夕立が過ぎると、空気もずいぶんと冷んやりと感じられるようになった。開け放った窓から入ってくる風が、テーブルの上に広げたままに置いてある本のページをパラパラっとめくる。 「さぁ〜て」 両手を上に伸ばし、背筋を伸ばす。猫背のまま読書に没頭していたために、伸ばした背骨がボキッと心地良く鳴る。 「読書はこれくらいにして、どんな記事を書くか考えなくちゃな」 インターネット上のとあるパチスロ専門サイトで、幸運にもダイキチは専属ライターとして選ばれた。 「何を書こうかなぁ」 パチスロを辞める決意をしたばかりのダイキチであったが、パチスロが嫌になった訳ではない。あまりの眼精疲労の酷さにパチスロを打ち続ける気力が萎えてしまったのだ。しかし逆に言えば、この眼精疲労さえなければパチスロを辞める事はなかったかもしれない。 「辞めるっつったって、完全に辞めるつもりじゃなかったし、記事を書く為にもたまには打ちに行ってもいいよな。それに、打ちにでも行かなきゃ記事にするネタが無いし」 そこで、ダイキチは悩んでいるのだった。パチスロを打ちに行くのは良いとして、どんな記事を、どんなスタイルで書こうか悩んでいるのだ。 「それから…まずどんなタイトルにするか」 ともすれば、ダイキチは記事の内容やスタイルよりも記事のタイトルを重視しているようでもある。 ダイキチは何やら閃いたようだ。 「大吉…うん、大吉ってコトバがいいな。なんか縁起いいじゃん。大吉…大吉…。大吉…三昧。おお、なんか好きだな、その響き。大吉三昧、か。でもちょっと短いな。その前に何か付け足したいよな」 何の根拠も無く、突然頭に浮かんだ言葉らしい。 「自分の名前を入れてみるか。ダイキチ…ダイキチ大吉三昧。うん、悪くはない」 悪くはない、と思っているらしい。 「でもやっぱ、ダイキチの前にも何かを付け足したいなぁ。例えば…負け組ダイキチ大吉三昧。…負け組って…卑屈になるのはよそう。じゃあ、勝ち組ダイキチ…嘘はよそう。じゃあ…別の系統のコトバにするか。う〜ん、例えば…例えばダイキチ大吉三昧。訳わからんな。さすがはダイキチ大吉三昧。う〜ん…。ただ語呂は良いよな。そんな感じでいこう。じゃあ…やっぱりダイキチ…。おーいダイキチ…。されどダイキチ…おっ?なんか近づいたぞ」 どこに近づいたのか、恐らくダイキチにもわかっていないと思われる。 「よし、もうちょっとだ。それゆけダイキチ…。負けるなダイキチ…。なんか遠ざかった。いやさダイキチ…。そこはダイキチ……おっ?そこはダイキチ大吉三昧。おおっ?けっこう良いじゃん」 けっこう良い、と思っているらしい。 「そこは、ってのが、どこが?みたいな感じで、そう、キャッチーじゃんか」 そもそもが阿呆の質に出来ているダイキチが、キャッチーという言葉の意味を知っているとは思えない。ただ単にキャッチーという言葉を使ってみたかっただけだと思われる。 「よし、決まりだ!そこはダイキチ大吉三昧。タイトルはコレ!」 しかし、そのタイトルが何の意味も持ち合わせていないという事に、阿呆のダイキチもさすがに気づいたようだ。慌ててそのタイトルに無理矢理に意味を持たせようとする。 「そっか、そうだな、ほら、アレだよ。大吉ってのはおみくじだろ。パチスロだってレバーを叩く度に抽選されるんだし、くじ引きみたいなモンだ。おみくじと同んなじだろ。で、レバーを叩く度に大吉を引き当てる。つまりは大勝ちする、って事にすればいいや。いや、すればいいやじゃなくて、そういう意味だよ。きっとそうだ」 自ら付けたタイトルであるにもかかわらず、きっとそうだなどと言っている辺りにダイキチの阿呆さ加減が如実に表れている。つまりはこのタイトルに意味など全く無く、単に語呂だけで決めたタイトルなのだった。 とまれ、タイトルは決した。次は記事の内容である。 「せっかく専属ライターとして選んでもらったんだし、何か変わった物を書きたいよなぁ。あ、そういえば色々なカテゴリーがあるんだっけ。サラリーマンスロッターとか。確かに俺はサラリーマンだけど、そのカテゴリーだと仕事帰りにパチスロを打つ、って感じになるのかな。でも俺はもう仕事帰りには行かないつもりだったしなぁ。あとは、パチスロで食ってる人のカテゴリーとか、業界人、学生、か。どれにも当てはまらないし…。負けキャラ、かぁ。確かに、負ける事に関しては誰にも負けない自信はある」 この一点に於いてのみ、ダイキチはたいそうな自信がある。 「でもなぁ、自分で自分の負けを認めるのもちょっと悔しいかな」 現実から目を背ける。逃避する。そこがダイキチの悲しい性であった。 「だとすると、あとは女性スロッターとか主婦、かぁ。それはちょっと荷が重いな」 荷が重いであろう事は誰にでも用意に察しがつくであろう。 「でもあれかな、記事を書いているのがサラリーマンだっていう事で、記事の内容はあまりこだわらなくて良いのかな?でも、どうせなら勝ちまくる日記とか書きたいよなぁ」 阿呆なくせに、ダイキチはよく閃く。何が閃くと言えば、そうそうたいした事は閃かないのではあるが、とにかくよく閃くのだった。 テーブルの上に頬杖をつき、口を半開きにしたままボーッと窓の外を眺める。カーテンがふわりと揺れ、空の雲が流れてゆく。ダイキチの瞼が少し開いた。 「そうだ ゲーセン 行こう」 阿呆のダイキチにとっては、それが精一杯に気を利かせて発した台詞であった。 【 そこはダイキチ大吉三昧 】 メニューへ
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