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読者ライター【男爵】の記事19



50音から機種を検索


ライターズ・ファンク [ 2017/4/18 ]

読者諸兄ご機嫌よう、男爵です。

花火氏が一旦長期休載、そして春川亭三七氏が立ち回り講座を卒業されました。
業界情報をわかりやすく、時に笑いをまじえて伝えてくれるお二人のファンは多かったと思います。

かくいう私もその一人、楽しみにしていた記事がもう更新されないと思うと寂しい気持ちもありますが、そこは新たなステップに進むお二人を笑顔で送り出したいものです。


昨今はパチスロにかかわる人間として、業界情報を伝える人も、実戦企画を展開する人も、タレント的な活動をする人も、全てまとめて「ライター」と称されることが多くあります。
今回はパチスロそのものではなく、いわゆる業界をとりまくメディア、特に「パチスロライター」についてのお話。

あらかじめおことわりしておきますが、少し真面目な話、というより私個人の考えの部分が多く含まれるので退屈だという方も多いと思いますが、お時間があれば眺めてみてください。
また、ここから先は男爵個人の経験や考えに基づく話であり、立ち回り講座の方針及びクランキー氏の考えではないのでご注意を。

それでは、スロット紳士こと男爵の体験談を聞いてほしい。

 


■男爵が最近みた来店企画

「美人ライター○○さん来店!」

駅前の大型チェーンホールにデカデカと電子ポスターが並び、スロッタ―に来店を促す。
なるほど、確かに美人だなと思う、ただ失礼ながら全く知らない人だ。

人によって差はあるだろうが、いわゆるパチスロライターの認知度というのはどの程度なのか。

昔、それこそ情報のメインが雑誌だった頃は、勝つために、攻略の糸口をつかむためにスロッタ―は雑誌を求めたし、多数の有名ライターがいたような気がする。
現在はメディアの多様化や遊技人口減少の影響もあり、記事で名を上げるライターは少ないのではないだろうか。

名前を売るという意味では、動画出演でタレント的な人気を得るのが現状の正解なのかもしれない。
そしてそれも商売だし、ホールの広告塔として活動するというのが悪いとも思いません。
とはいえ、私はほとんど雑誌を購読しないし、定期的に観る動画も無いのでそのあたりは疎いのだが。

気を取り直し、美人ライターへの興味とホール状況チェックを兼ねて自動ドアを開く。
入場直後の騒がしい電子音の波だけは今も昔も変わらない。

さて、まずは件の美人ライターを見に行こうか。
大型ホールだが、人気ライターなら人が集まっているだろうしすぐにわかるだろう、そう思ってホール内を徘徊する。

……

見つからない。

え?
まさかもう帰った?
AM10:00来店らしいけど、まだAM11:30だぞ。
おいおい、来店イベントってどんだけ効率いい仕事なんだよ?

…と考えていたら発見した。

2回程通り過ぎた『パチスロコードギアス反逆のルルーシュR2』のシマで打っていたのだ。

正直、もっと人だかりができてチヤホヤされる感じなのかと思っていたら、彼女の背後にスタッフであろうスーツ姿の男性が一人たたずんでいるだけである。
というか、8台設置のギアス2のシマには彼女しかいなかった。

よく見ると、他の台も300〜500G程度は回された形跡がある。
想像するに、朝イチはライターが選択した機種に殺到したものの、短時間のうちに「無い」と見切られたのだろう。

ギアスは荒れる機種なので、ここまで短時間で完全に見切れるわけではないと思うが、好調台が一つもなく、当のライターもようやくARTに入ったばかりというような状況を見るに、少し前の落胆ムードに包まれたであろうシマの様子が目に浮かぶ。

なんだろう、とてもつまらなそうだ。
雰囲気的には、美人ライターも煙草をくわえて台パンとかしそうな感じすらある、やらないだろうけど。

正直入店前までは、

「ファンなんですぅ、いつもみてますぅ」

と流れる様に嘘をついて美人と握手でもせまろうかと考えていたのだが、とても声をかけられそうな雰囲気ではない。
ううむ、美人もいろいろ大変なんだろう。

なんにせよ、この店の来店・実戦企画には気を付けるべき、という意味では有用な情報が手に入った。

以前も少し書いたが、イベント的な企画全てが悪いと思ってはいない。
ネガティブな内容でも、使い方によっては有用な情報となるので、要は考え方だろう。

 


