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メーカー開発者の独り言〜今宵もオフレコで〜



スロット開発の流れ [2017/9/21(木)]

仕事をする理由なんて人それぞれである。
ある人は、家族のためだと言うだろうし、またある人は金のためだと言うだろう。
それがどんな理由であろうとも、もちろん良いも悪いもない。

私にとって仕事とは、明日も明後日も、平日も土日もスロットを健全に打ちに行く資金稼ぎのためにあると言えるだろう。
そう、別に私の理由も悪いわけではないハズだ。
無論、良いわけはないが…

というわけで、仕事が終われば当然打ちに行く。
土日ももちろん打ちに行く。


みなさんお久しぶり。
業界の自給自足こと設定六郎です。

私の立ち回りのコンセプトとしては、「時間内で最大の勝ちを目指す」なので、常に時間効率を意識している。
となると、仕事帰りは短時間勝負なのでパチンコを、土日は長時間勝負なのでスロットを打つことが多い。

しかし、最近は不調だ…
パチンコは当たらずに閉店、スロットも高設定をつかめていない。

パチンコはともかく、スロットは理由が明白で、最近はもっぱらバラエティなどでひと昔前の台を打っているのが原因だ。
当然ながら設定が入っていないので、爆死するというわけだ。 

では、なぜ私がこのような暴挙に出ているかと言えば、一つはやはり旧基準機がどんどん撤去されていく可能性が高いからである。

どうなるかはわからないが、12月には旧基準機をホールの設置比率30%以下にしなければならないという取り決めがある。
それが実行された場合、ホールは現行のメインである絆・まどマギ・GOD系などをできるだけ残そうとするはずなので、結果として、私の愛するバラエティコーナーの台は真っ先に撤去されていくだろう。
悲しい…

というわけで、今のうちに思い出作りをというのが一つ目の理由だ。

二つ目の理由としては、現行のメイン機はもう飽きた…というのが正直なところである。
何年設置されとるんや、君たちは。

まぁこれに関しては、我々がそれらを超える機械を世に送り出せていないのが原因なので自業自得と言える…

そんなわけで、私は現在ピンチである。
都内でバラエティの設定状況がいいホールがあれば是非教えてほしい。
よろしく頼む。

 


それでは質問に回答していきたい。

まずは解析情報関連について。
その一つ目。

>なぜ最初から解析情報を全て公開しないのですか?お客が不利になるとは思いませんか?

なるほど、解析はすぐ知りたい派の方かな?
私は、打ちながら推測して徐々に解析が出揃ってきて答え合わせする派(長い)である。
まぁ、好みは人それぞれであろう。

で、この問題に関しては、開発というより雑誌に情報展開する広報関係の部署が主に担当している。

解析の出し方のベーシックな考え方は、小出しにすることで長期間機械に興味を持ってもらいたい、打ってもらいたいというものだ。
好奇心は稼働維持への最高のスパイスだ。

しかし、これはあくまで機械が高稼働するならば…の話である。

最近の機械はとにかく短命。
解析が全て出る前にユーザーの興味が失われてしまっているということが多い。

ゆえに最近は、導入の翌週には慌てて追加の解析が大量に出てくることがよくある。
これは逆に、大量の解析を出すことで、ユーザーが食いついてくれることを期待していると言えるだろう。

しかし、解析はあくまでただの設計値であり、実際にユーザーが体感したイマイチという評価が本質にあたるので、解析の大量投下で稼働を吹き返した機械は今までないように思える。
この負のスパイラルには入りたくないものだ。


そして二つ目。

>何故メーカーは機種の全解析を数年経っても開示しないんですか?

これには、いくつか考えられるケースがある。

@人気がない機械のケース
これは先ほどの話同様、早々に稼働を落とした機械などは、雑誌側に切られてしまうからである。
雑誌のページ数は有限なので、ユーザーが見てくれない不人気機種については解析が出揃わなくとも載せる必要がないということになる。

Aあえて出していないケース
これは、所謂「わざと出さないケース」である。

何故そんなことをするか?
それは、見ないほうが幸せだからに他ならないからだろう。

テーブル解除率の詳細が出ていないものなどは、「見たら打ってくれないんじゃ?」という恐怖が広報担当の頭をよぎったんだろう…

まぁ、解析を全部出さなきゃいけないという法律があるわけじゃないから、問題はないんだが…フェアじゃない気はする。
正直、テーブル解除率くらいは教えてくれと私も切に願う。

 


お次はこちら。

>開発側の手応えと実際のヒット機種は比例してるものなんですか?

これは、なかなか難しいところである。

我々も途中段階で、何度も試打を行ったりするのだが、やはり試行回数が足りなかったり、お金をかけていない分どうしても見えてこない部分もあったりする。
私にも、自分の作った機械をホールで打ってみたら思ったよりキツイ、という経験があった。
ずっとその機械ばかり触っているから慣れてしまうという側面もあり、案外客観的に見れなくなってしまうということがある。

だから、手ごたえがあっても必ずしもヒットするわけではないと言えるだろう。

ただし、手ごたえのないものに関しては、ほぼヒットしない。
これは間違いないぞ!

 


最後の質問だ。

>開発した台って自分で打ちますか?

