにだけは、なぜか毎日1台設定6が入るということだ。 不思議……、というよりも不信。 それが私の第一印象だったが、彼の自信に溢れた表情を見ると一概に嘘だとも思えない。 半信半疑でファイヤードリフトのシマを眺めると、ちょうどBIGボーナスを消化していた台があったので、ハズレの出現率を数えてみる。 「1回……2回!?」 低設定であればおよそ5Gに1回、設定6であればおよそ10Gに1回しか出現しないBIGボーナス中のハズレが、25Gのボーナスゲーム中に2回しか出現しなかったのだ。 「今日の設定6はあの台かもしれないな。 一旦、見(ケン)に回って様子を見よう。」 園長の言葉に従い、しばらくその台を観察すると、確かにBIGボーナス中のハズレ確率は設定6の近似値。 サンプルは少ないものの、設定6候補が確かに存在する事を確認したところで、この店を後にする。 「たまたま今日はピンポイントに座られちゃってましたけど、狙いはまだあるんで。」 そう言って彼は、XXX屋からさらに500mほど歩いた、この日3軒目のホールとなる「パチスロZ」に私達を案内する。 「パチスロZ」は7枚交換で貯玉は不可だが、台移動と出玉の共有は自由。 7枚交換である事から、高設定も多く投入されていたが、台移動自由な為か高設定挙動であっても連チャンゾーンだけ回して別の台へと移動してしまう客が多いのも特徴であった。 データを確認しようとして、台の上にあるデータ機器の方へと目線をやる。 すると6台に1台程度、ランプの色の違う台がある事に気付いた。 「この店のランプ台の信頼度は1/2で、最高設定って感じです。」 彼の言葉を聞いて改めて見てみると、新台のファイヤードリフトのシマだけ、ランプの色の違う台が他の機種よりも多くあり、そのうち2台はなんと空き台になっている。 データを確認した園長の指示で、そのうちの1台を私が打つ事に。 打ち始めてからしばらくの間は、ボーナスどころかチェリーすら引けずに投資が嵩んだものの、チェリーを引いてからは高確→ミッション成功→ボーナス→高確→ミッション成功→ボーナスと理想的な展開が続いた。 3回BIGボーナスを引いて、BIGボーナス中のハズレは6回/71G。 チェリーからの高確移行率も1/1で、出だしの数字としては共に設定6の数字以上。 「パーラーKで打った時とは手応えが全然違う。 これがファイヤードリフトの設定6か。」 初めて打つ新台に設定6の手応えを感じ、私のテンションも徐々に高まっていく。 「設定6を掴んだ!」 そう感じる瞬間が、私にとって最も「パチスロを攻略している」と感じる瞬間なのは今も昔も変わらない。 この後、この店を紹介してくれた彼と園長も、良さげな履歴で空き台となったファイヤードリフトのランプ台を打ち始め、17時には3人が3人とも高設定挙動を示し、ドル箱を使用する展開になった。 「順風満帆♪」 朝一は、設定6を掴んだ時に最も利益の大きい等価交換の「パーラーK」を狙い、そこがダメでも「XXX屋」、「パチスロZ」と昼過ぎからでも狙えるホールが保険になる。 この設定配分が毎日続くのであれば、3つの店舗のどこかしらで設定6にありつける公算は高く、十二分に日当を稼げる計算が立つ。 私が、しばらくはこの「ファイヤードリフト デルタ地帯」でやっていけそうだと思った矢先、なんと「パーラーK」で設定6を打っていたはずのAが私の目の前に現れた。 〜続く〜 【 6の付く日はお先に失礼します 】 メニューへ
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