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ゴーストスロッター 第130話



■ 第130話 ■

「(え・・・・・? ぜ、銭形・・・・・・?)」

再度のシマチェックを開始した神崎。

しかし、その途中で目に飛び込んできたのは、銭形の147番台に座り、1000円札をサンドに入れている
優司の姿だった。

「(ついに選択したか・・・・・・・
  夏目は何か掴んだのか? あのヒントに対して。
  あの銭形が、その答え・・・・・か。)」

コインサンドから出てきたコインを下皿に入れ、悠然と打ち出す優司の姿を、複雑な感情で見つめる神崎。

「(設定発表のマイク放送は今すぐにでも始まるかもしれない。
  もし今始まったら、その時点で俺は失格だ。
  夏目の選んだ銭形が6じゃなければ引き分け再勝負だけど、どっちにしろこのままじゃ俺に勝ちの目は
  ないんだ。
  ・・・・・・でも、ついさっきも誓ったとおり、確信が掴めるまでは座るわけにはいかない。
  とにかく、注意深く状況をチェックしていくしかないんだ。)」

少なからず動揺はあったものの、なんとか気持ちを落ち着け、グルリと辺りを見渡した。

「(何かないのか・・・・・?
  ほんの少しでもいい、何か違和感を感じるような部分はないのか・・・・・・?)」


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「(ついに決めたのか夏目は。
  選んだのは・・・・・銭形の147番台か。)」

銭形のシマへ入ったっきり出てこなくなった優司が気になり、様子を見に行った伊藤。
広瀬は、定位置となっている入り口付近にあるカイジの154番台の後ろあたりで、動かずに待っていた。

状況を確認した伊藤は、すぐに広瀬のところへ戻った。

「広瀬さん、どうやらやっと決めたみたいですよ夏目。
  銭形の147番台です。」

「ついに決めたか!
  時間的にも、そろそろ動かないと危ないもんな。」

「ですね。
  夏目は、何か根拠があって決めたんですかね?
  それとも、時間がないから今までの履歴だけで判断したとか。」

「何か根拠はあるでしょ。
  いくら時間がないからって、闇雲に薄い根拠で動いたりはしないと思うよ。
  ・・・・・・・まあ、切羽詰ってある程度妥協はしたかもしれないけど。」

「なるほどぉ。」

難しい顔をしながら頷く伊藤。

「で、神崎はまだ台を決めてないんだよな?」

「ええ、まだです。
  注意深く周りを見てる、って感じで。」

「・・・・・・・・・」

「どうしたんですか?」

「いや、なんでもないよ。」

そう言ったっきり広瀬は黙り込み、自分の世界に入っていった。

「(これで夏目の銭形が6なら、この時点で夏目の勝利は確定か。
  今から神崎が6をツモっても、二人とも6だった場合は早く台を選んだ方が勝ち、っていうルールだからな。
  こうなると、神崎が勝つには、夏目が6をハズしつつ神崎が6をツモる、ってのしかなくなる。
  神崎にとっては厳しい状況だな・・・・・・)」


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「(えっ!?!?
  こ、これって・・・・・・)」

時間は15:30。
神崎はカイジのシマにて、もう何度目になるかもわからないシマチェックを愚直に行なっていた。
データだけでなく、その他の部分も細かく。

そんな中で、不意に目に付いた一部分。
神崎は、その一部分に強烈な違和感を感じた。

「(ま、間違いない。
  やっぱりおかしい。
  通常こんなふうにはならないんじゃ・・・・
  あっ! じゃあ吉宗は!?)」

自分の気付きを確認するため、急いで吉宗のシマへ向かう。

「(やっぱり!
  吉宗のシマはちゃんとなってる。
  ・・・・・・・・ってことは、『吉宗以外』ってのはこういうことだったのか。)」

吉宗のシマで確認すべきことが終わった神崎は、すぐさま他のシマのチェックにも向かった。

ただ、銭形のシマだけは、既に優司が打っているので一台一台細かくチェックはしなかった。
しかし、自分の気付きを確認するには数台のチェックだけでも充分だった。

「(やっぱりそうだ。 全てが合致する。
  しかも、このホールならこれくらいのことは平気でやってくるはずだ。)」

大きく息を吐き、宙を仰ぐ神崎。

「(・・・・・あのヒントの意味はそういうことだったのか。
  これですべてがわかった。
  ってことは、今空席のままになってる設定6の台は・・・・・・・)」

神崎は、ツカツカとあるシマを目指して歩き出した。

辿り着いたシマは、つい先ほどまでチェックをしていたカイジのシマ。
前日6だった台以外、いまだに全台リセットゾーンである164Gすら超えておらず、全く予測が立たないシマで、
誰も寄り付こうとはしなかった。

このシマに迷うことなく入っていき、そして『ある台』の前でぴたりと立ち止まった。

「(これだ。 この台が設定6に間違いない。)」

神崎は、左ハジから数えて2番目に位置する161番台に着席した。
まだノーボーナスで、現在40Gほどしか回っていない。

「(まさかこういう意味だったとはな。
  本当やってくれるぜ『ミラクル』さんは。
  普通のホールなら考えられないな。)」

自信に満ち溢れつつ、千円札をサンドに投入する。

「(・・・・・・俺の読みが正しければ、夏目の台は6じゃない。
  これで勝負あり、だ。)」
 

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