[2]スロ吉れっどとメイン容量の壁語り [2018/7/25(水)] |
パチスロ遊技機におけるメインのROM容量は、
●制御領域の容量:4.5KB(4608バイト)
●データ領域の容量:3KB(3072バイト)
を超えるものではないこと、と規則で定められています。
制御領域とは、プログラムのコード(命令)を記述する場所のことです。
例えば、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
LD A,B
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
という記述があったとします。
このコードの意味は、「Aの中身にBの中身を入れる」といったもので、非常にシンプルなコードですが、このコードを記述するのに「1バイト」の容量を使います。
複雑なコードになると、1コード(1命令)で「4バイト」の容量を使う場合もあります。
これらのコードの組合せで、パチスロのメインを制御しているわけです。
データ領域とは、プログラムのデータ(予め用意しておく数値データ)を記述する場所のことです。
例えば、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
;抽せんデータ(「;」以降はコメント)
DB 8
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
という記述があったとします。
このデータの意味は、「8という数値データを用意」といったもので、抽せんデータとして予め用意しておいたものです。
このDBを記述するのに「1バイト」の容量を使います。
また、DWと記述すると「2バイト」のデータを扱えますが、容量は「2バイト」使うことになります。
これらのデータを用意することで、内部抽せんや停止制御を円滑に制御できるようになります。
パチスロ遊技機のメインROMにおいては、Z80アセンブラというコンピュータ言語が主に用いられておりますが、プログラマーの方やコンピュータに詳しい方なら、この容量が多いのか少ないのかは分かって頂けるかと思います。
はっきり言って少ないです・・・
故に、メイン制御で出来る事には限界があるのです。
その限界への追い打ちとして、旧基準機から新基準機に移行するにあたり、
「旧基準機まで行なっていたサブ制御での出玉管理処理を、メイン制御で管理する事」
となり、メイン容量に更なる負荷がのしかかりました。
限りあるメイン容量の中で、旧基準機の様に複雑な出玉処理や大容量の出玉抽せんデータを全て入れ込む事は、もはや不可能な状況になってしまったのです。
その一方で、この状況を重く見てくれたのか、
「メインROMにおいて、領域外(規則で定められた領域とは別の未使用領域)を使用してもよい事 ※但し、試験に係る処理、不正対策に係る処理のみ」
となり、わずかながらではありますが、メイン容量の若干の確保が出来るようになりました。
とは言っても、雀の涙程度の容量確保だけでは、旧基準機の様な複雑な出玉管理を行うには、まだまだメイン容量は足りません。
「ゲーム性に重要でない部分の処理を削除(主にリール演出の削除)」
「システム部分での処理改良(メイン容量圧縮)」
「複雑なゲーム性にはしない(企画とのすり合わせ)」
などの対応及び対策を各メーカーが行っている訳です。
最近の新基準機のゲーム性がシンプルなのは、これらの理由からなのです。
新基準機になり、メイン制御が以前に増して負荷が大きくなり、以前の様な出玉面でのゲーム性豊かな事が出来なくなってきているのがお分かりになって頂けたかと思います。
メイン容量に限界がある分、どこのメーカーも似たような出玉ゲーム性になっていくのは仕方ないことですが、その分、筐体、役物、映像、演出などで遊技機の差別化を図っていくメーカーが今後は増えていくかと思います。
「メイン容量には限界がある!全てを実現できると思うなかれ!」
今回のコラムはここまでにさせて頂きます!
それでは皆さん!
レバーに魂を込めて…Good Slot Life!
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