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韓国トラベル -後編- [2014/5/31(土)]

【前回までのあらすじ】
社員ら9人で行った2泊3日の韓国旅行。
退職のため金を稼ごうと目論んだ俺は、マーチンゲール法でカジノのルーレットに挑む。

初めて席に着いた時、スコアボードの履歴には3連続の赤。
俺は迷わず黒に1万ウォンを賭ける。

いよいよ始まったのだ。
俺のお金剥ぎ取りチャレンジが☆


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今までパチンコなどでは目に見えなかった1/2という抽選結果。
それが初めて目の前で可視化される。

ルーレットの赤と黒は交互に並べられているため、完全に不偏な抽選機。
言わば、目に見える乱数だ。

しかも、当たれば2倍という適正倍率。

ギャンブルの還元率は世界最低といわれる日本から来た俺には、このルーレットがとてもフェアに感じていた。
今夜の俺は、絶望的な気持ちでサンドに金をぶちこむいつもの俺じゃないのだ。


いよいよ記念すべき1投目が投げられる。

クルクルと回るこのお馴染みの回転盤は「ホイール」と呼ばれるものだ。
ホイールは、ゲームがない間も常に回転している。

ディーラーが指先でボールを勢いよく弾いた。
ボールは強い遠心力でホイールの端を走り始める。

ディーラーの投球時のフォームは決まっていて、ホイールを見ずに回転と反対方向へ思い切り指で弾く。
そして投球後も、一定の時間内なら新たにベットすることも変更することもできる。
知らせのベルが鳴るまではフリータイムなのだ。

10秒を過ぎたくらいでチンッとベルが鳴り、ディーラーが「ノーモアベーット」と手をかざし、賭けのストップを知らせた。

そして勢いがなくなったボールは無作為に跳ね転がり、運命のポケットへ飛び込む。

カラカラカラ...

コロン...

黒。
俺の勝ちだ!

たった1,400円の勝ちだがうれしかった。
金額云々ではなく、「当たった」ということに意義があるのだ。

ディーラーが俺のチップの隣に1万ウォンをスッと滑らせてきた。
手数料などはないようだ。


これだよ・・・この感触だ。
俺はこういうフェアな勝負がしたかったんだ。
アレを引いてコレを引いて、さらにその間にアレを引けば勝てる…みたいな、いつもの艱難辛苦なギャンブルじゃない。
これこそ俺の求めていたものだ!


無表情のまま心で正拳突きを放っていると、ディーラーがハズレたチップを回収し始めた。

それにしてもすごい量だ。
一体いくらあるのだろう。

そしてこのディーラー...。
男の俺でもうっとりしてしまうほどの美男子だ。
韓国カジノのディーラーは超エリートだと聞いていたが、本当に見とれてしまうほどの凛々しさなのだ。

見た目まだ20代前半だが、紳士的な黒髪に知性的な顔、加えてモデルのようなスタイリッシュなルックス。
そして何かを達観しているような鋭い眼光。
一つ一つの仕草には高い気品を感じ、チップを触る滑らかな指先は、マジシャンのそれに似ていて美しい。
そして複雑なチップの計算も瞬時にしていて頭もいい。

このハイスペックな男に、一晩中チップを運んでもらうのはとても気分がよさそうだ。


さて。
俺はここからどっちに賭けていくか。

現在のスコアボードには10対5くらいで赤が多く出ている。
バランスを考えるなら黒だ。

よし、黒だ。
黒に賭けていこう。
ここからは黒が押してきそうだ。


俺は黒に3万ウォンを置いた。
日本円で約4,300円。
このくらいで賭けていくのがちょうどいい。

ここまで見たところ、ボールは約6分に一回投球されている。
確率通り2回に1回勝てるとすれば、1時間で約2万円。
6時間やれば12万円。
明日さらに賭け金を上げれば、2日で30万以上勝てることになる。
しかもハードルは低い。
必ず持って帰ってやる。


1投目。
ボールが弾かれた。

カラカラカラ…

コロン…

しかし入ったのは赤。


・・・なるほどなるほど。
いよいよマーチンゲールの登場となるわけだ。
いいだろう。

初めての倍賭け。
6万ウォン。
逆にワクワクだ。


2投目。

カラカラカラ…

コロン…

赤。


ふーん。
結構続くもんだな。


次は12万ウォンになる。
12万とかいうとインパクトがあるが、実質約1万7千円だ。

ただ・・・

見たところ今まで10万ウォンを越えて賭けている客がいない。
ミニマムベットがあるということは、マックスベットもあるということだ。
10万ウォンは大丈夫なのか?
っていうか、賭けれないと取り戻せない。
外国人しか入れないくらいだから、リミットも高めに設定されてると思うのだが・・・。

