パチスロ日記選抜 from 2006
あるところに、21歳の大学生男子がいた。 その青年は、来る日も来る日も「サンダーV」という機種でしこたまヤラれ、気付けば財布も 口座もスッカラカン。 「 やばい、どうしよう・・・・ あと一週間分の食費くらいしか金が残ってない・・・・ 調子乗って突っ込みすぎたぜ・・・・ あんだけ好調だった台が、いきなりスコーンと1500Gもハマるとはな・・・・ こうして青年は、ついにバイト探しを余儀なくされた。 バイトの条件はもちろん「賄い付き」。 これがあれば、とりあえず生き長らえることはできる。 選んだバイト先は、一駅離れたところにある居酒屋「庄屋」。 大手チェーンなので、ご存知の方も多いだろう。 注文を受けた店員が必ず「ハイ!喜んで〜♪」と叫ぶお茶目な居酒屋だ。 面接を受けると、とりあえず即日採用。 一安心で帰ろうとする青年に対し、 「今からちょっと働いてってもらえるか?」 という、どんだけ人いねーんだよとちょっと不安になってしまう要請をしてくる店長。 採用直後に断るのもなんだか気がひけるので、仕方なく承諾する青年。 軽い業務の説明を受けた後、早速現場へと駆り出された。 やはり現場は熱気が違う。 オープン直後から飛び交うあの庄屋特有の掛け声、「ハイ!喜んで〜♪」。 当然青年にもその義務は課される。 しかし、言えない・・・・・・ どうやら恥ずかしいようだ・・・・・・・・・ そりゃあそうだ。 人間、嬉しくもねーのに満面の笑みで「喜んで♪」となどなかなか言えるものではない。 まあ、仕事なんだからそんなワガママ言ってる場合じゃないのだが。 しかし、青年は思う。 「 やっべー・・・・・ 間違ったトコ入っちゃったなぁ・・・・・・ あのくらい楽勝で言えると思ってたけど、案外壁たけーな、あの『喜んで♪』ってのは。 辞めたいなぁ・・・・・・・ でも初日で『辞めさせてください』って言うのもなんか悪いなぁ・・・・・・・・」 そんなことを考えながら時間は過ぎていく。 そして、バイト開始から2時間ほど経った頃だろうか。 突然店長がフロアに登場し、その青年を呼び寄せた。 どうやら、他の店員からチクリが入ったらしい。 「あの新人、何度言ってもあの掛け声を言おうとしない」みたいな。 二人で先ほど面接した一室へ。 店長 「どうしたんだキミ? 全然声出してないらしいじゃないか?」 部活かよ!と、軽く心で突っ込んだ後、おそるおそる口を開く青年。 青年 「 あのぅ・・・・・ 俺・・・・・・・・ どうやらこのバイト無理みたいっす。 皆みたいにできないっす。」 店長 「 そうか・・・・・ まぁ、最初は皆そうなんだよ。 慣れれば平気だと思うんだがなぁ・・・・・・」 青年 「 いえ、俺ってそういう部分が欠けてる人間なんス。 思ってもないこと口にできないっす。 自分に正直なんス。」 店長 「 い、いや、仕事なんだし・・・・・・ 自分に正直とかそういう問題じゃ・・・・・・・・」 明らかに欠陥人間を見つめるような視線の店長。 しばらく気まずい沈黙が流れる。 ややあって、店長が思いつめたように口を開く。 店長 「わかった。 じゃあ・・・・・・ 悪いんだけども・・・・・・・ キミ、今日で辞めてくれるか・・・・・・?」 その時だった。 青年 「ハイ! 喜んでッ!!」 この時の「ハイ!喜んで♪」は、庄屋の社員すらも遠く及ばないほどの歯切れ良いもの だったという・・・・・・・・ ************************************************** 以上、僕の7、8年前の実際の体験談でした。。 まあ、さすがに細部はちょっと変えてますが・・・・・ 「青年」ってのは、当然ワタクシ、クランキーのことでございます。 まったく、なんつーバカ丸出しな理由で辞めてんだ・・・・・・ 今でもちょくちょく庄屋を(もちろん客として)利用するのですが、あの掛け声を聞くたびにこう思うのです。 「サンダーVの野郎・・・・・・・・・・・・」 (←え!? そっち!?) パチスロ日記一覧へ
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