読者ライター【男爵】の記事12
読者諸兄ご機嫌よう、男爵です。 長くパチスロを打っていると、不思議な台に出会うことがあります。 それは、設置が少なく解析情報も出ていないレア台であったり、異常なまでにボーナス確率が偏るノーマルタイプであったり。 私の打ったその台は、スロッターにはよく知られた台。 しかし全く分からない、不可解な挙動をみせる台でした。 今回は過去の出来事。 私が出会った不思議な台と、その謎を追う二人の話。 スロット紳士こと男爵の体験談を聞いて欲しい。 662と605。 この二つの数字の意味を知っている人間はごく一部。 地方都市のホール『ビッグヘブン』に通っており、『ジャグラーTM』を打った人間のうち限られた者だけがこの意味を理解できる。 私もその意味を知っている一人。 しかし知っているだけ、そこから先はわからない。 その数字が何をあらわしているのか。 そこまでで良いならば、話を先に進めよう。 季節は秋、とはいえまだ夏の陽気が暦の流れに逆らうように居座る年のことだった。 就職も決まって暇な大学生となっていた私は、新たなホール開拓に精を出していた。 少しでも条件のいいホールで勝負をする、スロッターならば当然の思考であろう。 その日は秋晴れで、気持ちのいい陽気の中ホールを巡回し、自分なりにどこが狙い目かを考えていた。 さっきの店は設定が入っているみたいだけど競争も厳しそうだな。 この『ビッグヘブン』って店はどうかな。 駐車場にあまり車が無いなと思いつつ、自動ドアを開ける。 パチンコ店は、外部から中の様子が把握できない店舗が多いため、初めて入る店はなんとなく緊張するものだ。 うわっ…… 声こそ出さなかったが、稀に見るほどの過疎店、閑古鳥が鳴いているという言葉がぴったりだ。 もう夕方と言える時間にもかかわらず、ほとんどの台のデモ液晶が全く同じ動きをしていることから、朝から1ゲームも回されていない台ばかりだというのが遠目にもわかるほどだった。 『押忍番長』『鬼浜爆走愚連隊』といった当時流行の機種もしっかり導入されており、特別に設備が悪いというわけでもなさそうだ。 逆に言うと、これで客がほとんどいないということは、高設定の期待はできないということか。 そんなあきらめにも似た気持ちでホールを一回りする。 宵越しエナでもできればとデータランプをいじるが、最新3日間の総回転数0という台がゴロゴロする状況では狙いも何もなかった。 この店は大丈夫なんだろうか、そう思いながらジャグラーのシマを覗く。 どんな過疎店でも、ジャグラーだけは稼働があるものだと思っていた私だが、30台ほどの設置に対して稼働中なのは3台のみ。 そんな状況を見て、いよいよこの店には何も期待できないと確信してしまった。 でも、せっかく遠征して来たんだ、少し打ってみるか。 収支にこだわるならば1ゲームも回してはいけない店だとわかってはいたが、話のタネにと1000円札をサンドに飲み込ませる。 座った台は『ジャグラーTM』。 演出で引っ張られての追い銭やストック切れの心配が無いのが理由だ。 あっと言う間にコインが無くなり、追加の1000円を投入し回し続ける。 2000円だけ遊んでやめよう、はじめから決めていた上限だ。 ……んっ? 左リール中段にチェリーが止まった。 GOGOランプを見るも何の反応もしていない。 強烈な違和感。 私の知る限り『ジャグラーTM』に中段チェリーは無い。 リールがズレているだけかとも思ったが、リプレイ等他の小役はきれいにライン上に揃う。 この台、何かおかしい。 話には聞いたことがあるが、裏モノってヤツだろうか。 私の中で何かが動き始めた。 気づいた時には9000円使っており、ようやくランプが光ったところだった。 人生で初めて遭遇した裏モノらしき台に、私は興奮していた。 いわゆる「裏モノ」というのは、ロム改造等で通常とは異なるゲーム性・出玉性をもたせた機械の総称。 もちろん全て違法。(※メーカーとは無関係です) 筐体のセキュリティ強化に加え、純正機での出玉率やゲーム性の向上により次第に姿を消していった。 謎の挙動をみせるこのジャグラーの特徴は、 ●チェリーは必ず中段に止まり2枚払い出し、ボーナス等の恩恵は無い。 ●小役ゲーム中ブドウが揃いにくく、リプレイ外しの効果がほとんど無い。 以上である。 なんだこれは。 少し打てば違和感にはすぐ気づく。 チェリーが中段に止まるのだから。 