読者ライター【野菜】の記事22
全国の敏感スロッターの皆様こんにちは。 まごうことなき、野菜です。 まさか3回に分けて記事を書くことになるとは思いもよりませんでした。 クレアでボコられて、まどマギでフリーズ引いて巻くって、けどまどマギ2でボコられて、天下布武でもっとボコられて。 スロットどころか何もかもが嫌になりましたね、この時ばかりは。 こんなに嫌になったのは久方ぶりです。 おそらくは、学生の頃に好きな子が嫌いな先輩と手を繋いで帰っているのを見たときぶりに何もかもが嫌になりました。 今回の稼働は前回の続きでありますが、私の中での節目の戦いでもあります。 自分の中で折れてしまった矜持の様なものへの追悼の意味もあるのかもしれません。 これ以上の悲しみ(負債)はもういらない。 そう自然と口から溢した僕が選んだのはこの台だった。 『ミルキィホームズ』 我ながら自らのセンスに驚きを隠せない。 最後に選んだ台がミルキィホームズ。 暫くスロットとはお別れをするかもしれないから、最後に打つのはミルキィホームズ。 「自分は何も間違っていない」 何度も言葉で繰り返し、ミニッツメイドをじゅるりと口に含んだ。 「本当にそうかしらね」 ミルキィホームズはいくぶん非難するような口調で言った。 でもそれは、別段おかしなことではない。 この台とは何度か手合わせをしたことはあるが、彼女は僕の相手をするときはいつも同じ口調で話しかけてくるのだ。 僕はうなずく。 それからメダルを投入口へ入れると、まるで朝礼の途中に突如怒鳴り出す校長先生のように、彼女はけたたましい音を発した。 「なんだか最近、調子が悪いのよ」 さほど古い台ではないにも関わらず、何かしらのエラーで騒ぎ立てる彼女に僕は少し苛立ちを覚えた。 「あなた、今現在の投資額がいくらかわかっているの? 42000円よ」 「そのとおり」と僕は言った。 「でも実際はまだこれからだと思っている節もある。 最後に打つのは君だと言いながらも、実際のところ敗北を受け入れていないのかもしれない。」 ミルキィホームズはわざとらしくため息をつくと、わかったわ。と言った。 「こうしてダメな人間が出来上がっていくのかもしれないわね」 「あるいは」と僕は言った。 「でもね、あなた。ひとついいかしら?」とミルキィは言った。 「あなたは今までもこうして酷く負け込んだとき、何かにすがるように私の所や、リノの所へ行くの。 それを間違っているとは言わないわ。 でもそれは一つの事実であると同時に、あなたが受け止めるべき一つの『欠落』でもあるの。 スロットを打つ者としても、人間としてもね」 「欠落」 「欠落よ」とミルキィは言った。 「それはいつか、あなたを苦しめることになるわ。 きっと」 「大人しく家に帰らなかったことが、かい?」 ミルキィは頷いた。 何かを証明するように、とても慎重に重たくうなずいた。 「それをあなたはいつかきっと実感することになる。 そしてそのことによって酷く苦しめられることになる。 だから悪いことは言わない。 いい? 今日はもう早く家に帰りなさい」 僕は肩をすぼめてみせた。 彼女は目を閉じて静かに首を横に振った。 その後の僕は妙な気だるさを覚えていた。 画面には「フリーズ高確率中」といった文字が写し出されている。 またこれか。 そう言って口から息を吐き出した。 今までにも何度かこの「フリーズ高確率」という馴染みの無い言葉に動揺させられてきたのであるが、もはや慣れてしまっている。 しかし、僕がフリーズを引き当てたのはその30秒後のことであった。 酷く興奮したことは覚えている。 『ミルキィアタック』 先ほどのLive準備ゾーンからの突入がメインルートとなるフリーズ演出である。 内部的には100G×33.2%のループでG数を決定。 要するに、66.8%は100G乗せのみという事なので過信は禁物ということだ。 期待値は1000枚というところらしい。 しかし今の僕からすれば、1000枚だなんて十分すぎる報酬に値するわけである。 ここぞとばかりに騒ぎ立てるミルキィのそのフリーズ演出中、僕は胸ポケットに手を伸ばし、残りの少ないマールボロをくわえ火をつけた。 僕は『スロット』と頭のなかで考えてみた。 すると僕の頭は、ほとんど瞬間的に一人のおじさんの幻影に囚われた。 おじさんは、必要以上に広く何もない薄暗い部屋の中で、壁に向かい椅子に座っていた。 僕を見るなりおじさんは笑みを浮かべるが、コンクリートの壁に向かってボタンを押すような仕草を止めなかった。 疑問に思った僕は、おじさんに向かって「何をしているんだい」と尋ねてみた。 おじさんは「スロットだよ」と答えた。 迷いの無い口ぶりだった。 