今あるチップがちょうど12万ウォンくらいだったので、俺は全て黒に置いた。
その時周りにいた客から注目を浴びてしまい、ざわざわ…みたいな雰囲気になる。
やはり10万越えは珍しかったのか。

そして気になるディーラーは・・・

何も言ってこない。
どうやらリミットではないようだ。


いいぞ、勝負だ。
今は赤に偏りすぎている。
もう黒が出なけりゃおかしい。
次は絶対黒が来る。

それに、いくら倍賭けは負けないといっても、せめて3回目くらいでは当たってほしい。
ここで当たってくれないとまた両替になるし、大金を賭けて注目されるのも好きじゃない。
ここはきっちりと取っておきたいところだ。


小さな山場を迎え、俺は若干緊張していた。

するとその時・・・

「男の子ですねえ…」

突然左から声が聞こえた。
しかも日本語だ。

俺はびっくりして振り向いた。
するとそこには、眼鏡をかけた紳士的なおじさんが俺を見ながらニコニコしていた。
50代半ばくらいの人だ。

気づかなかった。
隣の客は日本人だったのか。

「いやぁ、取り戻したいですからね!」

俺は笑顔で答えた。

その人はとてもおっとりした感じの人で、隣には友人らしき日本人の男性もいた。
仕事で韓国に来ているらしい。

ただ、その二人はただならぬ関係のようなのだ。
禁断の愛というか、その世界に生きる属性の人達だったのである。

50代の男同士が、カジノでイチャイチャしている。
しかも俺の隣で。
ホテルに帰ってからすればいいのに・・・。

まあいい。 そんなことよりルーレットだ。

第3投目が弾かれた。


黒、黒ッ。
黒に入れ!


スコアボードに赤が多く出ているのを見て、俺は少しイラついていた。

するとまた・・・

「ルーレットはね、同じ色が続き出したら、ずっと同じ色が続くんだよ。」

おじさんが話しかけてきた。


は?
なに言ってんだこの人w
逆だろ?
赤が多くなってるから黒に賭けるんだよ。
過去の統計だって1対1だろ? よく見ろじじい。
そもそもマーチンゲールやってんのも見りゃわかんだろ。
何連敗しようが関係ないんだよ! 俺には!


変な突っ込みに心で毒づいていた矢先、運命のボールが落ちる。

カラカラカラ……

コロン…


黒。


黒、黒だ!

ほらみろ。
よく見ろじじい!
なにが「続くんだよ」だ。
1/2なんてのはすぐに収束するんだよ。
こちとら確率論と必勝法の2段重ねでやってんだ。
遊びでやってんじゃねえんだよ。


勝負に水を指してきたじじいに心で説教。

ここで約24万ウォンが返ってくる。
何連敗していようが一回の勝ちでチャラになる。
やはりマーチンゲールは完璧な必勝法だ。


あれ・・・?

まてよ・・・?

24万ウォン??


ここで初めて根本的に勘違いしていたことに気づく。

俺は今まで、回を増すごとに勝ち金も倍に増えていってると思い込んでいたのだ。
相殺すると、この勝ちで浮いた金は3万ウォン。
つまり一番最初に賭けた金額だ。

実はこれは、旅行前からずっと勘違いしていたのである。
倍賭け法は、何連敗しても1勝すれば全て返ってくるが、プラスは常に最初の1単位。
つまり3万ウォンから始めると、何戦目に勝っても3万ウォンのプラスなのだ。

しかも今のレートで続けると、6戦目には賭け金は14万円にハネ上がり、負債の合計は27万を越えてパンクする。
仮に張れたとしても、プラスは4,300円。

マーチンゲールの恐ろしいところは、このハイリスクローリターンになっていくところなのだ。

しかもテーブルリミットに到達してしまうと、それ以上賭けられなくなる。
現実的には、リミット前にパンクするのが先だろう。

そして全財産を投じる勝負などできないとすれば、今日の俺は5連敗はできないことになる。

これに気づいた時は少しショックだったが、特にモチベーションは下がらなかった。
どっちにしろ勝率に変化はないからだ。
むしろ自分にムカついていた。


くそ・・・
前回の負け額を足していけば当然の計算じゃないか。
それに気づかなかったなんて、アホなのか俺は。

・・・けどまあいい。
勝てば4,300円ずつ増えるゲームだと思えばいいんだ。
1/2で5連敗なんてまず出るもんじゃない。
戦術が破綻したわけでもない。
マーチンゲールは続行だ。