ただ、裏モノに多いとされる極端な連チャンやハマり、通常時の小役カットは確認できない。 裏モノというより、ちょっと機嫌が悪いジャグラーのようになっていた。 この謎のジャグラーに興味を持った私は、どこかに爆裂トリガーがあるのではと打ち続けたが、ついに軍資金が尽きてしまった。 すっかりあたりも暗くなった頃に店を出て、なんとしてもこの謎を解いてみせると再訪を決意するのであった。 □ 私は後輩の浜岡に、件のジャグラーについて聞いてみることにした。 彼のスロ知識はかなりのもので、現行機種の攻略情報から過去の機種の小ネタまで、聞けばすぐに答えが返ってくる頼もしい存在だ。 浜岡が住むアパートの近くにある喫茶店に入り、コーヒーを注文する。 洒落たカフェではない、昔ながらの喫茶店という雰囲気の店だ。 騒がしい店よりも話がしやすい。 おそらくブーム当時のものをそのまま置いてあるのだろう、既に骨董品と言ってもいいインベータ―ゲームのテーブル筐体が店内に置いてあった。 なかなか浜岡は姿を見せない。 携帯で時間を確認すると、既に約束の時間を過ぎていた。 電話することもできたが、そのままポケットに収め、壁面に雑に積まれて日焼けしていた漫画の山から適当にヤンキー漫画を手に取って読み始めた。 他校のライバル番長が仲間に加わったあたりで浜岡は現れた。 トレードマークであるきれいに染めた金髪が、古めかしい店内に全く馴染んでいなかった。 「すんません、寝坊しちゃいました」 彼が遅刻するのはいつものこと、むしろ予想よりは早いくらいだ。 私も漫画本を閉じて元の位置に戻し、浜岡を対面に座らせた。 何でも好きなものを注文していいと伝えると、子供のようにはしゃいでいた。 浜岡はパチスロに詳しいよな。 わかっていたが、前置きとして彼に尋ねた。 「そうッスね、まぁ5年も打ってますから」 1kgスパゲティ(ミートソース)とかいう冗談みたいな品を注文した浜岡は答える。 彼は21歳のはずなのに5年も打ってるという部分は引っ掛かかったが、とりあえず忘れることにして本題に入った。 昨日裏モノらしきものを見つけたと伝える。 「えっ!? 裏モノ? ……素人モノッスか?」 ……そっちの裏モノじゃない。 さっきパチスロの話をしてただろう。 浜岡オンデマンドに件のジャグラーの特徴を話すと、それは2チェ連ver.(前兆として中段チェリーが成立した後にランプ点灯)ではないかと言う。 さすがにスロ知識豊富な浜岡だと思ったが、私の打っていた台はチェリー後にボーナス成立はしなかったのでそれとは違う。 「違うんスか、まぁジャグラーの裏は特に種類が多いって聞きますけど。 で、その店はどこに…… ○○区のビッグヘブン? またずいぶん遠くに行ったんスね」 遠いと言っても車に乗れば15分程度だ。 浜岡の言う「遠く」には「なんでそんなボッタクリ店に」というニュアンスが含まれているのだろう。 ともかく打ってみたいということで、『ビッグヘブン』に二人で向かうことにした。 1kgスパゲティはいつの間にか浜岡の胃袋に入っていた。 こいつは寝起きにどういう食欲をしているんだろう。 店に着くと、早速先日打っていた『ジャグラーTM』の662番台を浜岡に紹介し座ってもらう。 私も並んで隣の664番台で回し始める。 ……あれ、チェリーが角に止まった。 こっそり入れ替えられたのか? もしくは先日の出来事は私の夢だったのだろうか。 そう思っていると、浜岡が声をあげた。 「ホントだ、2チェだ!」 見ると、彼の打っている台は先日のものと同じようだ。 どうやら、裏モノは彼の打っている662番台だけらしい。 私の打っている台はノーマルなのだろう。 しかし、一台だけか? 普通こういう台を設置する店は、1機種全部裏返るものだと思っていたが。 ますます不可解な点が増えたが、浜岡に感触を尋ねる。 「うーん、何ッスかねコレ。 状態ver.かなぁ、ウェイトカットはされてないみたいだし……」 浜岡でもわからないとは、一体どうなっているんだ。 しばらく打った後に、彼は少しホールを見たいと席を立った。 打ち手を交代して私が打つ。 運よくBIGが3連して収支はトントン。 ちなみに連チャン時の動きもこれといって特徴がないノーマル機のそれだったため、新たな情報も得られなかった。 「いろんな意味でヤバい店ッスね、客全然いないのに怪しいジャグラーはあるとか」 交換した景品を二人で分けていると、浜岡がそんな感想を述べた。 