(前編のあらすじ) 園長不在の中、「本日から日曜日までの7日間で全ての台に1回以上設定6を投入します!」というイベントに挑む私達。 設定6看破の容易なカイジを狙い稼働するも、3日目を終えてカイジには一切設定6が入らない。 15万の負債を抱え、立ち回りに苦悩する私の元に園長からの電話が入る。 ブルルッ、ブルルッ 枕元の携帯がバイブする。 私は、液晶に表示された園長の名前を見て飛び起きた。 「おぅ、お疲れさん。 なかなか上手い事いってないらしいな。」 私が電話に出ると開口一番、園長はそう切り出した。 他のメンバーからこれまでの状況は既に聞いているとのことだった。 「それで、明日はどうするつもりなんだ?」 園長の問いに私は、明日もカイジを狙うつもりだと答える。 それでなくては、今日までに投資した15万が無駄になってしまうからだ。 「15万は大金だ。 だから、それを無駄にしたくないという誠の気持ちも分かる。」 そう前置きしたところで一呼吸入れると、園長はやや語気を強めて続けた。 「だが、人生において一番大切なのは、間違いに気付いた時それを認めて方向転換する事なんだぞ。」 私はまだ、園長の言わんとするところを理解できずにいた。 「人は間違った道を進んでしまったとしても、大抵は手遅れになる前にその事に気付く。 だが、そこで引き返すという決断ができる人間は意外と少ない……」 3日間カイジに設定6は入らなかった。 そのカイジを明日も狙い続ける事が正解なのかどうか。 疑問を持ち始めていた事は確かだった。 「ここで引き返したら、今まで進んだ道のりが無駄になる。 そう思うから人は、もう少し進めば正しい道に出るかもしれないと自分を騙して進み続ける。 だが、間違った道を進み続けたところで正しい道に出る事は決してない。 そうしているうちにもう戻れないところまで来てしまうんだ。」 園長は、今日までに費やした3日間と15万は諦めろ、そして手遅れになる前に方向転換しろ、と言っているのだ。 頭ではそう理解をしても、15万という金額はまだ学生の私にとっては簡単に割り切れる金額ではなかった。 しばらくの沈黙の後、私は園長にこう尋ねた。 「なぜ明日カイジを狙ってはいけないのですか?」 3日目まで一切設定6が入らなかったのである。 明日も入らないかもしれない。 少しでもその可能性が頭をよぎるのであれば、違う道も視野に入れるべきである。 この事は、今まで何度も園長に教わってきたはずであったが、心がその答えを聞かずにはいられなかった。 「ここまで徹底して設定6が入らないのであれば、ホール側に何らかの意図があると考えるべきだろう。 例えば……」 園長は、カイジのように設定6が明白な機種であれば、ホール側は人が最も集まる土日に全6シマとして派手に使いたいと考える可能性や、普段は並ばない私達軍団メンバーが朝早くから並ぶ事でホール側からマークされている可能性を指摘した。 どちらの可能性も、あり得ないと否定する事はできなかった。 園長の話を聞き終えて黙り込む私。 カチッ、カチッと1秒ずつ枕元の目覚まし時計が時を刻むその音だけが鳴り響く。 そんな私が次の言葉を発するのを待ちかねてか、遂に園長は明日の事を切り出した。 「明日はジャグラーを狙え。 今日のうちからデータを取っておけば、まだリカバリーできるから。」 既に毎日稼働があって、まだ設定6が入っていないジャグラーをピックアップするよう、現地にいるメンバーに指示しておいたと園長は付け加えた。 あのホールのデータ機器では、当日・前日・前々日までしかボーナス回数を確認できない。 イベント初日のデータが確認できるのは今日までであり、ジャグラー狙いに切り替えるのであれば、ここがタイムリミットだった。 「他のメンバーとも話がしたいから。」 そう言い残して、園長は電話を切った。 切られた電話の液晶に表示された通話終了の文字を漠然と眺め、園長の言葉を振り返る。 このままカイジを最終日まで打ち続けていれば、いつかは設定6が入るはず。 その日はきっと明日に違いない。 明日こそは…… そんな思いを完全に断ち切れた訳ではなかった。 うつ伏せになって枕に顔を押し付け、私は足をバタバタと動かした。 「大切なのは、間違いに気付いた時それを認めて方向転換する事。」 大切なのは、より勝算のある台で勝負をする事であって、カイジの設定6に座る事ではない。 今日まではカイジこそが最も勝算のある台だと思って稼働をしてきただけで、その前提が変わったのであれば、これ以上カイジに座り続ける必要はない。 それこそが方向転換する勇気なのだ。 園長の言葉を何度も何度も反芻し、その結論に至ったのが先か後かはわからない。 いつの間にか私は、着替えもせずに眠りに落ちていた。 〜翌日〜 この日、私は誰よりも早くホールに着いた。 