そしてこれからは絶対黒が優勢になる。
しばらくは黒だ。
黒でいく。


俺はまた黒に3万ウォンを置いた。

しかしここから俺は、信じられないような光景を目のあたりにする。


−1投目−
カラカラカラ…


赤。


−2投目−
カラカラカラ…


赤。


「チッ」
思わず舌打ちが出る。


−3投目−
カラカラカラ…


赤。


マジか??
なんなんだ。
つーか両替しなくちゃ金が足りねえ。


ここで俺は5万円を両替。
次に勝てないと、避けたいと思っていた7万張りという勝負を強いられる。


−4投目−
すでにこの時、俺には楽しむ余裕などなくなっていた。

この賭けで置いたチップは24万ウォン。
約35,000円。
ここまでの負債は約30,000円。
ここで赤に入ってしまうと65,000円という金が一瞬にして消え、次は7万賭けになる。

「頼むぜ・・・黒のポケットに入るだけでいい。 それだけで全てうまくいく。 奇跡を願ってるわけじゃない。 当たり前の事が起こってくれればいいんだ。」


カラカラカラ…

コロン…


赤。


ぐにゃぁ

漫画みたいに俺の脳が歪んだ。


バカな!
なんでだ。 なんでなんだ!
スコアボードがほとんど赤になってるぞ!?
偏りどころの騒ぎじゃねえ!
おかしいだろこんなの!
カイジの世界じゃねえか!
1/2なのに・・・50%なのに!
赤が出たり黒が出たり、適度に入れ替わっていくもんなんじゃないのか!?
なんでこんなことが・・・。


俺の頭はパニックになっていた。
が、見た目を気にする俺は、何事もなかったようにポーカーフェイスで椅子に鎮座していた。

そしてとうとう追い込まれた。
7万の賭け。
7万なんて・・・。
張れるのか・・・俺に・・・。

気づけば、ものの30分もしないうちに崖っぷちに立たされていた。
しかもこれでハズせば一瞬で全財産を失う。

俺は倍賭け法の恐ろしさを痛感していた。
4,300円だったリスクがたったの4球で65,000円のマイナスになり、さらに70,000円という賭けを強いられる。
とてつもなくハイリスクローリターンな賭け。
誰も手を出さないわけだ。
もはやゲームの域を越えている。

今までにないプレッシャーが俺に押し寄せてきた。
でも後戻りはできない。 したくてもできないのだ。
「賭けなければならない」のだ。

俺は手持ちのウォンと現金を全てチップに替えた。
そしてそれを全て黒に・・・


いや待て!
待て待て!
よく考えろ!

もし・・・
もし負けたらどうするんだ?
全部なくなるんだ。

金を借りるのか?
こんな所で・・・。


社長 「なに? 金を貸してくれだと? 今旅行中だぞ。 どうしたんだ!」

俺 「いや、実はルーレットで全部スッてしまいまして。。。」


・・・・・・。

言えない。
言えるわけがない。
旅行中にカジノで全財産負けるなんて、アホの極めもいいとこだ。
他のメンバーにも白い目で見らてしまう。

もし借りたとしても、帰国後には公開処刑が待っている。

事務員たち 「ほら、あの人よ。 旅行中にカジノで・・・ヒソヒソ…」

ダメだ・・・それだけは。
ムリだ。 この歳で生き恥を晒すのは!