少し調べてからまた打ちたいと言う彼に、また一緒に打つ約束をしてその日は解散した。 それからは、暇を見て何度か662番台を打ちに行き、なんの発見もないまま普通に負けた。 いつしか二人は、あのジャグラーを「謎ジャグ」と呼ぶようになっていた。 そんなある日のこと。 謎ジャグを打ちに行き、データランプをチェックしてみると前日の総回転数が1500G以上あった。 私も浜岡も昨日は打っていない。 普通の店ならばどうということはないものだが、この店においては異常とも言える数値だ。 偶然座った人が連チャンして回し続けたのだろうか、そう思ってデータ機のチェックを進めた。 スランプグラフまでは見れないデータ機だったが、ボーナス数と総ゲーム数から察するにおそらく負けている。 ということは、我々の他にもこの台に興味をもって打っている人がいる。 そしてその人物は、なんらかの確信をもっていたからこの台を打ち続けたのではないだろうか。 店に通い続ければいつか出会うかもしれない、そうしたら聞いてみよう、この台について。 □ 私は暇をみて時折パソコンで裏モノについて調べていた。 『キングガルフ』や『リズムボーイズ』といった有名だったらしい裏モノについてのページがヒットし、裏モノの仕組みや多数のバージョンが存在することがわかった。 ただ、それらに共通することは全て「こんな時代があった」「当時はすごかった」という思い出話でページがむすばれており、たまに現在進行形の話が見つかったと思ったらゲームセンターの話題だった。 そして肝心のジャグラーに関しての話はほとんど知ることができない。 唯一の情報としては、テキストのみで記載された「裏モノ情報一覧」のサイト内で、 ●ジャグラー リプ連ver. チェリー連ver. 32Gver. という程度に簡素に並べられたもののみであった。 掲示板サイト内の話題で遠く離れた他県の「あの店があやしい」なんて噂される程度のものしかなく、手がかりと呼べるものはもうほとんど無い状態になりつつあった。 しかし、機会は意外なほど早く訪れた。 次の週に浜岡と二人で『ビッグヘブン』行くと、サラリーマン風の大人しそうな男が謎ジャグを打っている姿があった。 回転数も1000Gを越えている。 ちょっと気まぐれで打っているという感じではない。 その男は手持ちのコインを飲ませて立ち上がると、駐車場の方に歩きはじめていた。 見ず知らずの他人だが、ここで彼を逃すわけにはいかない。 あの台について聞きたいんだ。 浜岡も同じ気持ちだったのだろう。 「オレが行きますよ」 足早に彼の後を追う私の前に出た。 いや、ちょっとまて。 浜岡の容姿では相手に無用な警戒感を与える。 浜岡は金髪にピアス、メタルバンドマン風の強ザコみたいな派手ないでたち。 さらに、今日彼の着ているTシャツには「コロス」という物騒な文字が描かれていた。 どこで買ったんだそれ。 ともかく、オヤジ狩りとでも思われて逃げられてしまうと困るのだ。 ここは、何処に出しても恥ずかしくないともっぱらの噂の好青年である私が行こう。 「すみません、ちょっとお話しさせていただけませんか」 後に友人から詐欺師の笑顔と呼ばれる私のグッドスマイルが炸裂した。 男は怪訝な顔つきで私と浜岡を交互に見る。 「……えっ、何ですか」 確認すると、彼はあの日1500Gを回していた人物であった。 私は経緯を説明し、あのジャグラーについて知っていることがあれば教えて欲しいと頼んだ。 「ああ、あの台と605番台は明らかに改造モノだろうね」 605番台? 662番台の斜め後ろに位置する台だ。 まさか謎ジャグは2台あったとは。 肝心の台の仕様はどうだろう。 些細なことでもかまわないと伝える。 「チェリーが中段に止まるよ。 それ以外? うーん、それがコレと言って……無いんだよね。 短期的にならBIGに寄って1500枚くらい出したことがあるけど」 残念ながらあまり有用な情報ではなかった。 しかも、彼は今月中に引っ越すという。 調査協力は望めない。 彼に礼を言い別れると、再び浜岡と店内に戻った。 彼の情報から、シマにある30台のうち謎ジャグは662番と605番の2台あることが判明した。 浜岡と二人で同時に打つことができることは素直に嬉しかった。 しばらく互いに背中合わせのようなかたちで別れて打っていると、不意に浜岡に呼ばれる。 