[2]スロ吉れっどとメインのプレッシャー語り [2018/7/11(水)] |
【スロ吉れっど、メイン基板のプレッシャーにぶち当たる】
メインプログラマーとして、パチスロのプログラムコードを段々理解できるようになった頃、ようやく機種開発の主制御副担当を任されました。
※主制御=メイン基板の事です
主制御「副」担当の仕事としては、プロジェクトの主制御「主」担当である先輩社員の補佐を行なう感じで、言わば見習い的な業務を任されます。
主制御副担当の主な業務としては、
●フラグROM作成補佐
●プログラムコードのチェック
●デバッグ補佐(バグがないかどうかの確認作業のお手伝い)
●申請書類作成の補佐(主に書類チェック)
といった感じでした。
この業務の中でも特に面白かったのが、「フラグROM作成」。
「フラグROM」とは、メインプログラムのデバッグを容易にするために、
●フラグ(内部抽せんでの役)をボーナスからレア役まで全て強制的にセット
●ボーナスを短縮&強制終了(残り獲得枚数を減らす)
●ウェイトカット(4.1秒のウェイトを無くしたり)
など、メインの検証をしやすくするためのROMのことです。
ある意味、パチスロを自由自在に操れる「神」になれるROMなので、そのプログラムコードを作成するのはかなり楽しいものでした。
もちろん、市場に設置される遊技機におけるROMは、フラグROMはNGで、保通協と呼ばれる型式試験で不適合になりますので、正規ROMオンリーとなります。
そんな主制御副担当での下積みを経てから約半年程経った頃。
ついに、とある機種開発の主制御「主」担当を任されることになったのです。
主制御主担当の主な業務としては、
●メイン基板の仕様書作成
(メインプログラムに関する仕様書で、抽せんデータ、配列、停止制御など)
●フラグROM作成
●プログラムコード作成及びプログラムコードチェック
●デバッグ作業
●申請書類作成及び書類のチェック
●申請業務(保通協へのヒアリングなど)
といった感じで、はっきり言って、副担当の時と比べ物にならない程の業務ボリュームでした。
正直この時の心境は、
「プレッシャー半端ねぇーーーー!!」
と同時に、責任感大でした。
というのも、プログラマーとして一番怖いのは、「プログラムのバグを起こしてしまう」ことだからです。
どの業界でも同じだと思いますが、プログラミングの1ミスで一気に正常な動作をしなくなる危険性が多々あります。
ゲームやアプリなどのプログラムは、パッチと呼ばれるプログラムのアップデートでプログラムを正常に修正することが可能な場合もありますが、パチスロのメインプログラムはそうはいきません。
製品版となるであろう、
「全ての遊技仕様は盛り込み済で最終版」
「抽せんなどの数値は調整済で最終版」
「停止制御は調整済で最終版」
「デバッグも完了済でバグは無い状態」
である、最終版メインROMを、保通協と呼ばれる型式試験に持ち込んで検査を受けます。
その試験で無事適合をもらえたら、適合時の最終版メインROMを基に、ようやく製品版のROMとして量産され、市場に設置可能となります。
ただ、この製品版のROMは、一度設置されたら他のROMなどに代える事は不可となっておりますので、もしバグが発覚した場合、遊技機の稼働停止や撤去を余儀なくされる場合があります。
ユーザーやホールにとって不利益にならないようなバグなら、そのまま設置されることが多いです。
一方で、出玉に影響を及ぼしたり、遊技の進行が不可能になるような致命的なバグの場合は、ユーザーやホールに損害を与えますし、何よりメーカー自身のブランド信頼度の低下にもなってしまいますので、稼働停止、または撤去せざるを得なくなります。
社内デバッグや外注デバッグでほとんどのバグは潰されますが、それでも発見されないようなバグが残っている可能性は十分にあります。
パチスロ開発におけるプログラマーは、そんな大きなプレッシャーを背負いながら業務を遂行しなければいけません。
幸いなことに、私がこれまでに開発で携わった機種においてバグはなかったのですが、今考えても、市場に設置された後の恐怖はずっと忘れられません・・・
「最強のデバッカーは市場の遊技者である!」
ということで、今回のコラムはここまでにさせて頂きます。
それでは皆さん!
レバーに魂を込めて…Good Slot Life!
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