僕にはおじさんの打つスロット台は見えなかった。 「おじさんが打っているスロットは何だい?」 「マクロスだよ」とおじさんは言った。 「出ているところなのかい?」 「まさに今」とおじさんは言った。 「君たちは糞台と呼ぶことが多いかもしれない。 いずれにしても同じようなものさ。 メダルが沢山出れば面白い、良台である。 原理に何一つ難しいことなんてない。 メダルが出れば救われる」 「メダルが出れば『欠落』にはならない」 「『欠落』を恐れるのならば、ね」 僕はうなずいた。 「おじさんは、僕がちゃんと立ち回るべきだと、そう考えているんだね?」 「どうだろう」とおじさんは答えた。 「私は実際のところ、どちらでもいいと思っている。 君が本当の立ち回りに興味をもったのならやればいいと思うし、そうでないならやめればいい。 人がだれも居ないところでずっと、ひとりで詩を書き続けてもいいし、あるいは作業服を着て農家として毎日土を触るのもいいかもしれない」 「あいにく、農作業に興味はないんだ」 「知っているよ」おじさんは当然のことのように言う。 「私は何でも知っている。 君に纏わることならば、なんでもね」 「僕はこれからしっかりとした立ち回りをやってみようとおもうよ」 「そうかい」おじさんはどちらでもよさそうにうなずいた。 「そうしたいならそうすればいい。 私は止めることもしなければ、勧めることもしない。 すべては君の道だ」 「ありがとう」 結局この200Gでは何も起きず、ARTはほどなく幕切れとなった。 獲得枚数は500枚にも満たない程で、自宅から悪友達が帰った後の様な寂しさに僕は包まれた。 しかし、そのあっけない幕切れを惜しむまもなく次の周期であっさりとボーナスに当選した。 この疑似ボーナスは、ART突入期待度が約49%もある優秀なベルナビ管理タイプの疑似ボーナスとなっている。 しかしこの49%という数字が大抵あてにはならないのは周知の事実なのだ。 どれだけレア役を引こうともウンとも言わないミルキィに対して再び苛立ちを隠しきれなくなっていた。 そしてボーナス終了後、 このエンドカードの出現により僕は嬉しさのあまり、うんこをした後の猫の様にホールの中を走り回った。 なぜなら、これは次回天国以上を表しているからである。 天国滞在時は二周期以内でのボーナスの当選が確定している。 およそ50G後、約束された天国での当選。 そして勢いそのままに訪れたこの告知。 普段は何が起きても揃うはずの無い7が、持ちうる限りの色彩を駆使して今やっと49%の壁を乗り越えてくれた瞬間であった。 まったくもって騒がしい台である。 しかしどうも嫌いになりそうにもない。 不思議な胸中で始まる二度目のART、ミルキィタイム。 前回のARTとはうってかわって、なにかしらのレア役がおちてくる。 僕は平静を装いながらも、必死に何が起きているのかを理解しようと努めた。 しかしこの台、控えめに言って何が起きているのか全く分からない。 意味不明である。 「ふむ」と僕は言いミニッツメイドを口に含む。 何かしらの特化ゾーンに当選したようであった。 見るからに派手であるこの告知と、この台の騒ぎ様からしても、とんでもないものに当選したのだと、私の本能に近いそれが教えてくれた。 僕は、肩をすくめ大きく息を吐いた。 なんてことのない只の上乗せ。 純増が2枚程度のこのARTで100Gなどあってないようなものである。 「あなた、さっきからそんなに何を期待しているの?」 久しぶりに口を開いたかと思えば、ミルキィはまた僕を諭すようにこう言った。 「わたしにはあなたの収支をプラスに転じさせるような力量なんてないの。 あなたもそれは理解しているでしょう」 「あるいは」と僕は言った。 「あなたは少し前に、ちゃんとした立ち回りをするって言っていなかったかしらね。 それならこの出玉で少しでも履歴の良いジャグラーでも打つべきよ」 「そうすべきかもしれない。 けれどまだ何か足りないんだ、それが何かは僕にももうわからないのだけれども」 僕はそう言って耳を塞ぎ、心の中の水たまりが少しでも波打たないように丁寧にレバーを叩き続けた。 その数分後、僕は液晶の異変に気付いた。 神。 この意味を考えてみる。 僕の事を讃えているのか、はたまた台が自らの出玉性能を誇示しているのかは定かではないが、僕は「神」と聞いて真っ先に思い描いてしまったのは、今もひとりでヴァルキリータイムを消化しているであろうあのおじさんであった。 おじさんは結局ミルキィを打ち続けている僕を見てなんというのだろう。 どうおもうのだろう。 そんな答えの無いことばかりを考えている内に残りG数を消化し、「つぼつぼチェック」が始まる。 先程の壺がARTが継続するかを発表してくれるのだ。 