何か見つけたらしい。 彼の打つ横に立つ。 「コイン入れてみて下さい」 彼は不思議なことを言い出した。 それがなんだと言うのだ。 「まさか○枚コイン手入れして○回レバーオンでボーナス」とかいうバグじみた攻略法でもあるのだろうか。 (※こうしたボーナス誘発打法とかいうものは99%詐欺です) 促されるままにコインを一枚取って投入口に入れてみる。 …… あれ、なんの反応もない。 さらに数枚入れてみるも台は静かなまま、クレジット表示も上がらない。 浜岡は神妙な顔をしながら言う。 「まさに貯金箱ッスよ、こんな恐ろしい裏モードがあったなんて……」 なんという恐ろしい仕様、機械割0%の台が誕生したと言うのか! とは言わず、私は筐体横のコイン排出ボタンをガシャガシャいじり、数枚のコインが下皿に吐き出された。 単にコインが詰まっただけ、当時のスロット台では時々見られた現象だ。 「あ、やっぱわかるッスか?」 浜岡は悪びれも無く言う。 くだらないことをするな。 とは言え、何の発見もなく時間だけが過ぎてゆき、私も彼もいよいよ疲れがみえはじめていた。 どのくらい疲れていたかと言うと、こんなエピソードがある。 丁度この時期に浜岡と合コンに参加したことがあり、楽しく酒を飲んでいた時だった。 もちろん我々も、こんな場でパチスロ話を持ち出すほど野暮じゃない。 それぞれ楽しい時間を過ごしていると、いつしか話題は芸能人で誰に似ているかという話になった。 そこで、眼鏡が素敵な女性が言い出した。 「アタシぃ、眼鏡ってだけでアンジェラ・アキって言われるんですよー、ちょっと微妙ですよねぇ♪」 うむ、正直言ってアンジェラ・アキではない。 微妙というのもうなずけると思った私は言った。 「わかるわかる、そうだよね、むしろ角野卓三に似てるもんね」 彼女の顔が豹変し、あっという間に般若のような形相になっていた。 何故だ。 微妙と言うから他の芸能人に例えてあげたのに。 ベテランの人気俳優じゃないか。 浜岡は食べていた焼きそばを噴き出してゲラゲラ笑っていた。 彼女はその後一切口をきいてくれなかった。 私は、この時にようやく致命的なミスを犯していたことに気付いた。 そう、彼女は女性。 中年男性に例えられては喜べないのだ。 私の体調が万全であればもう少し頭も回っただろう。 ハリセンボンの近藤春菜女史にしておけば、と今でも悔やんでいる。 □ 私達は完全に行き詰っていた。 自分たちの力では特に発見も無く、ちょっと変なジャグラーを打つ二人の時間ばかりを重ねていった。 先日見つけた男以外にこの台を打つ人間も無く、誰かに聞くこともできない。 『ビッグヘブン』の休憩スペースでは浜岡もいよいよ諦めムードだ。 「結局わかんないッスね、小役ゲーム出玉カットバージョンってことでもういいんスかね」 店員ならばさすがに知っているとは思うが、どうだろう、難しいだろうな…… 私がそう言うと浜岡は食いついてきた。 「あっ、それ盲点ッスね、ちょっと聞いてみます」 言うが早いか、浜岡は既に歩き始めていた。 私は無駄だろうとは思っていたが、それ以外の手段も思い浮かばなかったため彼の姿を静観する。 年の頃は30歳前後であろうか、浜岡は通路を巡回していた小柄な店員に件のジャグラーについて聞いていた。 何か特別な台ですか?と。 「ハイ! 当店全機種全台、ビッグヘブン設定で営業しております!」 いや、そうじゃなくて、他の店とは違うジャグラーがあるよね。 「ハイ! 他店とは一味違う、優秀機優秀台ばかりです!」 何を聞いても具体性の無い返答が、壊れたCDみたいに繰り返されるばかりだった。 無理もない、「違法改造された機械を無断設置しています」なんて言うはずが無いだろう。 この時私は、缶コーヒーの残りを飲み干して考えていた。 『単に2チェが出てハズシが効かないジャグラー、それがあの台の全てなのではないか』と。 その後、頻度は落としていたが、時間と資金に余裕ができた時には浜岡と二人で謎ジャグを打ちに行った。 相変わらずこれといった新しい発見は無かったが、いつか何か見つかるのでは、という期待を二人は持っていた。 先にペカらせた方に飲み代をおごるという勝負をした時には、二人そろってストレートに1万円のまれて、寂しく牛丼を食べて帰ったこともあった。 「男爵さん、またアレ打ちに行きましょうよ」 小雨が降る日の事、いつものように浜岡が誘ってきた。 