■男爵が語るパチスロライター
読者諸兄はパチスロライターにどんなイメージをもっているでしょうか。

こんなことを書くと、

「華やかなだけの世界じゃない、甘くない、って言いたいんだろ?」

と見透かされてしまうと思いますが、最近では個人ブログやSNSでライター生活の実態を公開される方も多いので、関心のある方は既にご存じのことかもしれません。
また、メディアの形態が変わり、一昔前のライター像と異なる活動をされている方も増えていますね。

コイツは突然何を偉そうに語っているんだ、と困惑されていると思うので、少し私自身のお話をさせていただきます。

私は現在、当サイトの他に、いわゆる編集部をかまえるパチスロ媒体で連載しております。
(別名義のうえ文体も変えているので、気付く人はいないと思いますが)

だからといって特に業界人ぶりたいとか、上から目線で述べてやろうという気はありません。
私自身は、人気ライターどころか末端もいいところなので。

ただ、業界につま先くらいはつっこんでる身として、知っていることを語らせて下さい。

なお、先に私のスタンスを明らかにしておくと。

特に業界に肩入れする気はありませんし、駄目なものは駄目と言うべきだと思います。
ただ一部誤解のある部分や、とりあえず批判したいという方にも一度知っていただきたい部分もあります。
ライター気取りの戯言だと思って読んでいただいて結構です。

嘘を書く気はありませんが、あくまで男爵が体験・見聞きした情報を綴っていきますので、もしかしたら「自分の知っているライターと話が違う」というケースもあるかもしれません。
その場合は、あなたの知っているライターの話を信じて下さい。

いやホント、会社や人が違えば対応も違うというケースは多いんですよ。
ライターとしての仕事というのは、ほとんどが個人事業扱いですから。

ただ、比較的狭い業界なので、人気動画演者の方や編集長、ライター専業で仕事をしている人とも知り合えるので、非常に興味深い話も聞けます。
このあたりは機会があれば記事にしてみたいですね。

 


■ライター活動のメリットデメリット
好きにパチスロを打って、自分の書きたいように感想を書いたらお金がもらえる。

そこまで単純に考えている方はいないと思いますが、ライターとして継続的に収入を得て生活をするというのは難しいことです。
なにせ、ライター廃業の最も多い理由が収入面ですから。

また、多くの場合は業務委託契約の仕事であり、安定した収入や手当、保険も無いため将来に不安を抱く人も多いでしょう。

また、パチスロライターに限ったことではありませんが、仕事にするということは、好きな事を好きなようにできなくなる場面もある、ということです。
苦心して編み出した有効な立ち回り方法を公開すると、結果として狙い台をとりあうライバルを増やすジレンマと常に付き合わなければなりません。
顔出しで活動する方であれば、基本的なマナーやファンサービス、ホール実戦の際にも不正のイメージをもたれないよう、人一倍気を使う必要があります。

有名になれば、注目度が高まるほど気苦労は増えていきます。

大きく負けた、つまらなかった、などという理由で特定メーカーやホールを名指しで批判したりすると、そのライターにまわってくる仕事は間違いなく減ります。
酒に酔った勢いで個人ブログに掲載してしまった、という場合でも責任は免れません。
たとえつまらないと思って書く場合も、表現に気を使う必要があるのです。

「○○さんは動画で思いっきりディスってたぞ」

そう思う方もいるかもしれませんが、そうした毒舌を売りにする方は、既に業界内に確固たる地位があり双方の理解を得られている。
もしくはライターとして特定の所属先が無く、動画等別の要素をメインに収入を得ているといった、仕事を失う恐れが無い一部の例外と考えてください。
普通の会社ならば、取引会社との関係悪化をまねくライターは使いたくありません。

もちろんライターとして良い面もたくさんあります。
大好きなパチスロに常に触れていられる、最新台の試打に呼んでもらえる、売れっ子になればそれこそ同年代の会社員の数倍の収入も可能です。

 


■ライターになるには
そもそもライターという仕事には、特別な資格が必要なわけでもありません。
では、スロッタ―にイメージされるようなパチスロライターはどのようにしてライターとなったのでしょうか。