その私を、ビルの隙間から顔を出した太陽が照らし出す。 今日も暑くなりそうだ。 「今日はジャグラーを打った方が良いと思うんだけど……」 次に現れたメンバーは、私の顔を見るなりそう告げた。 3人目も4人目も……8人目のメンバーも、それに異を唱える者はいなかった。 前日までにピックアップした狙い台は全部で15台。 イベントが残り4日間である事を考えると、1日あたり4台弱設定6が入る計算になる。 設定看破の容易さという利点はあるものの、カイジは同じ計算をした時に1日あたり設定6は2台の計算。 しかも、当時のゴージャグの機械割はフル攻略で116%。 111%のカイジと比べてどちらが優秀かは火を見るより明らかであった。 「なぜ、昨日までカイジに拘っていたのだろうか?」 そんな事を考えながら、開店時間を迎える。 私達は、カイジのシマに向かう曲がり角を通り過ぎ、ホールの1番奥にあるゴージャグのシマへと向かった。 追随してくる客はほとんどいない。 余裕をもって下皿にライターを置くと、今日こそはという思いでサンドに千円札を投入する。 そして、レバーを叩く…… 「当店はまもなく、午後10時45分のお時間を持ちまして閉店とさせて頂きます。」 この日初めて、私はこのホールでこのアナウンスを聞いた。 それは、この日初めて、私達が推定設定6と思える台に辿り着けた事を意味していた。 結局この日、私達は3台のゴージャグの推定設定6を終日打ち切り、10万円ほどの負債の回収に成功した。 換金所を出て、近くのファミレスに入ると、私達はその日の戦果をテーブルの上に並べ、8等分に分配した。 当時まださほど目押しに慣れていなかった私も、リプレイ外しをノーミスで終日打ち切った充実感に酔いしれていたのであろう。 普段であれば1番安い目玉焼きハンバーグを注文するのであるが、この日だけはサイコロステーキを注文した事を覚えている。 残る3日間、私達はカイジとジャグラーに半分ずつ人を割り当てて稼働した。 いずれかの機種に拘る事なく立ち回ったのが功を奏したのか、いつの間にか収支はプラスに転じ、それが最終日には7日間トータルで見ても十分な日当と言えるまでに至っていた。 もちろん、その裏に園長のアドバイスがあった事は言うまでもないが、それでも駆け出しの私にとっては大きな自信につながる出来事であった。 「大切なのは、間違いに気付いた時それを認めて方向転換する事。」 人間関係で言えば、友人と喧嘩をしてしまったとしても、自分が悪かったと気が付いた時に意地を張らずに謝れば、たいてい仲直りできる。 それが、手遅れにならない為にする方向転換だ。 株や為替の世界には、損切りという技術がある。 自分の買った株の価値が下がっている時に、損を承知で購入した時の価格よりも安い価格で株を手放す事だ。 この方向転換ができないと、明日にはきっと値上がりするかもしれない、明後日こそはきっと、と株を持ち続けてしまう。 そして、そのうちにいつの間にか会社は倒産してしまい、回収不能な負債だけが手元に残ってしまう…… 競馬で負け続けると、どんどん賭ける金額が大きくなってしまう人。 出るまで低設定台で粘り続けてしまうスロッター。 皆、間違いに気が付いた時に、そこまでに費やしてきたものを投げ捨ててでも方向転換する事が必要なのは同じである。 先日、とある年一の激熱イベントの時の事。 並び順で入場のホールで、前日の閉店時から徹夜をして先頭に並んでいたお兄さんがいた。 お兄さんは、イベント時にはかなりの高確率で設定6が入るバジリスク絆の角台に座った。 そして、その台を終日打ち切った。 その時のスランプグラフがこちらである。 見れば、携帯でカチカチアプリを使い、設定判別をしているようであったし、見た目も若く上手そうなスロッターであった。 お兄さんほどのスロッターであれば、途中でこの台が高設定ではない事くらい容易に判別できたのではないだろうか。 にも関わらず、マイナス7,000枚に手が届きそうになるまで、お兄さんをこの台に引き留めたものは何だったのであろうか? 「徹夜をしてまで取った台なのだから……」 「もう少し回したら爆発するかもしれない……」 そんな発想がお兄さんにあったかどうかは分からない。 現実にあるのは、その絆が10万円以上のお金を飲み込んだというスランプグラフだけである。 徹夜までしたという苦労に拘らず、方向転換できていたら……。 低設定だから離席するという、普段なら当たり前の行動ができていたら……。 いまさらながらにそんな事を考え、10年も前の園長の言葉を思い出す私が、徹夜をしたお兄さんなのかどうかは皆様のご想像にお任せしよう。 【 6の付く日はお先に失礼します 】 メニューへ
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