読者さんによるパチスロ日記
以前、ハイビスカスと呼ばれる4号機があったのをご存じだろうか。 機体上部に巨大なハイビスカスを搭載し、かかれば「ドガーン」という爽快な音で告知してくれる。 また、一度ボーナスを引けば70%の確率でループするという爆裂マシーンである。 そこまでメジャーな機種ではないが、私はこの機種が大好きだった。 そして当時学生だった私は、毎日のようにホールへ駆け付けては、回していたのだった。 店員からは「またこいつかよ!よくもまあこんな毎日演出もない台を打つよなあ」という心の声が、 宇水(るろうに剣心)の心眼のごとく聞こえてきた。 それもそのはず、ハイビスカスを打つ者は私以外いなかったのである。あのひげ(仮名)をのぞいては。 そのひげは私と同じペース、いや、毎日私より早く着席していたので私よりハイペースで、ハイビスカスを 回していた。 そして、毎回、死にそうな顔をして、ドル箱はおろか、下皿さえ使うこともなかった。 かからないのだ。 またやられたのかよ、と、可哀相な目で見ていると、次の日にはしっかりと着席している。 なんなんだ一体、こいつの執念と金はどっからわいているんだ、と疑問に思う毎日だった。 ある日、私はこのひげの隣に着席した。 相変わらずうんともすんとも言わない。 電源が切られているかを疑うくらいである。 しかし、事は突然起こった。 恐れていた事態が。。。 ついに堪忍袋の尾が切れたのか、このひげ、自らのひげをハイビスカスにこびりつけたのである。 すると、これまた恐れていたことに、数ゲーム後に、ハイビスカスがドガーン、と光ったではないか。 なんたることだ、と横目に見ると、ほうらね、と言わんばかりに私を見下している。 ひげ、このひげ野郎、と心の中で反芻しながら、私もこっそりと剃り残したひげをこびりつけてみた。 だめだった。 まったくの無意味だった。 家に帰ってお袋のみそ汁が飲みたくなった。 そして次の瞬間、違和感に気づいた。 奴が隣でボーナスを消化しながら、こちらを見てにやついている。 お前のひげじゃだめなんだよ、確かに奴の顔はそう言っていた。 俺のひげはハイビスカスを咲かせる肥料なのさ、お前のは、除草剤だ、と言わんばかりだった。 ボーナス消化後、奴の台がゾーン中、うんともすんとも言わなかったことはここでは特記しない。 そして二度と奴を見ることはなかったこと、私が自分の台を離れる時、私とひげのひげをきちんとふきとったことも。 さよならひげ、また会いましょう。 読者さんのパチスロ日記 メニューへ戻る パチスロ日記大募集! お気軽にお送りください!
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