完全にビビってしまった俺は作戦を変更。
「1万円ずつ地道に取り戻していこう」作戦に変更する。
渡れないのだ。 さすがに7万の橋は。

が、

「勝負を降りた途端あっさりと黒に入る」

というお約束を予想して、少し色をつけた10万ウォン(1万4千円)を静かに黒に置く。


―その5投目―
カラカラカラ…

コロン…


引き寄せられるように赤。


うっ・・・。
これは助かったと表現していいのか・・・?
さすがに黒だと思ってたのに・・・。


―6投目―
とりあえずさっきの10万ウォンを取り戻すことだけを考え、ビビりながらの黒に10万ウォン。

カラカラカラ…

コロン…


赤。


"…続くんだよ。 "

説教してやったじじいのセリフが脳裏を走る。
続き過ぎてるよじじい?
そのじじい達はいつの間にかいない。


―7投目―
もう何を信じていいのかわからなくなり、適当に5万ウォンくらいを黒へ。

カラカラカラ…

コロン…


赤。


るみこ先生 「ハバタケくんは、どうしてサザエさんが嫌いなのかな?」

俺 「だって、次の日学校なんだもーん」

もーんもーんもーん……


・・・ハッ!!
なんだ?
突然小学校の時の記憶が・・・。


―8投目―
5万ウォン。

オイオイw
パチンコでも8連続ハズレなんて見ないぞ?

カラカラカラ…

コロン…


赤。


悪者 「3万2千円です」

俺 「え!? ビール一杯しか飲んでないですよ!?」

悪者 「3万2千円です」

俺 「そ、そんな…」


そんな…そんな…んな……


・・・ハッ!!
なんだ?
むかし徳島へ出張に行った時に呼び込まれて入った店の会計が突然・・・。


―9投目―
ハイハイどうせ赤なんでしょ?
赤の90%ループだよね?
どうぞどうぞ。
思いっきり赤に飛び込んじゃってください♪

と投げ槍に思いつつも、ありあまる大きな願いを込めて黒に10万ウォン。

カラカラカラ…

コロン…


赤。


・・・・・・・。


ディーラーが9度目となる俺のチップの回収をする。

この完成した超エリートの目には、今の俺はどう写っているのだろう。
ゲーム中たまに目が合っているが、なんだか冷ややか目のような気がしてならない。
そう、まるで……

「クク…マーチンゲールか。 最初は誰もがそれを実践するんだよ。 そして自爆するんだ。 お前と同じようなヤツを今まで何人も見てきたよ。 禁止されてない戦術が通用すると思っているのか? ガラス細工が。 破滅しろピエロ。」

目は口ほどに物を言うらしいが、まさかこれほどとは・・・。


ガタッ…

俺はチップをそのままにして席を立った。


なんだこれは?
なんなんだ!
1/2が9連続も続くなんてありなのか?
その前だって赤の比率が高かったのに・・・
本当に信じられん!
っていうか・・・もう2万しか残ってないぞ。
やっちまった・・・


俺はひとまずポーカーに行った先輩の様子を見に行った。
もし先輩が勝っているなら、旅行の小遣いだけでも金を借りておこうと思ったのだ。

すでに自分の勝負は諦めていた。
もう捲ることなど不可能な金額だ。

ちなみに先輩は大阪出身で、このカジノに来るのは2回目らしい。

俺は先輩を見つけ話しかけた。

俺 「どんなんすか?」

先輩 「ここバカラしかないんよ。 テキサスポーカーしたいのに! ハバタケくんは何やってんの?」

俺 「ルーレットしてるけど、さっぱりなんですよ。」

俺は今までの事を説明した。
すると・・・

先輩 「ハバタケくん、そりゃやり方が逆やで。 ルーレットは続いてる色に賭けていくんよ。 あれは同色10連とか当たり前に出るんで。」

俺 「え? そうなんですか・・・」

俺はルーレットに戻った。
そしてゲームをせずに、スコアボードを見ながらしばらく考えていた。

結局さっきの赤は13連続まで伸び、スコアボードには14対1の異様な履歴。
その前の履歴を含めれば、20対2にもなる大きな偏りだ。

しかし統計はほぼ1対1の表示・・・。

ここで俺は突然目が覚めた。
開き直りも後押ししてか、ナチュラルハイにも似た感覚でバチンと目が覚めたのだ。


「確率は収束する」
この考えがそもそもの間違いだ。
スコアボードだけを見て、「偏ってる」と決めつけていた。
それが違う。

何万何千と投球した時、13連チャンなんてのはとても小さな事象でしかない。
もっと巨視的な目で見なければダメだ。
「収束する」んじゃなくて、「収束していく」んだ。
俺はその大きな経過の途中に賭けているに過ぎない。

考えてもみろ。
赤、黒、赤、黒、なんて交互に出るか。
そっちの方がミラクルだ。

確率の収束とか、大数の法則とか、全ての基本概念を捨てろ。
一時的なギャンブルに、客観的な理論を当てはめてはダメだ。

ルーレットは完全独立抽選。
独立事象は前回の結果に影響されない。
だから信じられない連続を発生させる。
俺がするべきことは、その信じられない連続に金をぶちこむことなんだ!


