200X年X月X日月曜日、朝の京浜東北線。 この時、まだ大学生だった私は、朝の満員電車に満ちる月曜日独特の負のオーラに気が付いてはいなかった。 それもそのはず。 私にとってこの日は、1週間の長く辛い戦いの始まりではなく、7日間の酒池肉林の宴の始まりであったからである。 「本日から日曜日までの7日間で、全ての台に1回以上設定6を投入します!」 これが、今から向かうホールのイベント内容。 このイベントは設定発表こそないものの、内容がガチである事は昨年の同じイベントの際に既に確認済である。 初日こそ「1/7の確率で設定6」というやや割の低い戦いになるが、前日までの設定6の所在を確実に把握できさえすれば、翌日以降は1/6、1/5と日に日に確率が高まる計算になる。 そして、最終日には……。 前日までの6日間で一度も設定6の入らなかった台は100%、設定6になる計算であり、私達はお祭り騒ぎになる事を期待せずにはいられなかった。 しかし、それもこれも毎日設定6の所在を確実に把握できればの話。 設定発表を行なってしまうと、日に日に設定6の所在が限られてしまう為、ホール側もイベント期間中設定発表は一切行わない。 あくまで、自分達の目で設定6を見極める必要があるという訳だ。 無論、園長の神眼をもってすれば、稼働のあった台についてはそれなりの確率で設定6か否か判断する事は可能である。 通常であれば、その神眼のおかげで当たり前のように高設定を掴む事ができるのだが、これからの1週間は少し事情が違う。 園長は家庭の事情で実家に帰省しており、このイベントには一切参戦する事はできないからである。 とはいえ、私達も園長と共に多くの時間をパチスロに費やしていた訳で……。 駆け出しの私も多少の知識を身に付けて、これだけ条件の揃ったホールであれば、園長の力を借りずとも自分達の力で勝ちきってやると意気込んでいた。 生兵法という言葉の意味も、神眼の極意も、この時は何も知らないままで…… 混雑する電車の中でなんとか居心地の良いドア付近を確保し、赤羽駅を後にする。 本来、大学に向かうのであればこの赤羽駅で埼京線に乗り換えなければならないのだが、そんな事は頭の片隅にもない。 この日、どのように立ち回るか、そのシミュレーションに私の頭の全容量が割り振られていた。 回胴黙示録カイジ。 これが、私達軍団のメンバーが全員一致で選んだ本日の狙い機種である。 では、なぜこの機種を選んだか? 4号機のカイジには、ある特徴があったからだ。 カイジの設定6は300G以上ハマらない。 当時のスロッターなら誰もが知っていた事である。 設定判別が早く、設定6は明確に設定6の挙動を示す。 今回のようなイベントにはうってつけの機種であり、座れさえすれば勝利は鉄板よりも固く約束されたもののように思えた。 だからこそ、まだ眠い目をこすりこすり、満員の京浜東北線に乗り込み、ホールを目指すのだ。 人混みをかき分け改札を出ると、明るい陽射しが街路樹の隙間から私を照らす。 これが木漏れ日というやつか。 道路沿いに植えられたその街路樹の影を伝って、足早にホールへと歩を進める事10分。 ホールに着く頃には、私はすっかり汗だくになっていた。 この日、ホールに集まった軍団メンバーは8人。 ホールに導入されているカイジの台数も8台。 もちろん、全台キープするつもりで人数を揃えての参戦だ。 入場口の付近にはまだ並びの列はない。 平日でイベント初日という事もあってか、開店2時間前から並んでいるのは私達だけだった。 2時間後。 結局、その列が伸びだしたのは開店30分前を過ぎた頃からだっただろうか。 開店5分前には50人強のスロッターがこのホールに集まり、私達はその先頭で開店時間を待った。 「走らずにお一人ずつお願いします」 その声を聞くなり、小走りにカイジのシマへと向かう7人。 一人ずつ入店させるホールの場合は、殿(しんがり)になる8人目がわざと少し間を開けて入店する事で、先に入った7人が9番目以降の客に追い抜かれるのを防ぐ。 そんな事をしなくとも並び順に台を選択できるのが理想なのだが、こちらが綺麗事を並べても相手はお構いなしだ。 故に、これも朝一に狙い台を確実にキープする為の自衛手段として、必要があって編み出されたテクニックの一つであった。 そうして無事に8台のカイジを確保した私達は、設定6を意識したブン回し体制でゲーム数を消化していく。 幸い、カイジはボーナスを揃える時以外は一切の目押しが不要。 機械割は111.1%とやや低めだが、ゲーム数を稼ぎやすいのも魅力の一つであった。 カイジの設定6は、およそ98%の確率で前兆込み292G以内にボーナスが引ける。 私達は292Gを超える台を消去法で1台ずつ外していった。 すると…… 燦々と照りつける太陽の下、立っているだけでも暑くなるようなホール外とは逆に、ややもすると上着がなくては肌寒いくらいにエアコンの効いた快適なホールの一角で、私達は正午を迎えた。 朝一は292G以内でボーナスを引けた台も、1台、また1台と292Gを超えてしまい、気が付けば292Gを超えていない台は残り1台になっていた。 カイジは全部で8台で、イベントは全部で7日間。 となれば、1日1台の配分になる訳だから、この日は最後に残ったこの台が設定6なのだと誰もが思い込んでいた。 そんな時、280G台で発展した限定ジャンケン演出。 「信じるべきはオレの力」 これは弱い方の演出。 「明白なんだよ、オレにはオマエのカードがわかる」の台詞がチャンスアップなのだが、そんな事は関係ない。 この日は最後に残ったこの1台が設定6で、設定6なら98%当たるはずなのだから。 そんな思いを胸に、演出をキャンセルしてレバーを叩く。 だが、そこに表示されたのはボーナス確定画面ではなく、通常画面であった。 私達は最後の1台のカイジも諦め、この日は解散した。 「やっぱりカイジに設定6は入っていなかった」 その日の夜、私達が解散した後もホールに残り、別の機種で設定6を狙った者からのメールが届く。 私はそれを自宅のベッドの上で受け取った。 そして…… 翌日もその翌日も、私達は同じルーチンで稼働を続けた。 だが、結果は初日と変わる事はなかった。 私達は3日目を終えて15万、一人頭で2万弱の負債を抱えていた。 「やっぱりカイジに設定6は入っていなかった」 3日目の夜も、自宅のベッドで初日と同じメールを受け取る。 そのメールを確認した私は、携帯電話を閉じて、それを無造作に枕元に放る。 「何かが間違っているのだろうか?」 ベッドの上で天井を睨み、問い掛ける。 他の機種には設定6と思しき挙動の台も数多確認されているというのに、私達の座るカイジにだけはそれがない。 「イベント自体がガセなのか?」 「いや、他の機種には設定6が入っているのだから、そんな事はない」 2つの思いが何度も何度も頭をよぎるが、堂々巡りで一向に正解には辿り着けない。 だが、ここまでの3日間をカイジに費やしてきたのだから、意地でも設定6が入るまで打ち続けるべきだ。 イベント期間中設定6が使われていない台は、日に日に設定6が入る確率は高まっていくのだから、それが正解のはずだ。 軍団のメンバーは心の奥底では皆そう考えていた。 その時…… ブルルッ、ブルルッ 私に、ギャンブルを続ける上で最も大切な事を教えてくれた電話が鳴った。 〜〜〜後編に続く〜〜〜 【 6の付く日はお先に失礼します 】 メニューへ
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