昔であれば、ホールで噂の敏腕スロッタ―に直接出版社が声をかけて……
といったケースも多かったようですが、現在そのような話はほとんど聞きません。

ここでいうライターは、雑誌編集社やwebサイト運営会社と契約し、パチスロに関連する文章を雑誌・web上に掲載し収入を得る人間、と定義します。
ライター兼動画タレントという方ももちろんライターとして扱いますが、文章に関してはSNS上での出演告知程度、という方は除外して考えます。
また、個人でスロブログを立ち上げて広告収入を得る方もライターに属すると考えていますが、今回はあくまで第三者との契約によって成立するケースを想定して下さい。


ライターとしてのスタートは、活動したいメディアの募集窓口に応募するのが一般的です。

私の知る限りでは、ほとんどのパチスロメディアが「ライター募集」をしています。
今、あなたが見ているサイトにも、それがあるはずです。

最近では専門学校のライターコースというものも存在するようですが、ここでは割愛します。

多くの場合は指定された書式に、住所氏名年齢といった基本情報を記載し、テーマに則った作文の提出が課せられている思います。

おそらくここが一番しっかりとしたものが必要です。
あなたに魅力が無いと判断されればそこで終わってしまいます。
パチスロの知識も当然必要ですが、それ以上に文章力が求められるため、「ホールでの完璧な立ち回りができるものの、読み手に伝える能力が無い」などと判断されてしまうと採用されるのは難しいでしょう。

聞いた話だと、「やる気とパチスロ愛だけは負けません」という人も定期的に現れるらしいのですが、基礎的な能力がともなっていなければ門前払いだそうです。
当然ですが、社会人としての常識やマナーの部分も見られます。

商業誌で連載経験のあるライターや漫画家でも、履歴書は丁寧に書き、指定課題も真剣に取り組むそうです。
このあたりは「業界のコネで渡り歩けるんでしょ?」というイメージがあった私は意外でした。

過去は情報入手と言えばとにかく雑誌、ライバル誌が最速解析や攻略法を競うように紙面に掲載し、ファンも食い入るように読み込んでは、ホール実戦にのぞんだものでした。

現在でも雑誌は存在しますが、情報としての迅速性や相互のやりとり等はweb媒体には勝てません。
紙面には紙面の良さがあると私は思っていますが、ホールで「この機種の情報は」と思った時に手が伸びるのは、雑誌ではなくスマホだという方がほとんどではないでしょうか。

そしてライターのあり方も変わりました。
活動のメインが来店イベントや企画動画の出演に変わっていく人は多く存在します。
そうした変移を良しとするかは個人の考えではありますが、いつの世も求められる仕事に対応してこそ、収入を得られるというのが原則でしょう。

もちろん情報を文面化する能力というのは変わらず重要です。

言ってしまえば、文章も書けて喋りも達者、キャラクターも立っているという人が、「使いやすさ」という意味でも理想なのでしょう。

 


■求められる記事とは
例えばあなたが利用しているSNS上で、

「GODでフリーズ引いて5000枚出た、やったぜ!」

と書けば、友達から「いいね!」と評価されるかもしれません。

しかし攻略記事として考えるならば、「勝った、やった!」で終われるわけではもちろん無く、どのような立ち回り、出玉推移でそこに至ったのか、その台を選んだ根拠といった情報も求められます。
正確性を保つため、メモ帳と交互ににらめっこ、自分の打たなかった台との比較データを検証、状況に応じた写真の撮影や編集、という地味で面白みのない作業が必要になります。

もしくは圧倒的なタレント性や文章力があり、読み物として面白いと評価されるような記事を仕上げる能力が求められます。

パチスロ記事を書きたいという人に、私が伝えるならば。
まずは自分の文章を磨くこと、特に他人が見るということを意識して欲しいということです。

繰り返しになりますが、読者が求めている情報は「有用性」と「エンタメ性」です。
これは文章記事だけではなく、動画コンテンツにも共通しています。

解析情報や小役判別打法等のホールでの収支に直結する情報が前者で、「新台のコイン持ちアップ打法」をあなたが発見し、わかりやすく伝えれば周囲から賞賛の声が送られるでしょう。

後者の場合は、実戦内容をドラマチックに書き上げたり、台の仕様を面白おかしくイジったりするもので、読者の共感や笑いをさそうことで「この人の記事をまた読みたい」と思わせることが大切です。