俺はしばらく様子を見ていた。
さっきのような連続の波がくるのを待ったのだ。

席に座って賭けをしないのはマズイので、ミニマムベットの1,000ウォンを36倍の数字に適当に置いていた。
ちなみに10回くらい置いて3回当てる。

そして午前1時頃。
忘れもしないあの瞬間。

スコアボードに、

黒、黒、赤、黒、黒

という履歴が発生。


ここだ!


俺は黒に3万ウォンを置いた。

カラカラカラ…

コロン…


黒!


そのまま7連続黒が発生し、俺はその全てを取った。

ここで赤を挟むが、次が黒なら続行するつもりで1ゲームは様子見。
すると次のゲームでまた黒。
ここを勝負どころと見た俺は、5万ウォンを黒にベット。
そこから5連続の黒が発生し、その全てを取る。

そこから少しずつ勝ちを重ねていき、気がつけば5万5千円の負けまで盛り返していた。

しかしいい感じに勢いづいていたその時、まさかの事が起きる。
なんと、ルーレットのテーブルが閉鎖されてしまったのだ。

気がつけば客は俺一人。
時間は3時過ぎ。
どうやら、ある程度の人数がいないと開いてくれないらしい。。。
これはがっかりだ。

仕方がないので先輩と帰ることにした。
言い忘れてたが、他のメンバーは0時頃には帰っている。


飛んで翌日の夜。
俺は先輩とテキサスポーカーもできるという2軒目のセブンラックカジノへ出発。
ここはかなりデカい店だ。

俺は早速ルーレットへ。
この頃には、もうルーレットが面白くてしかたなくなっていた。

そしてこの日も勢いは止まらない。

俺はスコアボードを見ながらチャンスを待っていた。
そしてここぞと見るや5万ウォンをベット。
この時は赤だ。


―1投目―
カラカラカラ…

コロン…


見事に赤。


―2投目―
カラカラカラ…

コロッ。


スタイリッシュに赤。


―3投目―
カラカラカラ…

コロリ。


エレガントに赤☆


―4投目―
ゴゴゴゴゴ…

ドシュウッ!

ギャルギャルギャルギャルッ!

ドグシャ!


ジョジョ風に赤!


―5投目―
お前はもう、当たっている。

「あ、あかあッ!」

ボコンッ。


救世主風に赤!


―6投目―
もうねーよ。



そんなこんなで調子に乗り続け、2晩かけて12万負けをプラス1万まで捲るという偉業を成し遂げたのだ。
当初の目的だった退職でうんたらかんたらはすっかり忘れ、ただただ楽しんだ夜だった。

先輩は、

「ストレートでオールインしたら相手はフルハウスだった」

ということで15万負けたらしい。


2晩続けたこのルーレット。
人間が抱く「確率」や「収束」という固定観念。
その客観的理論を排除してこそ勝てたという現実。

もちろん必勝法などではないが、「ギャンブルとは偏りに賭けること」といういい教訓になった。
オンラインカジノもしてみようとも思ったが、ブラウザ上なんていまひとつ信用性に欠けるのでできない。
胡散臭いのだ。


今回のルーレットはなぜか手数料がなかったが(もしかすると36倍はあったかもしれない)、同じ1/2の勝率であるバカラは勝者から5%の手数料が取られていた。
つまり一定の賭け金で50%の勝率を続けると、最後は負け越すことになる。

手数料はハウスエッジと呼ばれ、2%〜5%が各ゲームで決まっている。
日本にカジノができた時、このハウスエッジはどのくらいに設定されるのだろう。
おそらく外国人目当てなので世界の相場に合わせるとは思うが、ボッタクリの日本のことだ。
外国人と本国の利用者でエッジを変えるダブルスタンダードの可能性もある。

2020年のオリンピックまでに完成の構想と聞いているが、もう6年を切っているけど大丈夫なのか。
どこまで決まっているのか知らないが、カジノだけでなく様々なレジャー施設やテナントビルも一緒に建設されるはずだ。
間に合う気がしない。

でも、できたら是非行ってみよう。
いや、必ず行く。


という、ルーレットが非常に面白かったというお話。


なに?
オチがない?

だから特筆できるところがなかったんだって。

箸休め記事ということで。。。



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