ホントにあれ以上の何かがあるのかよ、口ではそういう私だったが、足取りは軽くいつものように二人でホールに向かう。 「あ……」 その日、ホール入口で並んだ二つの傘が入店することは無かった。 目の前には、先月末で閉店したという告知と、貯玉清算の案内が張り出されていたからだ。 あのジャグラーが原因で閉店したのだろうか。 いや、あの客付きだ、単純に流行っていないから閉店になったのだろう。 結局、605番と662番の謎は解けないままだった。 明確な答えも、笑えるようなオチもない、現実はこんなものだ。 浜岡と二人で無理矢理に出した結論としては、謎の『ジャグラーTM』2台は中古導入した際にどこかのローカルなハウスモノの改造筐体が紛れており、設置後に気付くも入れ替えする体力もなかった店がそのまま稼働させていたのではないだろうか、というものだった。 導入時の検査をどうかいくぐったのかは不明だが、そう思う事にした。 答えにたどり着くことなく闇へと消えた2台のジャグラー、それらは何処へ行ったのか。 気まぐれにシマに紛れ込んだその台は、今も浜岡との間では語り草となっている。 □ この話には続きがある。 あれから数年後、社会人となった私は東北の某県で仕事をしていた。 すっかり5号機に移行したホールでは、強力なART機の登場が話題をさらっていた時期でもあり、裏モノの話などすっかり聞かなくなっていた。 そんなある日、街を歩いていると偶然スロット専門ゲームセンターを発見した。 入ってみると、店内には3号機の『ワイルドキャッツ』から5号機『ツインエンジェル2』まで、バラエティ豊かなラインナップであった。 片隅に『ジャグラーTM』の設置があり、きたない字で「ジャグラーTM(裏モノ)」とPOPが貼ってあった。 懐かしい、あの時の台と同じ黒パネルだ。 当時、調べていく中で知ったジャグラーの裏モノ知識を思い出す。 実物は見たことがないけれど、リプ連ver.や32Gver.と言われるものが有名だったらしい。 あの時打った謎ジャグはわからずじまいだったけど、この台を調べながら打ってみようかな。 私はメダルを借りてレバーを叩き、あの時浜岡と打ったジャグラーに思いを馳せた。 驚いたことに、そのジャグラーはもう再び見られないと思った中段チェリーで応えた。 まさかそんなことは…… 気になって打ち続ける。 チェリー連ver.かとも思ったが、ボーナスは成立しない。 その後200Gほど回したところで初ペカり、BIGが揃った。 ハズシ手順を忘れていたので慌てて携帯で検索、BIGを消化する。 小役ゲームでのブドウがあまり来ない、370枚程度獲得して終了。 その後そのまま200Gほど回すも何もなし。 この挙動はあの時の…… もう間違いない、浜岡と打ったあのジャグラーだった。 おお、数年ぶりにあの時の謎が解けるのか。 ここはホールではなくゲームセンター、店員ならば気兼ねなく疑問に答えてくれるだろう。 私はカウンターでつまらなそうにノートパソコンをいじっていた店員に声をかける。 あそこの『ジャグラーTM』の詳細について教えて欲しい、どんな特徴があるのか。 ひげづらの店員が面倒くさそうにカウンターから身を乗り出し、台を確認して言った。 「まとめて仕入れたからなー、わかりませんね、なんせ裏モノですから」 謎は解けなかった。 私は泣いた。 □ さらに余談がある。 自力で究明してやろうと後日、ゲームセンターを再訪した私が見たものは、入口に貼られた閉店の張り紙。 謎の『ジャグラーTM』を初めて打ったホール、再会したスロゲーセン、いずれも私が打った2ヶ月後に閉店している。 まるで逃げるように姿を隠してしまうジャグラー。 おそらく偶然に過ぎない、たまたま訪れた2店が閉店することだってあるだろう。 ただ、今もどこかで黒パネルの『ジャグラーTM』でピエロが笑っている。 私はそんな気がしてならないのだ。 今回の話の人名・店名は仮名であり、実際のものとは異なるが、『ビッグヘブン』は系列店が今も営業している。 『マイジャグラー』を打っていると、ごく稀に中段チェリーが止まりGOGOランプが点灯する。 その度に思い起こされる、紳士な私の思い出である。 SEE YOU SLOT GENTLEMAN… 男爵の記事一覧へ 読者ライターの最新更新一覧へ
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