ただ、自分が面白いと思うことと、他人が面白いと思うことが違うことは往々にしてあります。
経験豊富なライターでも、記事が全ボツになったという話はザラです。

パチスロは、メダルを入れて回せばすぐに結果が返って来る上に、当選までレバーオンし続ければ済む話かもしれません。
しかし読者の反応はそうもいきません。
厳しい反応が返ってくる、あるいはそもそも読まれないということだってあります。

一番大事なのは、そうした試行錯誤を楽しめる、負けずに伝え続けることができる心なのかもしれません。

当然ですが、私なんかよりも魅力的な記事を書く人はたくさんいます。
私も文章コンテンツが好きな人間なので、読者投稿コーナーを含め、立ち回り講座の記事はいつも楽しみにしています。

 


■続・男爵がみた来店企画
私のスマホに着信があった、友人のメグミさんだ。
どうやら来店している美人ライターのファンらしく、これからホールに向かうとのことだった。

「握手して欲しいんだけど、ライターさんやっぱり忙しそう?」

大丈夫、彼女は今クッソ暇そうにスマホいじってるから。

心なしかその瞳も濁ってきている気がする。
男爵と同じ死んだ魚のような眼だ。

しかし彼女もプロだ、メグミさんが来て交流すればにこやかな笑顔も見せてくれるだろう。
そして、どさくさにまぎれて私も握手してもらおう。

むっ、まずい、マネージャーと話しながら下皿のメダルを箱に移しはじめた。
来店終了か、だめだ、私のどさくさ握手計画が。
メグミー! はやくきてくれーっ!!

サイヤ人に追い詰められたクリリンのような願いを心の中で叫ぶ。

その甲斐あってか、すぐにメグミさんが到着。
神龍さながらの迅速さで願いがかなった。

無事握手をかわし、キャッキャウフフする二人。
おお、さすがのファンサービスだ、サインまでもらって嬉しそう。
美人ライターも今日一番イキイキしている。

隣でモジモジしていた気色悪いシャイボーイの私にも、率先して握手してくれた。
とても良い人ではないか、誰だ台パンしそうとか言ったヤツは。


こうして私の来店イベント体験は終わった。
美人ライターとの素晴らしい思い出を、ホール情報と共にインプットしておこう。


〜〜〜〜〜〜〜〜
○月○日
駅前ホール【デトロイト(仮名)】ライター来店日
美人ライターさんは本当に美人だったしなんかイイにおいがした、なお出玉はクソの極み
〜〜〜〜〜〜〜〜

 


■お二人への感謝
最後に改めて、花火氏と三七氏は本業を抱えながらのライター活動、本当に大変だったと思います。

ペンネームといえど長年ライター活動をしていると、それはいつしか友人や本業関係者にも伝わります。

「○○の台はつまらない、メーカーや販売会社は何考えてんだ」

そんな風に言いたくても言えない状況も多かったことでしょう。

多方面に気を使いながら記事を更新すれば、一部の読者からは、

「オマエは何もわかってない」
「さっさと勝てる情報をよこせ」
「とにかく業界関係者は悪だ」

と罵られてしまう。

自らが望んで文筆活動をしているので、多くのライターは記事の批判や指摘も覚悟の上です。
ただ、寄せられる批判の中には自身の責任ではない部分や、全く無関係の内容、単なる誹謗中傷に類するものも少なくありません。(ちなみに動画演者の人はよくある話と笑います)

そんな状況で彼らを動かすものは何でしょうか。

もちろん原稿報酬も大切ですが、それ以上に記事を喜んでくれる人がいるから、パチスロが好きだから、業界が少しでも良くなればという思いを動力源として活動している人がほとんどです。

もっとはっきり言えば、ライターとしての原稿料なんてたかが知れています。
単なる収入として見るなら、それこそ自分の知識を活用して打ちに行ったほうが良いんじゃないかと。

実際ライター活動をしている理由の一番に「収入」を挙げる人にはお会いしたことがありません。


ここまで書いておいて何ですが、私自身はお二人にお会いしたこともなければ連絡先も知りません。

ただ、ここに集まるパチスロ好きの多くを楽しませてくれた二人にイチ読者として感謝したい。
それがパチスロ好きで紳士な私の想いである。

長期にわたってパチスロ立ち回り講座を支えた花火氏、春川亭三七氏に敬意を込めて。



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