これも人それぞれだなー。

私は、正直自分で作った機械はあまり打ちたいという気にならない。
理由としては、年単位で触ってきているからやはり若干飽きてしまっているということがある。
おまけに解析も全部頭に入っているし、どうすれば出るかもわかってしまっている。

さらに、悪く言えば超えるべきハードルを考えるとうんざりしてしまうところもある。
知らないくらいの方がちょうどいい気質なのだろう。

ただ、ホールデビューした際は必ず打ちに行く。
その時はまぁ、さすがに感無量だ。

一方、自分の作った機械をとことん打つという人もやはりいる。
自分で作った物を、自分が一番楽しめるんだから、ある意味うらやましいと言えるだろう。

 


さて、では今週のテーマだが、規則関係の話題も特にないので、スロットが作られるまでの大まかな流れを説明していこうと思う。

スロットは娯楽にあたるものなので、みんな何となく居酒屋で飲みながら色々決めているのではと思われているのではなかろうか?
実際自分も入社前までは、やはりそんなイメージを持っていた。

しかし実際は、多くの人間が関わって長期間かけて作るものなので、適当にできるものではなかった。
まぁ、当然といえば当然なのだが。

ということで、大まかな流れを説明していきたい。

まずプロジェクトの人数だが、小さいプロジェクトだと3人くらいから大きいと10人超の人間が関わっていたりする。
期間は概ね1〜2年といったところだ。

続いて工程に関してだが、まずモチーフが上から出てくることが多い。
このモチーフで機械を作るようにというお達しだ。

それに対して、まずはモチーフの特性の研究を行う。
このモチーフはどういった点がユーザーの心をつかんでいる部分かを洗い出す。

それとほぼ同時進行で行うのが、市場の状況と予測だ。
今後どんな機械がユーザーの心をつかんでいけるのかを予測する。

そして、モチーフの特徴と市場の動向を合わせて、機械のコンセプトを決めていく。
例えば、「市場で圧倒的な一撃性を誇る機械」など、これから作る機種の指針となる内容になる。

さらっと書いたが、ここまででおよそ数ヶ月の期間を使う。

機械のコンセプトは、プロジェクトの心臓部にあたる。
ここが適当だったりすると、だいたいプロジェクト中盤くらいで自分たちが何を目指しているのかわからなくなり混乱する。
逆に、コンセプトがしっかりしていれば、何か迷ったときに、コンセプトに立ち返れば、それを軸に物事を決めていくことができる。

例えば、コンセプトが「圧倒的な一撃性」だとすれば、一撃を重視して、初当たりが重くなるのはしょうがないという結論に至るだろう。
そうなると、考えるべきは、いかにハマっているという感覚を軽減するか?といった部分が会議の焦点になる。

しかしコンセプトがはっきりしていないと、市場では初当たりが軽い機械が流行っているから少し一撃性を減らして、当たりやすさも足すべきか?など、決めきれなくなってしまったりする。

そのため、ここはある程度時間をかけてもしっかり決めていく必要がある。

ちなみにこの期間は、スロットの開発をする上で一番楽しい部分になるが、決まらないでズブズブと長引いていくケースは底なし沼に落ちていくかのような地獄だったりもする。


さて、コンセプトが決まったら、それを軸に大体のゲーム性を決定する。
これが機械の大枠となる。

ここまで決まったら各自、一度分担作業となる。
ゲーム性を担当する人間は抽選システムや詳細を設計したり、演出を担当する人間は外注に映像を発注したり、演出バランスを考えたりする。

そうして数か月後に大枠のみが入った試作機が出来上がる。
ここで、試し打ちしてみることで方向性の確認を行う。
「お、いけそうだ!」となれば、そのまま詳細をつめていくことになるし、「物足りない・微妙」となれば、何が問題なのかを検討することとなる。

この部分は、例えると、粘土でお城を作るとなった場合に、まずはお城の大体の形や大きさを決めてザックリとした形を作ってみるという行為と言える。


大枠の確認が取れたら、最後は詳細を煮詰めていく。
ここからは大体の形を決めた粘土のお城に窓を入れたり、屋根の形を凝ってみたりと細かい部分を足していくこととなる。
「もっと面白くするために」を軸に、細かい部分の調整を加え、大体2〜3回の試作機を制作していく。

この段階までくると、最後の方は残りの期間と残予算との闘いとなってくる。
製品が見えてくればくるほど、あれもこれも入れたいとなってくることが多い。

この辺は、リーダーを務める人間のバランス感覚が重要である。

何しろ時間もお金も限りがあるので、機械の商品価値が上がると判断できるものだけを正確にピックアップして詰め込んでいく必要がある。

しかし、最後まであがいて入れたものは経験則的にはいい方向に転がることが多い。
逆に諦めてしまうと、市場ではどこか物足りなさが残る機械になってしまうことが多い。


まとめると、プロジェクトの大まかな流れは、まずコンセプトの企画、続いて大枠を搭載した試作機の設計・内容確認、そして詳細を詰め込んだ試作機2号〜3号の設計・最終確認といった流れになる。

これで概ね一年超の期間を費やす。
そして完成品は型式試験に送られていくというわけだ。

あとは適合を祈るのみである。

とまぁ、こんな感じで機械は作られている。

最後の期間は時間に追われてなかなかハードだが、やはり出来上がった時の達成感は、何度味わってもいいものである。
もしスロット開発に興味をもった学生の方がいたら、就職してみるのもいいかもしれない。

まぁ、今後の業界がどうなるかは保証しかねるが…


では皆さん、また次回もよろしく。



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