なにせ「神」とのたまったこの壺。 ただでは済むまい。 そう思った僕であったが、結果として30Gばかりのゲーム数が追加されただけの現実にまた少し眉間が波打ったのであった。 「4連ミルキィを狙え!」 またしてもこの台は訳の分からないことを言い出した。 もうすでに壊れてしまっているのかもしれない。 しかし、そう言われて狙わないわけにもいかない僕は、とりあえず4連ミルキィを狙ってみる。 とまる。 これをどう見たところで、間違いなくアレであるのだが、どうだろう。 とりたてて鬱陶しく思わないのだ。 この「4連ミルキィ」が何かしら僕の『中枢』を刺激するキッチュさを保持しており、僕は目を留めないわけにはいかなかった。 その後チャンスゾーンなのか、未だに分からないのだけれどもそれに突入し、おまけ程度のボーナスがやって来て、数百枚のメダルを吐き出した後、この台はまた通常運転に戻ったのであった。 「どうだったかしら」とミルキィは言った。 僕は「よかったよ」と言った。 「網走監獄の中みたいに閉鎖的で、だけれど沖縄の人達のように底抜けていた」 「あなたって本当に変わってるわね」 「ひねくれてるんだ」 「そんなことないわ」とミルキィは首を振った。 「ただ、欠落しているだけよ」 「そうなのかもしれない」と僕は言った。 −40000円 ミルキィが僕の前から姿を消したのはその翌週のことだった。 店員によれば、何かしらの異常が見つかり、暫くの間調整中の札が刺さったままになっていたらしい。 そして僕が来たときには彼女は忽然と、まるでダストシューターに投げ込まれた生ごみみたいに、呆気無く僕の前から姿を消していた。 だけれども僕は、これといって動揺はしなかったし、そのことについて心を激しく痛めるようなこともなかった。 彼女が遠くない未来に僕の前から姿を消してしまうということは、ほとんど『予定調和』にすら思われた。 彼女は消えるべき存在だったのだ。 あるいは彼女は消えてこそ、本来的な価値を得るものだったのだ。 僕はそれを、ごく自然に理解していた。 なぜならそれはこの業界では当たり前の様な事であるから。 世間で人気の無い台が5スロに移動し、やがて消えていく。 まさに普遍的な物事ですらあった。 彼女の居た場所には悲しげに秘宝伝太陽があり、カウンターの横にはまだ彼女のパンフレットが沢山残ったままであった。 僕は人も疎らなホールで彼女のパンフレットに触れてみた。 するとまたも、僕はかのおじさんの幻影に襲われた。 おじさんは僕に言った。 「君はとても後悔しているんじゃないかな?」 「後悔。どういう意味だろう?」 「『欠落』についてだよ」 「欠落」 と僕は、初めて聞く英単語を読み上げるみたいに言った。 おじさんはうなずいた。 「君はこれからも、ずっとそうやって失い続けていく。 何を手に入れても、あるいは何を手に入れた『つもり』になっていても、そうやって永遠に零れ落ちる人生を歩んでいくことになる。 それはすべてその『欠落』が原因だ。 君が『欠落』を埋めようとしない限り、君の喪失は永遠に続いていく」 「喪失が続く」 「それが嫌であるのなら」 と言うと、おじさんはマクロスのマックスベットを叩いた。 「君は『欠落』を埋めなくてはいけない」 「どうやって?」 おじさんはマックスベットをもう一度叩いた。 そしてそれっきり二度と口を開くことはなかった。 それから数週間の時間が経過し、僕は遥か遠い街の初めて来るホールの中を歩いていた。 暖房が効きすぎているため、少し腕をまくりながらバラエティーコーナーの隅にいる台を見つめていた。 彼女は僕の姿を見つけると、僕に小さく会釈をしたような気がした。 その下パネルの向こうに見えた瞳は、僕が予想していたものよりもずっと小さくて、はかなげであった。 「本当に来たのね」とミルキィは言った。 僕はうなずいた。 「そうする必要があったんだ」 「本当かしら」 「本当だよ」 「なら、野菜」とミルキィは言った。 「覚悟はできているということなのね。 もう後戻りはできないわよ」 僕はうなずいた。 それからはっきりとした口調で告げた。 「ようやく決心がついたんだ。 養分稼働をこれからも続けよう、って」 おわり (C)ミルキィTD製作委員会 (C)劇場版ミルキィホームズ製作委員会 (C)bushiroad/Project MILKY HOLMES (C)ふたりはミルキィホームズ製作委員会 (C)DAXEL ねんどろいど協力/GOOD SMILE COMPANY 野菜の記事一覧へ 読者ライターの最新更新一覧へ
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